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2.5 『ブシドー イン ザ ドリーム』

それは、いつか忘れる思い出―――――夢だと、信じたい。 その日、ブシドーは唐突に言い寄ってきた。『まだ返事聞いてないんだけど?』 カラポンは何のことを言っているのか、全くわからなかったのだが…

『ブシドー イン ザ ドリーム』 


「…答え?」

「そうだよ。まだカラポン、ちゃんと答えてくれてないじゃない!」

 ブシドーは不思議なことを言ってきた。何か返事してないことがあるらしいんだけど…全然思い出せなかった。

「何のこと?」

「私、すっごい恥ずかしかったのになー。…まだわかんないの? カラポンのニブチン!」

 肘で小突かれた…。

 なぜだろう。こんなやりとりは、そう珍しいことでもないのだけど。

(今日のブシドーは…なんだか可愛い………)

 今まで何とも思ってなかったような、彼女の一つ一つの動作が気になって、その全てが愛らしく見える。クスッと笑う唇とか、髪を払う指先とか、急に近付いてくる瞳の瞳孔だったり。

 異常だ? どっちが? 俺? ブシドー? それとも…?

「カラポン、あそこ行ってみない?」

「ん…どこ―――――?!」

 ブシドーが指差した丘には、なんだか見覚えがあった。そこにはきっと大きな木があって、丘のてっぺんにはきっと―――

(………丘のてっぺんには………?)

 ブシドーは俺の服を強く引いて―――――離さない。なぜか、あそこには行きたくない気がしたのだけれど…。



「あぁっ! 気持ちいい!! 風が見えてくるみたい!!」

「…ああ、そう…だな」

 見渡す限り、どこまでも続いていそうな緑の草原。丘の上から風が吹き降りる度に、背の高い草達がお辞儀をするように頭を下げ、風の通り道を開け、その姿を晒している。

 俺はその草達の上に腰掛け、ブシドーは両手を広げ、風を全身で受けながらくるくる回っていた。

「きっとこの木が指揮者で、草達がオーケストラの楽器達なのよ。この風景そのものが、一つの音楽になってるんだよきっと!」

 …こんなに楽しそうにしているブシドーは初めてだった。ブシドーと言えば、いつもツンツンしていて、何かあるたびに怒っているような印象ばかりだった。

(それが、どうして?)

「ねえ、カラポン――――」

 俺は座ったままブシドーに振り返った。日がいつの間にか傾き始めていて、あんなにも青かった空が、端の方から朱色へと染まってきていた。少し、風が強くなってきた。

「まだ、わからないの?」

「…え?」

 わざとらしい溜息をついたブシドーは、大げさに髪をすくって、くすくす笑っていた。

「私、すっごく恥ずかしかったのになー。あはっ、これさっきも言ったよね。いいよ、カラポンが思い出せないなら、私がもう一回やる。そうしたら、ちゃんと返事してね」

 そう言うと、ブシドーは髪の結び目に手をかけ、ヘアゴムを外し始めた。 …なぜか、露出した彼女の両方のわきに目が行った。それから胸へ、そしてほどける黒髪―――。

ふわりと広がる一本一本が、まるで神々しい滝から弾け飛んだしぶきみたいに綺麗に見えて、酔ってしまいそうなぐらいだ。

…だけど、

「何のこと………?」

 肝心な、俺が返事しないといけないことが全く思い出せていなかった。ひょっとして、俺は何かとんでもない間違えをやらかして、ずっと、そのままにしてしまってきたんじゃないだろうか?

 案の定、ブシドーは少し残念そうに憂いを帯びた笑みを浮かべていた。

「…思い出せないなら、それはもういいの。私がカラポンから欲しかったのは、答えだけじゃないもの」

 丘のてっぺんの木が、激しく葉を揺らし始めていた。風が、強くなってきたらしい。

草原中の草達が、何かを伝えたいかのように―――あるいは、何かをかき消そうとしているかのように騒ぎ始めていた。

「…カラポン。私、本当にすっごく恥ずかしかったんだよ。でも、私、カラポンだから言えたんだよ? 勇気を出して言えた………カラポンだったから………拓二だったから、言えた………」

「…ブシ、いや、寒来………おまえまさか、あの撮影の時の………」

 ブシドーは、しかし、首を横に振った。指を一本立て、唇に当てて、小さくこう答えたのだ。

「名前で…呼んでほしいな」

「…、」

 その時の一瞬の戸惑いを、俺は一生忘れることはできないだろう。普段ブシドー、ブシドーとあだ名で呼んでいた彼女の、本当の名前を思い出せなかったなんて。いつも、ほとんど毎日会ってたって言うのに。

「………ぁ、えっと………」

「……………」

 彼女は待っている。俺から呼ばれるのを、待ち続けている。彼女の表情は、ずっと変わっていなかった。

(………俺は、最低の男だな)

 立ち上がった俺は、彼女を見上げた。

…今なら俺も、言えるような気がしたから。

全部を捨てて、選ぶことができるような気がしたから。

俺は、この丘の上で、…決意できるような気がしたから!

「…ああ!」

「………」

 風が吹いた。目を開けてられそうにもないような、強い風が。

だけど、ブシドーは…魂子は、ずっと待っていた。この風にも微動だにせず、ずっと、ずっと待っていたんだ。

だから、俺は叫んだんだ。

「魂子ぉっ!」

「………拓二」

 乾いた土が、埃のようい舞い上がり、てっぺんの木は葉を散らして、荒れ狂うように風の叫びをぶつけられていた。

でも、ブシドーは立っていた。両手を胸に乗せ、祈るように………俺の答えを待っていたんだ。


「私……… あなたのことが、ずっと―――――」




 どすんッ。




 …ずっしりと、重たい物が落ちてきたような音がしたきり、突然世界から“音”が消えて無くなった。

なのに、世界は動いている。ゆっくりと、スローモーションのようにゆっくりと、風になびく草や、木の葉や、髪の毛が、見えていた。

(……………え?)

 音源は、俺の足元に落ちてきた、枝がついたままの青いリンゴだった。どすんッと、てっぺんの木から落っこちてきたのだろう。

 それはたちまち赤く染まって、茶色くなり、しぼんで、腐って、黒く焦げていったらしかった。

 でも、俺が見ていたのはそんな物じゃないはずだった。だって俺は、ずっと見ていたはずだったのだから。

「………た、」

 彼女が、魂子が―――――



「魂子ぉぉぉおおおああおあああああ!!!!!!!!!!」




 頭を撃ちぬかれる瞬間を、ずっと見ていたはずだったのだから。






「カラポンは、私の物だから――――」

 何かが回転してるような、奇妙な駆動音が風に混じって聞こえてきていた。それは高い世界から…常に俺達を見下ろしていたに違いない。きっと、ずっと、最初から見ていたに違いないのだ。

「………りん、ご………」

 蒼井、林檎。いつものジャージスカートの格好ではなかった。

青の短パンに緑のノースリーブ。女子高生の私服らしい格好をぶち壊しにしているのは、右肩から破るようにして突き出た鉛色の砲身だ。黒いケーブルの束が何本も露出していて、千切れた所からはバチバチとオレンジの火花が飛び散っていた。

「泥棒猫は、許さない。許せ、ない―――――」

「!?」

 一際大きな白い火花が飛んだかと思うと、砲身の奥が太陽色に光り始めた。


 危ない!


 そう思った時にはもう遅かった。


 風が、ちぎれた。


 吹き飛ばされた俺と魂子は、丘のてっぺんから放物線を描くように落ちていった。

 ぶおんッ、という鈍い音が聞こえたかと思うと、一瞬の眩しさの後に、突然視界が真っ赤に染められてしまった。

(二発目…?!)

 何かが飛んできて、俺は意図せずそれを右手で受け止めていた。左手は、腕ごと吹っ飛んでしまっていたから。

「………魂子?」

 軽すぎた。《体の半分が無くなってしまったみたいに》、魂子の身体は軽すぎた。でも、真っ赤な視界でそれを確かめるにはどうにも無理があった。

「あっ…」

 地に落ちた感触は無かった。だけれど、体は弾けるように草の上を転がり、俺と魂子は別々の所に倒れたらしい。

動く右手でようやく拭えた視界に映ったのは、あの、夕焼け雲の広がる、大きな木のある丘だった。

(そうか………これは)

「夢だったんだよ」

 彼女は舞い降りた。左手に白の、右手に黒の翼を引っさげて、神様が降臨するみたいな優雅さで舞い降りてきた。

「カラポンと二人っきりの世界になることが、私の夢だったの。邪魔は許さない、させない。

カラポンを盗んでいくことは、もっと許せない」

 上を向いていた鉛色の砲身が、グインと角度を変え、俺の方を向いた。いや………もしかすると、俺じゃなくて、

「………魂子を、撃つのか…?」

「うん。いらないもん」

 

ズドン――――。

 

 俺が砲身の先を確かめるよりも早く、林檎は三度目の狙撃を行った。熱風が草をちぎり飛ばして、また俺の視界の邪魔をしてしまう。

まるで、お前は見るなと言っているかみたいに。

「ブシちゃん、ロスト。あははははははは」

 焼け残る焦げた土の上に、もう魂子は跡形も無くなっていた。黒い円の外側に、ぽつぽつと、飛び散った赤黒い斑点が、魂子がそこにいたという他ならぬ証明。

 魂子は、こんなにも小さくなって消えてしまった。

「カラポン? 腕、痛い? 私が慰めてあげるよ。だから、ここまで来て? 私が慰めてあげる、ヨ?」

「………」

魂子は、ずっと答えを待っていた。なのに、俺が気付けなかったせいで、俺は答えを聞かせることができなかった。あいつはただ、答えが聞きたかっただけなのに。

「慰めてくれるなら………」

「なぁに、カラポン? ふふふ、エッチなことはダメだよ? ふふふ、フ」

 俺は、魂子に答えたかったのに――――――!!

「魂子を生き返らせてみろ!」

 立ち上がった瞬間、ズキズキと体中に痛みが広がってきて、立つことさえ辛い状態であることを改めて認識するはめになった。でも、林檎に弱いところを見せるわけには、いかない。

「生き返らせる? あはは、そんなこと無理だよ。だって、この世界にはもう、私とカラポンしかいない。私とカラポンしか、必要が無いんだもん」

「それでも俺はっ!」

 右手に力を込める。…林檎の砲身が動くのも、音で感じていた。

「あいつに答えたかったんだ!!」

 草原を駆け上り、砲身から飛び出す火花にも構わず、俺は林檎に拳を振るった。その瞬間、オレンジ色の火花が飛んで、林檎の冷徹な笑みを真横から染めていた。

 …後は、真っ暗になってしまった。





「……………ぁ、はぁ………はぁ………」

 辺りはすっかり、夜になってしまった。夜、というよりも、ただの真っ暗闇、という方が正しいかもしれない。

星も見えない、月も見えない。なのに、草があちこちにはえているのだけはよくわかる。…よく、見えていた。

「………こんなこと、望んでなんかいないのに」

 それでも林檎は、夢だと言った。二人きりの世界。邪魔は許さない、と。

「………なのに、なぜ俺を殺そうとするんだ」

 これがユメだから? 本当に?

「ユメ、なんだよな?」

左手が疼いた。神経なんて通ってないはずなのに、痛い。肩からはえてきた、変な銃口みたいな奴は、俺の肩を血だらけにして、ズキズキとした痛みばかりを俺に送ってきた。

「………ユメで、あってくれ………」

 ガタン、と、何かが崩れる音がした。砲身がずれ、傾いて倒れたのだ。俺は感覚の無くなった足で立ち上がり、林檎の傍に寄った。

「………私達の…………」

 呟くような声が漏れていた。よく聞こえなくて、俺は林檎の顔のすぐ傍まで自分の顔を近づけた。

「………何て言ってるんだ、林檎」

 林檎の額には黒ずんだ穴が開いていて、そこからよくわからない何か赤黒い物や、黒く焦げた回路みたいなのが出てきていて、目も当てる気になれなかった。

「………私達の…愛は………にせ、もの………だった…の……ぉ?」

「…!」

 思わず顔を離していた。何故か、キスをされるような気がしたから。

 だけど、林檎は動かなかった。怒ったような顔をして、目を開いたまま、そして………両方の目からは、涙が溜まり、流れ出て、留まっていた。

「林檎………林檎、林檎! 林檎ぉっ!!」

 林檎はロボットなんかじゃない。魂子は死んでなんかいない。俺だって、ロボットなんかじゃない。そして………

「俺は………林檎を殺してなんかいない!!!」

 しかし、蒼井林檎は動かない。もう火花さえ飛んでいない。回転する駆動音も聞こえない。…風に髪が揺れることさえもない。

「俺は殺したくなかったんだッ!!!!」

 しかし、蒼井林檎は動かない。

「俺は林檎を殺せないッ!! 林檎を殺せる武器だって持ってない、ロボットなんかでもないっ!! あいつはだって、あいつはだって………」

 埃が飛ばされるように、少しずつ崩れ、消えていく世界を前に。俺はただ、焦げるように熱い銃身を頭に押さえつけながら、死んでいく感触を実感していた。

「あいつは人間だったんだ!! だからあいつは、人間だから死んでしまったんだ!!! 俺に殺されて…………うおおおおぉぉおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

 早く、こんな悪夢を終わらせたい。夢なら、覚めてくれ。

たとえ、今の俺が死んだとしても。


―――――――


 それが、今日の夢だった。何度も何度も、飽きるぐらいに見せられてきた、同じ結末の夢。

しかし、今日はいつもと過程が少し違っていた。

「………なんで、ブシドーなんだ」

 ベッドの中で、正直俺は頭を抱えた。なんで、何で俺はこんな夢を見てるんだ?! 林檎だけならともかく、なんでブシドーまで………。

(…確かにあの時のブシドーは可愛かったさ。今まで全然気付いてなかった魅力を、いっぺんに披露されたような気持ちだったさ)

 ふと机を見ると、パソコンが電源が入ったままになっていて、宇宙空間のスクリーンセーバーが無機質に星々を巡っている最中だった。マウスを動かすと、動画の編集画面が出てきた。

「………これのせいかな」

 ちょうど、昨日撮影したシーンをパソコンに取り入れた所だった。

ヒロイン役のブシドーが、友達と電車で出かけるシーン。山岳公園で、主人公と二人きりになり、そしてあの告白シーン。

『私のこと………、好き?』

 画面いっぱいに映るブシドーの表情は、愛らしく、恥じらいも浮かんで、思わず息を呑んでしまう。ブシドーは本当に演技がうまい、剣道なんて辞めて女優目指した方がいいんじゃないだろうか。

「………演技、なんだよな」

 今日見た夢。ブシドーの告白。………アレはつまり、撮影の時のセリフは、単なるセリフではなく、俺に向けた言葉だった、という意味だったんだろうか………。

(あるいはそれすらも演技か………どっちにしろ、夢か)

 再生画面はノイズが飛んで、全然違うシーンに変わっていた。少し錆びの浮いた保存電車が映っていて………って、まさか。

『うほっ、林檎先輩大胆だなー』

『アホ助先輩、声大きいです』

『カラポン……んっ』

「………粟野の野郎……っ」

 床に寝転がって、密着し合っている俺と林檎が大きくディスプレイに映し出されていた。あぁ、他人から見たらこういう風に見えてるんだな、と………俺はうんざり半分、恥ずかしさ半分に、パソコンをシャットダウンさせた。

「………横になってよ」

目覚ましを見たら、まだ三時だった。寝れなくも無いが、またあんな夢を見るのかと思うと寝る気にはなれない。

ぼんやりと、天井とにらめっこをしていた。



―――――――


「めんっ!」

 かしゃんっ――――

「いでぇっ!?」

 あー………目の前が真っ白だ。チカチカする。

「カラポンもいい度胸してんねー、四時間目ほとんど寝てたんじゃないのー?」

 寝てた? 記憶すらないが、たぶんそうなんだろう。授業中ぼんやりとしていて、ほとんど内容が思い出せない。ブシドーが三角定規を横向きにして、自分の手をぺしぺし叩いていた。

「………ブシドー、監視してたのかよ」

「監視とは人聞きが悪いねー。あんたより後の席なんだから、良く見えるに決まってるじゃない」

 カラカラと笑うブシドー。昨日の夢のような面影は、無い。…当たり前か。あれは、夢なんだから。

「ちょっとカラポン、聞いてんの? まーだ夢の中なんじゃないの?」

「………るせーな。ブシドーが授業中ずーーっと俺のことを見てると思うと、ゾゾ〜ッとして仕方ねぇ、って思ってたところさ」

 なんですってー! と、三角定規を“縦に”して振り下ろそうとするブシドー。

 …うん、いつものブシドーだ。

教室の中は、そんな珍しくも何ともないやり取りがあちこちで溢れている。いつもの教室、いつもの皆、いつものブシドー。

「なぁ、ブシドー」

「うん? 何よ」

 昼休みが始まって三分。もうすぐアイツがここへやってくる。だからその前に、これだけは伝えておこうと思った。

「俺に惚れんなよ。大変なことになるぜ?」

「…はぁ〜? カラポン、頭おかしくなっちゃったんじゃないのぉ?」

「かっらぽぉ〜ん!! おべんとたぁべよおーー!!」

 ブシドーの返事と、林檎が教室に入ってくるのはほとんど重なっていた。俺がブシドーと話しているように見えなかったのか、あるいは最初から無視しているのか、俺を見つけるや林檎は全身全霊を込めんばかりの勢いで抱きついてきた。

「わっぷ…?! 林檎、息できね………」

「カラポ〜ン、早くお弁当食べに行こうよ〜、冷めちゃうよぉ〜」

 お弁当なんだからもうとっくに冷めてるんだけどな………。

「さ! カラポン行こっ!! れっつら、ごーぅっ!!!」

「わかった! わかったから、ここで抱き付くのはやめろ〜!!」

 なんとか林檎を引き離し、カバンから弁当を出した俺は、足早に教室を出ていった。

 後ろ指をさされるのも、陰口を言われるのも慣れていた、けど、林檎と二人でいるところを見られるのだけは、どうしても慣れることができなかった。

 とにかく、早く逃げたかった。




 「何言っちゃってんのよカラポン………何なのよまったく………バカっ」

 その不思議な感覚を、魂子は忘れることができないだろう。

 あまりにも突然の変化。血の気が引いたような浮遊感。なのに、熱くなる手のひらと2つの頬。怒りに似た快楽的な興奮。

 …それらを表す一つの言葉を、魂子は知っていながら、気付いていなかった。

 そして………彼もまた、気付いていなかったのだ。


 引き金を引いたのは、魂子ではなく、唐林卓二、彼自身であったことに………。


『ブシドー イン ザ ドリーム』 終


第3話へつづく…

本編からの降格作品です(苦笑

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