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俺の知ってるアトリエクソゲーが異世界と同じ世界になっているとは思ってもみなかった。

お前達はアトリエというゲームの物語を知っているだろうか?

もちろん俺は知っている。

アトリエというゲームは誰しもがプレイする事で臨場感があふれ親しみ深くなっていくような憧れや期待という胸熱くなるRPGゲームだ。

しかし俺はまさかのまさか…アトリエゲームで自分がこんな事を思ってしまうとは予想だにしていなかったのだ。


「や、やった!プレイ時間250時間突破!仕事の有給を使ってようやく…ストーリー、追加ストーリー、アフターストーリー、ミニイベント、未知のアイテム探し…その他諸々……やっとやっと攻略した。……攻略したのに……なんていうクソゲーなんだよ!」


バシン!


俺は思いっきりゲームのコントローラーをベットに投げつけ今更自分のやっていた名作…主人公の名前をとったゲームのアトリエをクリアしてクソゲーと叫んだ。


「なんなんだよ!このゲーム。アトリエ作品だから普通に錬金作成させてアイテム合成からの未知な探検やら強い武器を求めて探すというのが醍醐味ゲームかと思えば……初っ端なから倒せないスライムやゴブリンが出てきたり錬金する為の合成アイテムがチュートリアル後に強いモンスターを倒して入手ができなかったり…探検の途中何処か出口かわからなくて時間制限に間に合わずに仲間パーティー全滅するし…なんなんだよこれ!コレの何処が名作のアトリエなんだよ!他のアトリエシリーズはちゃんと完成度もよくてちゃんと良かったのに……なのに……このゲームの持ち味は女性キャラの立ち絵だけかよ!」


シンプルに言えば女性の立ち絵で売り出しがよく評判もそこそこいい感じに売れ出せるゲームは多々ある。

その中でアトリエシリーズでもその評価が高く女性立ち絵だけじゃなくてゲームでの品構成もかなりのスペックで急上昇したやつもあった。

その作品は女性の出るところを出させて馬鹿な雄共を釣らせてのネタになるという意味での部分もあったりはしたが…

ゲーム性質での評価もよくそのまま続編が出たりアニメにもなったりして忽ち売上もうなぎのぼりにまでいって大好評したのだ。

そして今回新作で出たアトリエのゲームでは人の人生を弄ぶかのようにしてできたクソみたいなゲーム。

今回も女性の出る所や部分的にも男性にとって受け味が抜群みたいだって噂されていたのだが……


「こんな馬鹿げた話しあるかよ。レビューもそれなりに高評価だったのに…何処でどう間違えたんだ。はぁ〜俺の特別な有給休暇返してくれよ〜〜………いやまぁ自業自得なんだけどな…でも周りの評価に看過されずにゲームを楽しむというのが人それぞれだから…今回に関してはちゃんと評価の方が正しかったというわけだな。……付け加えるなら何で課金してまでクリアできない要素があるのかも謎ゲ〜だ。こんなの赤字確定だろう。」


パッケージはまともにいい絵柄なのに…コレじゃあ絵師の人達が可哀想だ。

本当女性キャラ達や仲間の絵はいいのにな〜


「………ん?てか今日何日だったけ?」


アトリエゲームをやりこんでいてすっかり日にちの感覚を忘れてしまっていた。

細かにスマホを見て食事とかにも気をつけていたつもりだったが……


「ゲ!今日で有給休暇終わりじゃないか!昨日そのままぶっつけでやればいいやと思っていたのを完全に熱中していて忘れていた。今からでも何とかギリギリ間に合うか!」


そして忙しなく急いで仕事の服を着ながら髪型等を整え仕事へ行く準備をして玄関から出て自転車に乗りながら駅へと向かう。


シューーーー!!

キキーーー!!


「よし!自転車を止めてそのまま電車へ駆け込めば何とか!」


自転車を駐輪場へ止め俺は改札口へと通りホームへと急ぐ。


「おっと!どうやらついてるみたいだな。」


ホームのアナウンス案内でどうやら電車が遅延しているらしく電車が来るのが遅れているらしい。

つまり元々間に合う時間帯の電車が遅れるという事は遅延切符で会社に渡せば遅刻の方はチャラという事になる。


「何だよ30分も遅れるならもう少しゆっくりすれば良かったな。売店で何か軽く買うか…」


「ちょっとやめてください!」


「ん?」


そう思って売店の方へ行こうとした瞬間何やら朝から揉め事みたいなのが起こってるような女性の声が聞こえた。


「やめてくださいじゃないだろう!君今なにをしたかわかっているのか?」


「いやだから私は何もしていませんって!友達だってちゃんと承認になりますよ。ね!」


「………」

「………」


「え?智子?沙織?」


「ほら君の友達は無言じゃないか。コレは紛れもない証拠だな。」


「なんで!何で2人とも何も言わないの!私はこの人の財布なんて盗んでないって言ってよ。」


しかし2人は何故か友達の子を庇い立てようとはせずにそのまま無言になる。


「え?どうして……」


マジかよ。朝から窃盗被害かよ。それも女子高生とおっさんのトラブルって、マジで災難だな。てか何で誰も助けようとしないんだ。普通に公共の場だし駅員の人とか呼べばいいだろうに……いや違うかゲームと現実は違うもんな。

普通に関わってトラブルに巻き込まれるのはごめんだ。

周りの人が正しい。自分達の問題は自分達で解決するべきだ。見て見ぬ振りは本当はよくないと思われるかもしれないが…それは誰しもが同じ事、近くで見ている連中がいるのにそれも見てみぬふりして遠ざかろうとする。

ならこっちだって同じだ。自分のせいだけで筋が通るという話でもな……?あれは…


よくよく見てみると窃盗したと思われる友達は何やら男っぽい長財布みたいなのを持っている。

……断定はできないがもしかしてあの子達……友達を売った?

そしてもっと歪なのが盗まれた男の顔だ。

怒鳴ってはいるが…何やら興奮しているようにも見られる。


「いやいやまさかな。まさか仕組まれての犯行というわけじゃあるまいに…」


そうじゃない。そうじゃないとしても……何か嫌な予感がして俺は何かを見過ごす事ができなかった。


「やばそうだな。ひとまず駅員の人を呼んで…」


「おら!こっちに来い!」


「いや離して!智子!沙織!」


「………」

「………」


しかし2人の名前を呼んでもそのまま素知らぬフリをする。

それを目の当たりにし連れていかれそうになる女の子はショックを受けてしまい男にズルズルと引き摺られていく。


「いやいや友達なのに何で助けてやらないんだ!マジで仕組まれてんじゃないだろうな。それに何で誰もあの男を止めない。ちょっとアンタ駅員のひとに伝えてきてくれないか!コレは紛れもなくアウトだ。俺はあの人を止めにいくから頼んだぞ!」


そう言って俺は近くにいた人に頼んでトラブルがある場所へと急いでかけつける。


「………は?誰が呼ぶかよ。あんなの紛れもなくやばい状況だろう。あんなのに関わりたくないんでね。やるなら勝手にやってろ偽善者。」


電車が来るまではまだ時間はあるし、ひとまず駅員さんが来るまではこのやばい流れを止めないと。


「ほら!何やってる!抵抗したところでお前は窃盗犯なんだ。大人しくついてこい!」


「違う!本当に違います!何で信じてくれないんですか!私はただ…」


「ただなんだ?」


「……あの2人に言われた通りに…」


「言われた通りに窃盗したわけか?だとしたらあの2人も同じ同罪だが…まず君を庇い立てようとしなかった時点で話はついているんじゃないのか?というより君がそんな風に言うって事はあんな風に冷たくされても仕方ないことだけどな。」


「え?」


男に指をさされた場所。

そこにはシメシメと言わんばかりの様子が見られた智子と沙織。

その姿を目にして窃盗の容疑にされそうになった女の子は更にショックを受けた。


「そ、そんな。そんなのってないよ。」


「まぁそう言う関係だったって事だな。そら大人しく来るんだ。」


そうしてズルズルと引き摺られていく女の子なのだが…


ガシ!


「あ?」

「え?」


「はぁはぁはぁ……アンタ確信犯だろ。」


俺は女の子の腕を引っ張る男の腕を掴む。


「な、なんなんだね君は!」


「あ、えーと…」


「その子明らかに容疑を否定しているように見えるんだけどアンタその子が本当に財布を取ったという証拠とかあんのか?」


「は?だからそれを今確かめに…」


「確かめに?じゃあ何ですぐにあそこにいる2人と同時に確かめないんだ?何でその子がリンチされるみたいに問い詰められる事になる。見ていたら大体怪しくみえるというのが分かるだろうこんなの。」


「だからなんだっていうんだ。私はその子が自分の手で盗んだというのをこの目でみているんだ。」


「見ている?それはいったいどうやって見ていたって言うんだ?」


「勿論電車に乗る寸前おかしな行動を目にして3人を引き留めたんだよ。そしたらそこの3人は黙ったままで何も言わないじゃないか。となればコレは立派な窃盗だ。窃盗。だからこうして引き連れて交番のところまで連れて行こうとしているんだ。」


「なら尚更あの2人の子も一緒に連れていくのが筋ないのか?その子はその2人に助けを求めようとしていた。けれど助けるにも何も返事をしない。怪しいとなればあの2人組だって…」


ガシ!


「だ、大丈夫ですお兄さん。私はその大丈夫ですから。」


「は?」


大丈夫だと?こんなに震えているのにか?

服を握りしめて震える言い方とはとても思えない発言だ。

やっぱり何か怪しい…


「にいちゃん悪いがコレはこっちの問題なんだ。アンタが関わる余地はねぇんだよ。」


「はあ?そう言う話をしているんじゃ…」


トン!


「え?」


一瞬俺の背中から服を握っていた感覚が無くなったと感じて重さが消えた。

急に何でなのかと後ろを振り返ると…


「キャ!」


女の子が路線からはみ出して線路へと落とされていた。


「な!?」


ガタンゴトンガタンゴトン!


「嘘だろ!まだ電車がくるのには後20分ぐらいは来ないはずなのに何で!」


ピンポンパンポン!

お客様に申し上げます。ただいま遅れていた電車が……


「くそ!何かの理由で早く来すぎたという話か!よくある事だな!」


俺は急いで線路へと飛び降り何故か路線から飛び出した女の子を助けようとする。


よし何とかギリギリ間に合っ……


女の子を上へ上げようとした瞬間友達と思われる女の子がその子の手を引いてくれるのかとばかりそう思っていたのだが…


「………ちゃえ。」


「え?」


パシン!


何故掴んだ手を離しそのまま後ろへと落下する。

そして……


キキキーーーー!!!!


目の前に迫る電車。

俺はその瞬間走馬灯みたいなのが出始めコレは死んだなとそう思い込む目の前が真っ暗となる。


そう俺は死んだのだこの世界から。


「………は!?」


目の前が真っ暗となって、確実に死んだ。

そう思っていたはずなのに何故か息をしている。

そして何処も痛くもない。

というより動いている。

とすればあれは夢だったのか?


「ふぅ〜なんだ夢か。嫌な夢だな。アトリエクソゲーをやっていたせいか頭がおかしくなったのか。とりあえず夢覚ましに何か飲み物でも……あ、あれ?」


何か変だ。

周りにがやけにデカくみえる。

いやそもそも見たことのない部屋だな。

俺の部屋ってこんなんだったけか?


「………ん?待てよ。何か部屋模様事態おかしくないか?こんな現代っぽくないのが置いてあったか?そもそもそんなの買ってたりしてたか?」


ガチャ!


「ラクト!何か物凄い音がしたけど!どうしたの!」


「え?」


ら、ラクト?だ、誰だそいつ。

いやこの女性もいったい誰だ?


「どうしたんだ。やけに派手な音だったが何かあったのか?」


「やだ!この子たんこぶができてるわよ。ほらお母さんが抱っこしてあげるからおいで。」


そう言って、別にこっちからいったわけじゃないのに無理矢理抱き寄せられながら抱っこされる(ラクト)

いや何がどうなってんだ。


そう思いながらたまたま目に映る自分の姿をその目先に鏡がありにらめっこする。

顔を自分がどうかなのかを確認してやたらと手をペタペタ触りまくる。


あ、あれ?も、もしかしてコレ俺なのか?

この小さな顔が…小さな姿なのが俺?


「………えええええ!!!!!」


そしてようやく合点がいったのか俺は元の姿であった自分ではなくどうやら誰かの姿へと移り変わっていたということに……いや性格には中身がこっちに入ったという事に…


……あれから2年。

7歳になった俺はこの世界でどうやら誰かの子どもに転生してしまったらしい。

物書きや文章等俺の知ってる日本語ではなく完全に何処かの外国語っぽい何かの言葉なのは間違いないと改めて認識した。

しかし俺はこの世界である共通点があるのかもしれないと思いとある街へ訪れ森へと入る。


「………なぁ兄ちゃん。」


「ああどうした?ラクト。」


「僕達森の中に入っても大丈夫なの?」


「今更何言ってんだ。ここの森は比較的に安全な場所じゃないか。そもそもお前が森を見たいって言うから父さんや母さんに内緒できたんだろ。妹のセピリアには内緒にするのこっちは必死だったんだからな。」


「ああそのうんごめん。」


この男の名前はセリダス・クリューダル。

俺の兄貴に辺り家族であって長男でもある。

そして今し方妹の名前セピリアという名前は俺達の妹でありセピリア・クリューダルという名前で一緒に森は連れていけず大人しく家で留守番をしている。

そして次男であるこの俺転生したこの男の名前はラクト・クリューダル。

恐らく家族の中では唯一幸せな家庭として生まれてきたんだろうな。

そして大事に育てられてきたというのもこの身体で十分と伝わった。


「しかしお前がまさか古代樹の森に興味があるとは思いもしなかったぞ。まさか将来はそっち方面だったりするのか?」


「いやそんなつもりで案内を頼んだわけじゃないんだけど…」


「だったらどうしてあの場所に行きたいと言ったんだ?あんな場所錬金鑑定の大人達ぐらいしか興味を示さない場所だぞ。まぁ稀にあるとしたら体験させる学校とかがここを訪れるというのがあったりするんだがな。」


「はは、にいちゃんと一緒に来たかったんだよ。やっぱりこういうのって男の憧れでもあるでしょう。」


「まさかあのお前が探検ごっこをしたいというとは…この2年間兄として嬉しい限りだよ。」


そう俺はこの2年間ここの語学を学びつつひたすら言葉の読み書きをして部屋へ閉じこもって勉強していた。

そのおかげで人付き合いに関しては印象が悪くなってしまい人と言葉を交わすのにちょっとした緊張もあったりする。

しかし俺は必ずしもコミュ症というわけではない!

ここの言葉が分からないだけであって!決してコミュ症ではない。


「……ないと祈りたいな〜うん。」


「何か言ったか?ラクト。」


「ううん何でもない。」


「そうかそれよりももう着くぞ。古代樹の森に。」


古代樹の森。

何故俺が古代樹の森へ来たかったのか…単ににいちゃんと一緒に探検がしたくてここへ来たわけじゃない。

ここの森はある本を読んでまさかと思いここへ来たかったからなのだ。

そしてここの森には恐らく…


「そら!ここが古代樹の森だ!」


「……古代樹の森やっぱりそうだ。この世界間違いなく。」


あのアトリエゲームの再現そのものだ。


見た目がそのまんま何も違和感もない。

いやまだ新しいのか……ゲームをしていた時はもう少し古かったような。


「おいラクト何やってるんだ。中に入らないのか?」


「ああ、うんごめん。入る入る。」


「しかし今日はやけに人が多いな。何か珍しい鉱石か何かでも見たかったのか?」


「珍しい物か……てかにいちゃん。」


「ん?なんだ。」


「何で裏からコソコソまわって入ろうとするの?あの人たちみたいに並んだりしないの?」


「こっちはこっちの入り方があるんだよ。そのうちお前にも教える。」


「……わ、わかった。」


なんだか不自然な感じはあるけれどひとまず気にしないでおくか。

てかそういえばここって元々立ち位置禁止区域だった気がする。

でもここの古代樹の森って相当レベルやランクがあがらなければ入れない領地だったと思うんだけど…この世界の強さ基準ってどうなってるんだ?

何かパラメーターとかあったりするのだろうか。


「………よし!今だ!」


ダーー!


「おいそこの君!まだ確認証が受諾されていないぞ待ちなさい!」


「え?」


「やべ!急ぐぞラクト俺達まであれに捕まったらここへ入るのに時間がかかってしまう。」


「えええー!にいちゃん普通に入れるんじゃないの!」


「何言ってんだ。俺達はまだ未成年だぞ。簡単に入れるわけないだろう。」


だから裏から回ってコソコソとしていたんだ。

何でなのか不思議だったけれど…

ようやく合点がいった。


「分かったよもう!」


無断で入ろうとした事がバレ大人達に追いかけ回される俺達(・・)必死に逃げてセリダスがある穴まで俺達(・・)を誘導する。……ん?俺達?


「いやいや君誰!そのままこっちについてくる普通!」


「君だって誰よ!何で私についてくるわけ!」


いやどう考えもそっちがこっちについてきてるだろう。

自覚ないのかよ。


「どっちだっていいから!早くこっちにこい!」


「くぅ!何か意味もわからずだけど……仕方がない!」


そのままセリダスが一足早く入った穴へ俺達も急いで勢いよく入ろうとする。

しかし…


「あっ!」


一緒についてきた子が木の根っこに引っ掛かり転びそうになる。


「この!」


ガシ!


俺はその子の腕を引っ張り勢いよく下り坂をその子の体を庇い立てながらゴロゴロと転びボールの用に転がって穴へとインする。

それを見た大人達はしてやられた言わんばかりの顔をしながら他の大人達を呼びに戻る。


「いっつつ。」


「だ、大丈夫かラクト!」


「う、うん。これぐらい擦り傷だから。」


「いやいやまともに外とか出ないお前の言葉から擦り傷とか…心配するだろう普通!」


「にいちゃん僕の事若干馬鹿にしていかなそれ。」


遠回しに引きこもりだから無理をするなと言う言葉が今の俺の心にはグサっときた。

今度外へ出るときは少しでも肩慣らしに体をほぐしてから出かけよう。


「それよりもあの子は……ってあれ!?いない。」


「そういえばお前の心配であの子の事目に入ってなかった。あのまま中へ入って俺に当たってそのまま下へ落下していったからな。その拍子に恐らくバラバラになってどこかへいったんだろう。」


「なんなんだあの子はいったい……普通お礼ぐらい言ってもいいと思うんだけど…」


「そうだな。でも急いでいたというのあって何か訳ありの子かもしれないぞ。大目にみてやれ。」


「ぐぬぬ……まぁにいちゃんがそう言うなら。」


帽子被っていて顔をハッキリとは見えなかったけれど、確かセリダスの言う通り何か急いでいた風にも見えた。

何か諸事情があったのだろうか……まぁもう関わりがないだろうし別にどうでもいいか。


「さてとここへ侵入(・・)できたんだ。まずは何処へ行こうか。」


「にいちゃん実は行きたいところがあって、光る湖があるって所にいきたいんだけど…」


「ああ〜黙示の祭壇か…あそこは子どもは近づいちゃ駄目な場所だからな。正直あまりオススメはできないんだなコレが…」


「そこを何とかお願いしますにいちゃん!」


「………まぁ弟の頼みだしな。こんな機会滅多にあるか分からないし……よし行ってみるか!」


「さすがはにいちゃん頼りになる〜!」


いきなりのハプニング。

それを何とか突破できた俺達はこのまま森の大樹の中であるこのダンジョンから地下2階にある黙示の祭壇へと目指す。


「てかにいちゃんしれっと侵入って言ったよね。もしかして元々ここへの許可って…」


「当たり前だろ。そんなのもらってるわけがない!」


「ははは、そうだよね〜〜……はぁ。」


もしかしてセリダスにお願いしたのはやっぱり間違いだったのではないのだろうか…そう思いながら下へ降りていくのであった。


樹木地下2階 黙示の祭壇


「やっぱり凄いな。ある意味爽快だぞここは!一度見ても凄かったが2度見てもまた凄いな!」


「………」


黙示の祭壇…その名の通りここは黙示とされる物が置かれている。その祭壇の場所の向こうに大きな扉があり紋様が描かれているのを目にしてラクトは不可思議に思う。


妙だな。ここは元々開かれてる状態になっていたはず。

なのに閉じているというのはどうも不可解だ。

俺が知ってるゲームだとここはまだ侵攻(・・)されていないはず。


「どういう事だ。昔にこんな扉があったという話も聞かされてはいない。何かわけがあるのか?」


「あ!あの子確かさっき一緒に流れ込んで入ってきた子じゃないか?」


「え?……本当だ。」


何やら楽しそうにしながらあちこちを見回って鉱石みたいなのを触りながら目を光らせて何か頷きながら納得している。


「どうやらあの子もここのダンジョンに興味があって入ってきたんだな。……けどあまりここら辺の物には触らない方がいいと伝えた方がいいかもしれん。」


「!?」


そうだ!思い出したぞ。

確かあの辺にある物って…


ポチ!


ガガガガガガガガガガガ!


「え!?な、何!」

「お、おい何だこの揺れ!もしかしてここが崩れるのか!」


違う。性格にいえばこの揺れは…


ギギギギギ!!

ギギーーー!!


「な、何あれ!」


「も、モンスターか?」


そうここの古代モンスター…機械仕掛けのレアモンスターだ。


「!にいちゃん出口はどこ!」


「え?ああそうだな。ここにいれば俺達全滅になるな。待ってろ!直ぐに出口を…」


キラン!

ビュィーーーン!

ドバン!


「にぃちゃん!」


ガラガラガラガラ!

ドッカン!


嘘だろ。あんなに威力が強かったか。

崖の上にいたセリダスがビーム光線に直撃してしまった。

でも本人には当たってないはず。

となればまだ生きている可能性がある。


「!セリダスの心配だけをしている場合じゃない。俺の記憶が正しければもう一体起動して…」


ウィーーーン!

ズドン!ズドン!


「あ、ああ…」


「しまった!もうそっちに行っていたか!」


あのままだとあの子までやられてしまう。

ゲームならただのゲームオーバーで済むが、コレはゲームじゃない。現実世界と同じ俺が日本にいたあの時と同じ……

あの子を救えたかどうか分からないまま死んでしまってまた同じ事を俺は繰り返そうとしている。


「いやそれだけは何としても回避しなければ!」


俺はビクつく足で急いで怯えて地べたに座り込む帽子の女の子の方へと駆け込みながらもう一体コチラへ狙いを定めているのを確認し岩陰に隠れる。


ビュン!

ドッカン!


「くっ!やっぱり動き出す対象に狙いを定めているか。となるとあの子が怯えて後退りしているのはかなり危険だ。どうにかして近づかないと…」


ウィーーーン!

ガシャン!

ギュギュギユ!!


「いやまじかよ!いきなり大技だと!エネルギーを溜めてこんな場所で放射されたら木っ端微塵になる。」


あの砲撃がされるのにはまだ数秒だけ時間がかかる。

ここからあの子の所にまではしればなんとか…


「こつなったら一か八かだ!」


ダッ!


ギギギギギ!

ウィーーーン!

ガシャン!


女の子の方へ狙い定めていたもう一つのレアモンスター。

そのモンスターも狙いを俺に定める。


「やっぱりな!狙い基準を強い光に反応して定めている。単に動きだけで狙いだけを定めているわけじゃないというのは前のゲームそのもののだな。」


アイツに動きを探知する機能が2つある。

1つは鋭角な動き。

2つは光輝く物。


子どものちょこまかな動きと今俺が持っている錬金工房で作った鉱石。コレで奴等は俺をターゲットにする。


「頼む間に合ってくれよ!」


急いで帽子を被っていた子に近づき何とかその子の腕を引っ張って機械仕掛けのモンスターから距離を取ろうとする。


「さぁ!立てここで死にたくないだろう。」


「む、無理だよ。た、立てられないよ。こ、怖すぎて腰が抜けちゃった。」


「こんな所で怖気づくな!このままだと本当に…」


ピカン!


「え?」


嘘だろ今目元が光った。

そんな馬鹿な。そんな早くにエネルギーが溜まって…


ギューィーーン!

ビュィーーーン!

ドッカン!


2つ機械仕掛けのモンスターからエネルギー放出を放たれ地面が崩れ俺はその子を庇いながら落下してしまう。


「クソ!このままだと死んでしまう。……いやまた死んでたまるかよ。」


ボチャン!

ボチャン!

ボチャン!


僅かに聞こえる水の音。

コレはもしかして…


「頼む上手くいってくれ。」


ポケットにもう一つ詰め込んでいた錬金で作った石。

それを落下の最中に水の音がする方向へ投げる。


ポチャン!

プシュ!!


投げた石はその場所から勢いよく水が上に上がり俺達はその水圧で落下を防ぎ水の中へとゆっくりと落ちていく。


バシャンバシャンバシャン!


「プハ!」

「プハ!」


何とか泳ぎきり岩場の陸へと上がって息を整える俺と帽子を被った子……いやどうやら水圧で打ち上げられた水の拍子に帽子は水の何処かに落ちてしまったのか取れてしまったその子に声をかける。


「だ、大丈夫か。本当に危なかったな。何とかお互い無事で……!?」


無事でよかったとそう言葉をかけようと帽子が脱げた子の方へ顔を向けた瞬間。俺は衝撃的な光景を目にする。


「う、うん。あ、ありがとう。おかげでさっき怖気づいた痺れみたいなのが取れたみたい。……どうしたの?さっきからこっちをみて…何か私の顔についてる?」


………そ、そんな馬鹿な事があるか。

俺は今誰と話しているんだ。そもそもこんな事ありえない。

外見は小さな姿ではあるが…俺はその姿をゲームをしてちゃんと知っている。

そしてその姿がそのまんまそっくりだなんて事…普通はありえないんだ。

第1この場所があのアトリエ世界かどうか確認する為に来ただけなのに…なのにどうして…こんな所でこんな巡り合わせがあったりするんだ。


「ねぇ?本当にどうしたの?大丈夫?」


その声と顔はやはり紛れもなくその本人だと自覚した俺はこの子がこの世界でのキーパーソンとなる人物。

……この世界の主人公となる女の子…プレデシア・ルミナだと確信した。

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