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魔法使いの資格④

試験会場の部屋に入ると、10歳前後の子供が多く居た。本を読んで待っていると、次々と受験者が入ってくる。粗方、騒いでるのが10歳より上、直前まで本を読んでいるのが下だろう。


「うわ、こんなチビが試験受けるのかよ。絶対受かる訳ねえよな。」


「裏口合格でもあんじゃねえの?おい、チビ!ズルしちゃダメだぞ!」


大きな動物が騒いでいる。耳障りだな。


「おい、チビ!聞いてんのか!おい!」


試験官が入ってくる。


「下がれ()れ人。また落ちるぞ。」


逃げられる状況になったので反応してあげる。


「おい、今なんつったお前!許さねえぞ!」


お前の許しがなくともぼくにはなんの支障もない。


「皆様、これより魔法使用免許試験を始めます。ご着席ください。」


「お兄ちゃん、早く席に座った方が良いよ。」


満面の笑みで忠告をあげる。


「覚えてろよ。」


「ぼくまだ小さいから忘れちゃうかも。」


倫理の面接で落ちそうなクソガキだな。


試験が始まった。2,3問自信がないものがあったが、他のものは自信を持って回答できた。


「試験終了です。解答用紙の回収が終わり次第、ご退席可能となります。」


はー、とりあえず法律は終わった。肩の荷が下りた。


「おい、チビ。どんなズルしたんだ?」


まだやってたのかよ。


「うーん、頭の中に入れた記憶を元に問題を解いただけだよ。普通の人はできるから別にズルじゃないよ。あ、もしかして頭に記憶入れられること知らなかった?」


「ふざけんなよ!」


「別にふざけてないよ。じゃあ、またね。ばいばーい。」


「おい!待て!」


「試験官の人まだ居るよ。倫理の試験受けられなくなっちゃうよ?」


「……くそっ。」


部屋を出てお父さんに落ち合う。


「ぱぱ、できた!多分大丈夫!」


「よくやった!流石シアだ!とりあえずご飯食べに行くか。」


「うん!」


うわー、高級そう。


「ぱぱ、高そうだけど大丈夫?」


「ここでケチって何になるんだ。今は遠慮するな。」


なるべく安いものにしよう……。やっぱお肉にしよ。


「ねえ、フューって何?美味しい?」


「ここら辺で育ててる動物だな。味は……食ってみろ。美味しいぞ。」


フューのステーキを頼んだ。こういう単純な料理は素材の味が分かる。牛肉みたいな感じだな。


「これ美味しいね!ありがと!」


「お会計10000イドロスになります。」


うわ、お母さんの作る魔石100個分……。


「次は面接だな。またここで待ってる。大丈夫だ。」


そう言ってぼくの頭を撫でる。いや、お父さんの方が緊張してるじゃん。


面接官に法律の試験の結果をもらう。正答率98%だ。9割で足切りされるから、ここはパスできたな。


質疑応答を行って試験を終える。


「ノシアール・エフィーニュさん合格です。」


試験終了して数分程度待ち、結果をその場で告げられる。素直に嬉しい。


「ありがとうございます。」


「免許証を受け取るには、同意書への署名が必要です。こちらをよくご覧いただき、同意できる場合は署名をお願いいたします。」


法律を守ること、違反した場合は免許証の停止、剥奪、最悪の場合は魔力を溜める臓器、魔臓の摘出を行うことへの同意書だ。


サインをして免許証を受け取る。やっとここまでこれたか。これからが楽しみだな。


「免許証は魔紋(まもん)登録をしなくては効力を発揮できません。魔力を出せるようになりましたら、お近くの役場等でご登録ください。」


「分かりました。」


魔紋というのは人が持っている魔力の指紋のようなものだ。一人一人違うらしい。[赤外吸収スペクトルで言う指紋領域]のようなものだと認識している。図書館ではお父さんの魔紋登録がしてあったし、ノナックが家に泊まったときに通信魔法で連絡できたのも、魔紋が分かったからだ。


「あまり私語をするなと言われているのですが、4歳で合格するなんて凄いですね。2,30年に1人くらいはいるんですけれども、それにしてもご立派です。これからのご活躍をお祈り申し上げます。」


最後のそれ、落ちたときの台詞っぽいな。


「ぱぱ、受かったよ!」


得意顔でお父さんに告げる。


「よくやった!本当に頑張ったな!」


お父さんがぼくを抱き上げ、更に掲げる。少しして、さっきのクソガキと目が合う。下りて声を掛けてあげる。


「大丈夫だよ。ちゃんと頑張れば4歳でもできるから。来年も頑張ってね。」


背伸びをして隣から頭を撫でてあげると、赤くなった目でぼくを睥睨(へいげい)した。何か言う気力はないようだ。母親に慰められている。


悪意を向けてきた相手を叩きのめしたいのは前から変わらないな。性格の悪さまで持ってきてしまった。


「じゃあ帰ろうか。母さんもきっと喜ぶぞ!」


「ポックも喜ぶかな!」


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