逆転の方程式
ラクト君。絶対私の事女の子としてみてないよね。
だからそんな簡単に女の子を部屋に連れ込めるんだ。
正直ここで押し倒してしまえば1番手っ取り早いんだけど……
くっ!今の私にそういった度胸がないわ。
自分に勇気がないのが腹が立つわ。
「え、え〜とだな。その…なんか色々と期待している所悪いんだが…」
「待って!何も言わないで頂戴!色々と恥ずかしかなってきたというか…今の発言はあまりにも痴女すぎる発言だったわ。」
「いやそこまで思ってないし。というよりも今時の女子ならそう思っても仕方がないんだろうなって改めて自負するよ。」
「……なんかムカつくわ。同い年なはずなのにそんな大人ぶるのなんだか気がすすまないわね。」
「いや、そんな事言われてもな。…単に誤爆したルミナが悪いというか…」
「ああ!もういいわ!今のはなし!なしよ!ほら早くその箱についての続きの話しをして!」
何か俺がおかしな事を話してるみたいな雰囲気になっているが……うん!絶対何も悪くないはずだ。
……それにこの前言っていた言葉が頭によぎってしまってつい気になってしまう所がある。
あまり気にする必要はないって分かっていても…やっぱりちょっとコイツらの事認めてしまってる自分がいるんだよな。
「はぁ〜ぐいぐいくる奴ってこうも気持ちを揺さぶってくるやつだとは思いもしなかったな。」
「ん?何の話し?」
「いや何でも…さて変な形での会話になったが、早速ルミナにやって欲しい事がある。」
「ええ!私にやれる事ならなんなりと言って頂戴!」
「自信過剰なのはいい事だが、多分そう簡単に作れる物じゃないと思うぞ。」
「え?」
俺はテーブルの上にある箱を開けその中身をルミナに見せる。
「うわ!何コレ!何だか凄い形してない?それに妙な点々みたいなのがいくつもあるわ。」
「コレはバッテリーという物でな。多分ルミナ達には因んでない物だ。仕組みに関しては色々と複雑ではあるんだが…そこは無視してもらっていい。」
「え?そうなの?そんなに複雑なの?」
俺はバッテリーのにある色々な線が繋がってるところをカバーを開けて見せる。
するとルミナの反応は目をぐるぐると回しながら何か何だかわからない顔をする。
「ふ、ふえ〜…な、何コレ〜コレを私にどうしろっていうのよ!」
「いやだからだな。お前にこう言った複雑な事はさせないから安心しろ。お前にはこの点々とする部分を光らせる様に錬金術で仕組ませてほしいんだ。」
「わ、私の錬金術でコレを光らせるですって!む、無理だよ!仕組みって言われても何かを混ぜ合わせて作れるしか私にはできないのよ!なのに仕組みって言われても…」
「……あの時ルミナが俺に見せてくれた錬金術を見て1つの概念を生み出せるというのを俺は確信した。」
「あの時?……あ、私が時間を軸をコントロールして生成させる錬金術の事?」
「ああ。俺は単に組み合わせるだけでいいと言った。けど、外側の概念とここでの概念による時間帯が変わればまた話が別だ。」
「でも私は中の時間をゆっくりさせて丁寧な形で錬金術を生成させるのよ。なのに外側の時間が早くなっちゃ意味がないんじゃないの。」
「ああ。だから俺はもう一つお前にコレを渡すんだ。」
ラクトはルミナに小型時計を渡す。
「時計?しかもやたらとコンパクトな時計ね。コレがどうかしたの?」
「その時計には俺が錬金術で作る際にとある概念を埋め込めさせたんだ。それが逆転の方程式。」
「逆転点の方程式?……え、急に科学の話し?」
「そういう風に捉えてくれてもいい。その時計はちょっと特別式なんだ。お前が時間を操る錬金術が使えるならその逆点の発想もできるんじゃないかと思ってな。」
「……それでもこの時計がどう私の錬金術をコントロールするの?」
「それを首にぶら下げながら錬金術を発動してくれ。すると恐らくこの部屋の空間だけは時間が早まる。けれど外では普通の時間軸で動く。」
「んんん?待って待って!それだと私自身はどうなるの?」
「それも問題はない。お前自身が錬金術を使うその間だけの時間帯は外と同じ時間で動く。そして錬金術をかけたそのアイテムや物は時間が早く進む。でもそれじゃなんでお前だけが外の時間帯と同じに動いているという話になるわけなんだが……同じ波動で動く錬金術と同一で周りに発している錬金術を防げる仕組みになっている。」
「……???ま、待って!つまりそれは私にかかるすべての効果が私にだけは除外されるって事なの?」
「その通り。そういう風にその時計を作ったからな。」
「そ、そんなアイテム聞いた事も見たこともないわよ!本当ラクト君って凄いんだ!」
そう褒めてくれるのはありがたいんだが……完全にとある漫画の影響を受けてちょっと工夫して作っただけなんだよな。
コレを作るのに相当時間かかったな。
「ただし!条件がある。この時計もあくまで使い捨てだ。完全に上手く行く方法はまだない。だからルミナ。お前の使う時間の錬金術を応用にして上手くバッテリーがつけられるよう内部を構造してくれ。ただ単純にはできないと思うからコレを用いてやってほしい。」
「これって磁電鉄鉱石?何でコレが必要なの?」
「コレには電気が纏っている。バッテリーというものは電気を必要とする。それにはバッテリーの内部構造に必ず電気充電が必要なんだ。」
「???よ、よく分からないけれど、とりあえずこのバッテリーに電気を通らせる様な仕組みを私が作ればいいのよね?」
「まぁ単純的にはそうなるな。」
それをするには今の俺の錬金術じゃ皆無。
錬金術レベルが足りなさすぎる。
今はコイツらの個性個性のある錬金術スキルでカバーするしかない。
「分かったわ!それなら私のできる限り……ううん!全力で錬金術を使ってバッテリーというのを完成させてやるんだから!」
今の意気込みがある形でルミナには後を任していいだろう。
「単純に上手く行く話しじゃないかもしれないが、もしちゃんと成功する事ができたら何か1つお願いごとを聞いてやる。」
「!?それ本当!」
「ああ。だけど、仲間になれとか無理なお願い事じゃない限りは聞いてやる。」
「ふんす!それなら俄然やる気が湧いてきたわ!」
そう言って、バッテリーに向かって錬金術をかけるかの様にして、両側を手にかける。
それを見て、俺はゆっくりと自分の部屋から出ていく。
「ふぅ…ひとまずはコレで万事解決か……さて、2人の事は色々と任せといて……そろそろあの話をマーシャとしないといけないな。」
俺はマーシャがいる所のリビングの方へ向かう。
「……あ…お兄ちゃん。」
「マーシャ今大丈夫か?」
「う、うん。どうしたの?」
マーシャがそのまま頷くのと同時に俺はマーシャの前の椅子に腰掛ける。
「マーシャに聞きたい事があるんだ。あのときコルデリアがスパーク現象が起こった時…誰かに操られているというのを認識した。」
「………う、うん。」
「それはマーシャを殺そうとしたのを失敗したから謎の影がコルデリアにそう操らせていたというのは間違いないんだな。」
「そう。コルデリアは自分自身でやっていたわけじゃない。魔法使いのいる村で恐らく私を消しかけようと試みた奴がいる。そしてそれが失敗してスパーク現象を起こさせた。」
「けどきっかかりなのが一つある。アイツは魔法を使うのに…スパーク現象が起こるのはおかしくないか?」
「おかしくはない。スパーク現象が起こる話しは色々と尾ひれはひれ違った形で伝わっているんだよ。だから絶対とは限らない。」
「絶対とは限らないか……断定的な言葉をありがとう。それなら失敗に終わったコルデリアが助かる方法の話になるわけだが……エスカ出てきてくれないか?」
デュン!!
「全く私を何かの便利屋と勘違いしているんじゃないの?困るわよ用もないのに呼び出されると傍迷惑だわ。」
「用があるから呼んだんだよ。」
「あ、あの時の精霊様。」
「この子は私の事を礼儀正しくしてくれるからつい可愛いがってしまいそうになるわね。」
「やめろ。お前の言い方だとマジでヤバい方向性にしか聞こえん。」
「そんな事分からないわよ~こう見えて私気に入った子には相当可愛がる傾向があるから。」
「そんなの知った事か…何気に可愛い素振りみたいな感じで首を傾げるんじゃないよ。」
うるうるうる
「うるうるした目で見てくんな。」
「え〜と、お話の方は…」
「え?あ、ああすまなかった。エスカこの前言ってた事をマーシャにも話していいか?」
「いいも何も私はただ単にお前に助言をしただけにすぎない。それに私はただ利用する側。お前達人間なんかに興味はないわ。」
「そうか?それならマーシャが死ねば大変な事になる。みたい事を言っておいて今更無理があるんじゃないのか?」
「あら?その後に私は別に代わりがいるとも言った気がするわよ。その辺私は別に気にしたりしないわよ。」
「あ、あの〜本人を目の前にして死んだらどうだのなんだのって話すのやめて欲しいんだけど…」
「あら失礼したわね。別にあなたの事を蔑ろにしたわけじゃないわよ。気に障ったなら許してちょうだいね。」
「はぁ〜〜まぁでもエスカを呼んだのはお前の事に関して然り…コルデリアの事についても話さなきゃならない。」
「コルデリアの事?コルデリアはこのまま冷凍させるんだよね?それに何か別の方法で助かるかどうかも…」
「そう。でも今話してる事はまだ確定じゃない話しなんだ。だからエスカを呼んだ。エスカまだ見ぬ未来での話で今後コルデリアはどうなるのか話してほしい。」




