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魔法における詠唱とイメージと距離の影響①

【注意】少し下品なこと言います。

考察、解析ターンが続きます。

苦手な方は結論だけ()(つま)んで読んでください。

次は温度の測定だ。


魔粒子の膜から空気は漏れなかった。じゃあ少なくとも魔粒子はそこら辺の分子よりは小さいということだ。というか、エネルギーだと思っていたが、直接触れて動かせるのだから物質としての性質もあるのだな。


益々分からない魔力。


分子より小さいのならば、魔粒子を応用できればかなりの解像度で解析ができそうだな。というか魔粒子の大きさは調節できるのかな?


どうやって温度を測定しよう。[熱を出すものが黒体でないなら、遠赤外線を計測しても補正が必要そうだ。……、いや、でも同じ物質なら必要ないか。例えば全部の赤外線が1/2の強度で出てくるなら問題ない。先ずはある温度で測定して、縦軸を強度、横軸を波長にしたグラフを描く。そのときのピークを与える波長を読み取る。次にいくつかの温度で測定した結果を纏める。縦軸を強度のピーク波長、横軸を温度にした検量線を描けば良い。その回帰式に調べたい温度で測定したピーク波長を代入すれば、そのときの温度が返ってくるはずだ。]


温度を測るだけなら熱電対でも作ってしまえば楽なのだろうが、そうなると他の電磁波の計測に役立たない。検量線というか回帰曲線の補正のために後で作ろうとは思う。


色々な波長が混ざった光だと分析し難い。魔粒子を並べて回折格子を作ろう。測定機器ではマイナーな透過型だ。ぼくにはこっちの方がイメージしやすい。


[回折格子は同じ幅の線が入ったガラスを想像すれば分かりやすい。線に当たった光の進む先は、線の部分から発生した光と見なすことができる。波は素原波の集まりだと考えるホイヘンスの原理だ。線から発生した光は、周りの線から出た光と干渉して、強め合う部分と弱め合う部分が出来て、(しま)模様が出てくる。これが干渉(じま)だ。そういえば、家庭教師をやっているときにレーザーポインターに髪の毛を1本当てて見せてあげたな。勿論(もちろん)、干渉(じま)の幅は波長によって異なる。波長が短いほど小さな幅で、長いほど大きな幅の(しま)が出来る。したがって、波長によって分かれた光を出すことができる。]


因みに反射型はCDのように入ってきた光を分光して反射する。構造色と言われるものの一種で虹色に光って見える。(ちょう)(はね)なんかでもこういうものがある。


長さが分からないから、適当な幅でスリットをつけて魔粒子を並べる。可視光を入れてみて、色々な波長に分かれた、つまり色々な色に分かれた光が出て来る幅を見つける。


"回折格子"


自然光が虹色になって出てきた。少し幅を大きくして、遠赤外線の分光に適当そうな幅にする。


こんなもんかな?


回折格子の手前に単一のスリットを置く。これで、分かれた光の欲しい波長を取り出すことができる。


強度の測定は簡単だ。ここが魔粒子のすごいところ。ぼくに帰属している魔力は、感知した情報をぼくに伝えることができる。だが複雑な情報が入ってくるとぼくの脳が処理できないため、光を分けて単純化する必要はある。


"沸騰"


周りの赤外線の影響を少なくするため水の入ったコップに箱を被せる。コップ内側には線を引いて、同量の水を入れられるようにしておいた。


"回折格子"


箱の隙間から魔力を入れて、中で回折格子を作る。


"魔力よ、光を感知せよ"


微視的な範囲で魔粒子を横に並べ、回折格子の角度をゆっくりと変えて行く。当たった光の強度によって、並んだ魔粒子が後退する。簡易的な波長-強度曲線の完成だ。基準は定かではないが、温度の定量には充分だろう。


"凝固"


今度は氷水で同じことをする。


出てきたグラフの極大を与える波長を縦軸、温度を横軸にして反比例の式で回帰する。[根拠はウィーンの変位則。]魔粒子を並べて回帰曲線を作れるのも便利だな。


地球に倣って、凝固点を0度、沸点を100度とする。


やっとここまできた。(いよいよ)、魔法威力の定量だ。先ずは詠唱の相違による威力の変化を確かめよう。


更にここで考えることがある。詠唱の単位についてだ。長い詠唱は、原理の説明や祈願の後に、技名というか決め科白(ぜりふ)のようなものが短く続く。この2つは役割が少し異なっている気がする。前者を前詠唱、後者を詠唱核と呼ぼう。


遠赤外線の測定だ。気温、天気に影響されやすい。なるべく短時間でやらなければ。


詠唱核のみによる相違を見るために、イメージも込める魔力も一定にしなければ。……これくらい?一摘みの魔力と言うのがしっくりくる量を込めることにする。沸騰させたら意味がない。イメージは加熱の原理からかけ離れた弱いものが良いな。適当に火で(あぶ)るイメージでもしよう。


さあ、(とき)は来た!


"レンジ・デ・チン"


"レンジ・デ・マン"


"たこ焼き"


"ナポリタン"


"加熱"


"溶岩"


"heat"


"chauffage"


"エマルフ(炎)"


……


言葉を言っては測定をして、を繰り返した。日本語、英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ここで使っているレオール語、色々な言語でやってみた。


レオール語とフランス語での結果はまずは置いておく。その他の言語では、加熱や火に関する言葉は4度くらい上昇、それ以外は3度の上昇。もっと解像度高く見られるけれど、ばらつきを考慮すると今はこれくらいで良いや。


予想通りだったのは、詠唱はイメージを助けるためのものだということ。なんでも良いのだ。加熱関係の言葉の温度上昇が少し大きかったのは、無意識なイメージが原因と考えるのが妥当そうだ。


予想外だったのは、レオール語とフランス語では、加熱や火に関する言葉は6度くらい上昇、それ以外は5度の上昇だったことだ。言語による違いがある?レオール語だけが魔法威力の増大に影響するのなら、この世界の言語の方が有利だと結論付けられる。何故フランス語……。


何となく答えは分かっている。ぼくの趣味と興奮が鍵だ。


この2つの言語は、ぼくが『カッコイイ』と思っている言語。台詞を言うときに興奮するのだ。つまりアドレナリンが多く出る。


まだ曖昧だけれども、この厨二心も魔法威力の増大に繋がると結論付けよう。


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