表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/166

E1cB脱離反応による遊離 ※

ある部分を読んでいるときに聴いていただきたい曲名とURLを貼っています。


調べた結果、問題はなさそうです。詳しくは活動報告まで。


これだけはここで聴いていただきたいです。

「言って。/ヨルシカ様」

https://youtu.be/F64yFFnZfkI


第一章を通しての勝手なテーマソング。公式アルバムトレーラー1曲目。全体を通しては載せられていないので残念ですが、その他の方法でお聴きください。

「負け犬にアンコールはいらない/ヨルシカ様」

https://youtu.be/Ckk9IJwDhNI

やっほー。俺は生野(いくの)(はやて)、28歳、独身の両刀さ。身長はほぼ平均の173cm、体重は50kg後半を行き来してるよ。あ、そういうビデオの紹介みたいになっちゃった。顔は普通だけど、同じ身長の人の平均と比べて脚が6cm長いのが自慢。生まれつき日本人にしては色黒なのが少しコンブレックス。美白化粧水なんか全然効かない。茶髪は似合わないし派手な色にはしたくないから、髪の毛は染めたことがないよ。ピチッとしたのが嫌だからトランクス派だよ。息子には放任主義なのさ。昔は歳上の男が好きだったんだけど、今は立派なショタコンだよ。最近は女の人と恋愛してなかったけど、女の人なら年上で格好良い感じの人がタイプだよ。


人並みの幸せはあったけど、全然面白くないぜ。こんなつまらない世の中におさらばしちゃうぜ。


平成35年、世間はゴールデンウィークの真っ(ただ)中だけど、転生の儀を始めるぜ。俺様なら大賢者になっちゃうかもな。


睡眠薬を服用し、エーテルを染み込ませた布をマスクの中に入れ、スマートウォッチと自作の首輪型装置を装着する。


思い出の曲を流す。


もしかしたらまた会えるかもしれない、そんな思いでこの日を選んだ。ただの願掛けだ。


文字通り夢に見た世界に、遂に転生を果たすところまできた。


この世界でも楽しいことは沢山あった。失う寸前になって愛惜が湧く。何て身勝手な感情なんだろうと思うが、それでこそぼくだ。


全身がベットに沈み込んで行くようだ。自由落下しているのではないかと思うほど、際限なく沈降する感覚。満腔が沈降する……!?あっ、面白いこと思いついちゃった!これだけは誰かに伝えたい!


「ん〜〜っ!」


スマホに手を伸ばそうと思ったが、力が入り(にく)い。残念だが諦めるか……。


(おもむろ)に、意識が混濁して行く。閉ざされ切る前に、惜別を込めて振り返ろう。


そして断片的に記憶を想い起こした。


感慨に浸った後、無視していた欠陥を思い出した。


そう、初めの「夢は他の世界の記憶ではないか」という仮定が非科学的であるということだ。


死ぬ理由なんてどうでも良かった。思い通りにいかないことが嫌だった。つまらない毎日の繰り返しが嫌だった。知識と知恵を得ても精神は子供のままだ。


夢もなく恋愛もできなくなったこんな人生の何が楽しいのだろう。人並みの幸せはあった。だが、長らく虚無感に(さいな)まれていた。人生がつまらない。


ぼくみたいな人間はこの世に存在しない方が良い。周りに迷惑をかけるだけの存在だ。何もかも上手くいかない負け犬だ。


全知全能でないなら、無謬(むびゅう)でないなら、こんな中途半端な思考力なんて要らなかった。何もなければ悩むことなんてなかったはずなのに。


死ぬのが怖かった。だから、恐怖を抑え込むように盛大なでっちあげをした。


これでぼくは全ての苦悩から開放される。


『本当はこの世界で幸せになりたかった。でも世界はぼくを見捨てた。』


頭の中で自分の声が聞こえる。もう良いよね。頑張ったよね。偉い偉い。もう休もう。


怖くないように、練習した夢を見られるようにしよう。



「うわぁぁぁ〜ん!ヒック……ヒック……」


転んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ