お別れ会
ここでの呼び名
井上彩月 (さっちゃん)、臼井結花 (結ちゃん)、柳田真菜 (真菜)
臼井視点
「さっちゃん、颯からこんなメッセージきた!どうしよう!」
「うちも同じの来てるみたい……。とりあえず救急車呼ぼう!」
「分かった!あたしが救急車呼ぶから、さっちゃんは颯の家に連絡して!」
「分かった。」
あたしは颯のメッセージを見て、さっちゃんにスクリーンショットを送り、電話をかけた。さっちゃんにも来ていたみたい。
救急車を呼んで、職場に電話して休むことを伝えた。高速の運転は自動車学校のときからしてないけど、朝の渋滞に巻き込まれたら着くのが遅くなる。
間に合ってほしいという気持ちで颯の家に車をかっ飛ばした。
颯のお母さんが棺桶に縋りついて泣いている。まだ信じられない。
「ビンタして良いかな?」
「止めなよ。結ちゃんの気持ちは分かるけど。」
「ビンタしたらいつもみたいに『いってー』って笑いながら起きないかな。」
悔しい。献花中で顔が見れる今の内にビンタしたいが、さっちゃんがあたしの手を掴んでる。
「これ、あげよう。」
さっちゃんが花を渡してきた。あたしはそれを受け取って、素直に供えた。遺書に書いてあった通り、バレないように花の下に犬の首輪を隠す。
「なんでうちらに相談してくれなかったんだろう。」
「……。頼りなかったのかな。」
なんでだろう。今まで何でも共有してきたのに。フラれたときなんかあたしらの前で泣きわめいてたのに。なんで教えてくれなかったんだろう。
あたしも友達が少ない方だけど、颯も友達少ないって言ってたけど、こんなに悲しむ人がいるじゃん。
生活だって上手くいってたじゃん。付き合っている人が亡くなって相当辛い思いしてたのに、私たちに同じ思いをさせるの?
「久しぶり。真菜も来てたんだ。」
「久しぶりだね。こんなところで会いたくなかった。」
同級生の真菜と会った。隣には真菜の昔の同僚で、颯と交流があったという人もいた。軽く会釈をした。
「真菜は何か聞いてた?」
「いや、何も。私たちと1ヶ月前くらいに会ったときは普通だった。正直まだ信じられない。」
「あいつ何考えてたんだよ。」
火葬が終わって骨を拾う。もうここまで来ると起き上がりそうとは思えない。
「すいません、それ入れたの私です。遺書に隠して入れてほしいって書いてあったので。」
首輪は燃え残った。金属部分はそのまんま。ほんといらん迷惑かけないでほしいわ。
そして葬儀が終わり、着替えてからあたしと結ちゃんでご飯を食べに出掛けた。




