表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/166

魔法使いの資格①

「ねえ、ナックは幸せ?」


ノナックと広場へ遊びに行く途中の草原で尋ねた。


「うん。家族も友達もみんな好きだよ。一緒にいると幸せ。シアは?」


「ぼくも。手、つなぎたい。」


「しょうがないなあ。」


また次の日、お父さんが帰ってきてから2人に話を切り出した。


「ぼくはいつになったら魔法使っても良いの?」


「10歳よ。……もっと早く使える方法もあるけど、やってみる?」


「やりたい!」


「シアならそろそろ行けるかもしれないぞ?」


「何をすれば良いの?」


「試験を受けるのよ。前にしてい良いことと悪いことを考えられなきゃ、魔法は使っちゃダメって言ったでしょ?普通は10歳になる年に学校で受けるんだけど、それより前にも受けることはできるのよ。」


「やったー!それやりたい!」


「ちょっと遠くまで行かなきゃ行けないのよねえ。とりあえずは試験の勉強をしなさい。受かりそうならまた考えるわ。」


「じゃあ次の休みの日に一緒に図書館に行って、それ用の本を借りてくるか。」


「ありがとう。」


数日後、図書館に来た。


「シア、ここに試験の本がある。科目は倫理と法律。倫理は面接式で配点が倍だ。」


じゃあ倫理の本を2冊、法律の本を1冊借りるか。魔法の理論は分からなくても使用許可はもらえるのか。許可はあげるから使えるなら使っても良いよってことだな。今日は、というか試験に受かるまでは物語の本は止めておこう。


「シ、シアちゃん!?もう魔法使用免許証の試験受けるの!?」


「これから勉強して、受かりそうになったら受けるの!」


「今3歳だよね!?」


「あ、いや、4歳になったとこだよ。」


「それでも凄いよ!私は試験に受かったの12歳だからなー。」


「そんなの関係ないよ。エルビルさんは魔法使えて凄いもん。」


「その歳で謙遜まで……。エトシュボールさん、本当に素晴らしい教育をなさったんですね。私に子供が出来たら、是非教えてほしいです。」


「あ、え、いや……。俺も試験は1回落ちてるんで……。あるときからシアが急に魔法に興味を持ったんですよ。俺がしてるのは、やりたいことを応援してるだけです。」


年末になった。お父さん達狩人は"クロ"という動物の丸焼きを食べる習慣がある。イノシシとブタの間のような動物だ。去年も食べた気がする。


「ほら、父さんが採ってきたクロだぞ。」


近隣の狩人の家族を交えて草原の開けた場所で食事をする。近隣と言っても体感で1km以上離れているので、普段は狩人同士の交流しかなく、こういう催し物でしか家族含めて集まることはない。(さなが)ら父親の会社のバーベキューに参加する家族のような気分だ。


もっと草原を拓けば良いのにとも思うが、こんなところは数少ない狩人しか住まないのだろう。


「ぱぱ、美味しいよ。いつもありがとう。」


「そうかそうか。良かったな。いっぱい食べろよ。」


トゥロフを見かける。そういえばトゥロフのお父さんも狩人だったな。


「おお、シア。」


「トゥロフ!」


お皿に山盛りの肉を積んでいる。そりゃあガッチリもする訳だ。


「お前ちっこいんだから、肉いっぱい食えよ。分けてやろうか?」


「ぼくの分はあるから大丈夫。それに、ぼくのが歳下なんだから小さくたって大丈夫だもん。」


「俺と1歳しか変わんねえじゃねえか。」


「いつか抜かすかもよ?」


「それはないだろうなー。」


今に見てろよ。


暗くなってきた。みんなで焚き火を囲む。狩人のリーダーのような人が挨拶をする。


「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。今年も皆様方には大変お世話になりました。」


「うるせー!驚々しい挨拶なんか聞きたかねえんだよ!」


酔っ払いの野次が飛ぶ。


「はぁ……。じゃあみんな来年もよろしくな!」


なんというか、豪快な人たちだな。


家に帰ってきた。余ったお肉と、お留守番していたポック用に貰ってきた骨をあげる。


「置いてっちゃってごめんね。美味しい?」


「あう!」


抱き締めて家に入る。


「シア、今年は頑張ったわね。来年もよろしくね。」


「本当によく頑張ったよな。来年もよろしく。」


「2人とも応援してくれてありがとう。大好きだよ。来年もよろしくね!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ