魔法とは如何に使う側での秘めたる領域について
な、何?何よその目は…私に何を訴えかけてくるって言うの?
……けど感じ的に分かる。お前は私の領域に踏み込んでしまった。
だから絶対に許せないと言わんばかりの圧を感じる。
「は、はは、行ってしまうんですか先輩?因みに今度私達と一緒にお昼ご飯でもいかがですか?」
「………んん?君さもしかして空気読めないのかな?それともただ単に天然なのかな?だとしたら超レア者だね。私的にはちょっと違った形でだったら好きになれたかもしれない。でもね……お前みたいな奴生理的に受け付けられないんだよ。」
!?
その発せられた言葉は誰しもが耳に届き…この公共の場で背筋が凍るほど冷たい言葉だった。
そしてその中で唯一自分が絶対に喧嘩を売ってはならない相手に喧嘩を売ってしまったと改めて後悔するのだが……
「ふ、ふふ、たかが魔法上級者で私達の先輩だからって…偉そうにしやがって……こうなったらアイツをどうにかして蹴落とす必要があるわね。そうするにはやっぱり別の取り巻きを使って……ん?そう言えばマルティーナ•マーシャの友達?みたいな奴は既に待ち合わせる場所に移動したとか言っていたけれど……どういうわけ?アイツは私の取り巻きの一部が連れていったはず…どう言うことなの…」
シルベリア•バッファムはそう疑問を抱きながらあの2人がどうなったのかを気にする。
しかしその2人の惨状はエルゼによってあららもない姿となっており2人はトラウマを抱きながら学園を去っていった。
……学園テラス
「いや〜本当色々と大変だったね。大丈夫だった?」
「……え、えーと、サディスティン・エルゼファアールさんですよね?何で助けてくれたんですか?」
「……ねぇこの人誰?」
「うえ!し、知らないのマーシャ。この人は学園の中でも唯一優れた魔法使いなんだよ。それも世界3人…ううん今じゃ4人か…その部類に入っても良いぐらいに魔法はお手のものなんだから。」
「あははは!そう目の前で褒められたら背中がくすぐったいな。……それに私はまだその部類の枠に入ったつもりはないよ。まだ世界を股にかけて旅をしているわけじゃないから。」
「あ…そのすみません。」
「いいっていいって…それよりも君も相当優秀な魔法使いだって聞いてるよ。それで私の事を知らなかったって言うのはその世界3人しかいないレベルの匹敵さだよね。ふふふ、なんだか面白い子と出逢っちゃったな。」
「私は面白くない。何であの場に現れたのか謎。あなたが現れた事でより私に向かってくる敵意が高まった。後ついでにコルデリアも…」
「ええ!私はただ単に許せなかったからアイツらを止めようとしただけだよ!なのに何で迷惑がられるわけ!」
「コルデリアが凡人以下の魔法使いだからだよ。そりゃあ私だって同じ…まだ俄かな魔法しか使えない。…正直じき努力しての魔法が使えたならまだしもこんな生まれ持った才能なんて…」
「チッチッチそれは違うよ。え〜とマルティーナちゃんだったかな?」
「あ、はい。マルティーナ•マーシャです。」
「ふふ、無理して敬語なんて使わなくていいよ。一応年は近いわけなんだしそんな頑なにしなくてもいいよ。私達きっと優秀な魔法使いになるかもなんだから。」
「……え!本当ですか!」
「コルデリア信じちゃ駄目。私とコルデリアで既に明白な差が出てるでしょう。全く何も取り柄のないあなたにそんな直ぐに魔法の素質なんて生まれるわけないよ。」
「君やたらと正直者だね。」
エルゼはあまりにもどっ直球すぎる彼女の発言に少しひきかけていた。
「当たり前。そこをハッキリしとかないと周りからの連中に色々と問題なんて起こされちゃたまったものじゃないからね。」
「うんうん。そういった素直さも大事だよね。その純粋さも大事大事。……でもそんなんじゃ君達はこの学園ではただのエンターテイメントでしかない。言うなればモルモットだね。」
「そ、そんなぁ……それってつまり私達はずっと虐められる対象になるのですか?」
「だ•か•ら、私に関わらなければそれでいいって言ってるじゃん。無理矢理関わろうとするから同じように虐められるんだよ。」
「じゃあなんでマーシャはやり返さないの!あのままやられぱなしでムカつかないの!」
「やられっぱしなんて思っちゃいないよ。私はこの学園から出ていくつもりだからその分我慢すれば時が過ぎ去るのを待てばいい話だし…」
「え?マーシャ学園を辞めるの?私達まだ10歳なんだよ!辞められるわけないよ!」
「いいえ。辞められる事はできるわよ。でも彼女が言ってる辞めるという発言はただ辞めるだけの発言じゃないね。何かしらやり返す…ただやり返すだけじゃなくこの学園での記録を残す…そんな風に思ってるんじゃないの?」
「さすがは魔法に関しては大先輩。…うん私は次のテストがある試験で飛び級でこの学園を卒業する。正直この村にいるだけでうんざりしてたからね。」
「飛び級での卒業か……うん。君なら全然できそうだね。…まぁ大方考え方にはよるけれど少なくとも君の今の実力ならいけるはずだよ。」
「そんな私の事知らない癖にいったい何を分かって発言しているのよ。」
「う〜ん。相手の技量かな?私こう見えて、魔法感知には長けてるんだよね。…まぁ近くにいる人間限定にはなるけれど。」
「え!じゃあマーシャの中にある魔法の力って、とんでもない魔法の力があるんですか!」
「うんうんそりぁもうバッチリとね。今のマルティーナ•マーシャは確かに秀でた魔法の力が宿っているよ。でもまだまだ伸び代はあるね。」
「伸び代がある?」
「うんうん。未だに到達していない魔法…それってさ私達魔法使いには絶対にある領域なんだ。」
「ん?どう言う事ですか?」
「そうだな〜例えばでいうと…コルデリアちゃんが、空を飛ぶ時どんな風に空を飛ぶ?」
「え?空を飛ぶ?それって絵本とかで出てくる話ですよね?空を飛ぶなんてまず無理だと思います。」
「あははは。まぁそう答えるのが妥当だね。……でもね私達魔法使いの人間はそれでも空を飛べる様に願う人もいる。私の場合空じゃなくて、移動する魔法を考えはするけどね。」
「移動?……普通に歩くのじゃなくて?」
「う〜ん…そうだね。例えば普通に歩くのじゃなくて、今ここにいる場所から教室に移動したいとか思う時とかないかな?」
「あるある!」
「いやそんなくいぎみに頷く事か…」
「あはははそういった感じでの反応がまぁ普通の魔法使いで、あんまり魔法を上手くコントロールできない子達の反応だね。…だけどそれを私は自分でどうにかできる方法を探している。それも今は場所を動かせる魔法を私は習得してるよ。」
「えええ!!物を動かせるんですか!」
「いやだから反応が一々極端なんだよ。」
「でもでも物を動かせるんだよ!それって私からしたら凄い魔法だよ。」
「あはは。大丈夫大丈夫その内使えられるようになれる魔法だからそんなに興奮しなくても使えるよ。」
「ほ、本当ですか!」
「本当本当。何せそこにいるエリートな子でも使えるはずだと思うからね。」
「ええ!そうなの!」
「だから驚き方……まぁ使えるっちゃ使えるけど…」
「凄い凄い!今度見せて見せて!なんなら今からでも!」
「やる必要ある!無理にやる必要性ないよね!」
「ぶーー!!意地悪。」
「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて…っと私から話を振っておいてあれだけど…話を元に戻すよ。私達には未だに到達してない魔法の領域に関して…それが何なのかという話をしていたけれど…私達にはそれぞれ個人個人の奥底にある秘めたる魔法がある。それは徐々に大人になっていく上で心も体も成長していくような形……まだ何も明かされてはいないけれど私にはその秘めたる力が備わっていると思う。」
「心と体……思念体的な物?」
「よくそんな言葉を知ってるね。……う〜ん少し違うかな。人にあってみんながそれを持ってない物…オーラみたいな物といえば良いかな。具体的な例としては…」
「オーラ……もしかして、ドルパミンの事を言ってる?」
「おお!まさかそれを知ってる子がいるとは…私の中である仮説の話しではあるけれど、世間体的にはそう呼ばれているね。」
「確かにそれをオーラと例えるのが1番しっくりくるかも。…そしてそれがどんな理屈で私達の中にあるのかが分からない。単なる第六感的なものかとも思っていたけれど…」
「あはは。それだと面白くないじゃない。だから私は自分で研究しているんだよ。まだ未ぬ底の奥深くにある領域…君達にだってあるんだよ。それがいったいなんのトリガーで発動されるかは分からないけれどね。」
「………先輩質問してもいい?」
「ん?どうしたの?」
「周りからのどうしても耐えられない状況に陥った場合…それで発動する魔法は自分の中にある領域?それとも単なる暴走?」
「ま、マーシャ?」
「へ〜面白い質問だね。成る程君は何かに気付いてそれを質問しているんだね。」
「うん。具体的な事は言えないけれど、それを目の当たりにした事はある。」
……それはほんの1週間前の事だった。
コルデリアが私と関わってしまって周りからの奴等に虐められていた時…コルデリアが使う魔法は火しか使えずにいた。
それもたかがしれているような極小魔法。
けれど私が彼女を助けに行こうとした間にどうやってかその周りの虐めていた連中は大怪我を覆うほどの重症を受けた。
コルデリア自身は何が何だか分からない顔をしていたけれど…本人とは自覚なしで出てくる魔法。
それがいったいどんなものなのか私は知りたい。
今後コルデリアが私とは無関係という立ち位置にいられるように…彼女の魔法が妙な事故を起こさないように…どうにかしてあげたいから。




