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転生論⑤ 決心 ※

他の木や枝の成長を止めようと考えた。少なくとも今のぼくと同じ木から伸びた枝にいる依代は似通った思考をしているはずだ。夢もないまま生き続けるのは苦痛だろう。どうせいつか死ぬのだ。終わらせてあげよう。その命を犠牲にぼくは見る夢を絞れる。


……ちょっと都合良く考えすぎたな。止めよう。しようとしていることが多数派だという確証はない。もしかしたら夢が見つかって思い通りにいく世界もあるかもしれない。それに、同じように転生したい依代もいるかもしれない。似た思考を持った依代の似非魂が多く転生することは、この先役立つかもしれない。というか人外の夢に比べて、今のぼくに近い夢は無数にある。一晩で見る夢はせいぜい4、5回だ。そのペースで潰していたら生きている内に間に合わない。


他に夢を絞る方法。枕の下に写真でも入れる?写真はないから絵でも描く?駄目だ。ぼくの絵は壊滅的だ。


夢は眠る前に強く意識している内容を見ることが多いと聞いたことがある気がする。とりあえずこれをやってみよう。


見る夢を絞る訓練をした。目を閉じて夢に見た世界を強く思い浮かべ続けるのだ。


難しい。数週間続けたができなかった。基本的に人間が覚えている夢は睡眠中に見る中でも最後のものだけだ。入眠して初めて見てる夢では意識した夢が見られるかもしれないが、段々と内容がズレてきている可能性が高い。


自己暗示をかけよう。数日間休みをとって、常にあの夢を思い浮かべるようにした。覚えていることに想像を付け足して、具体的な物語を作り上げ、文字に起こした。それを繰り返した。


夢の内容が定まってきた。よし、これならいけそうだ。ということは、見る夢はぼくの座標とは関係ないのか。それともぼくの意識が似非魂(えせたま)の移り行く先に干渉したのだろうか。異なる宇宙素を持つ座標間の移動には比較的エネルギーが必要そうな感じがするが、ぼくの意識がエネルギーを与えたのだろうか。……これもまた後で考えよう。


後はどうやってぼくを終わらせるかだ。苦しいのはなるべく避けたいな。麻酔薬の過剰摂取でもしようか。一応健康な体だから勿体(もったい)ないな。臓器提供できる形でやりたい。


血抜きした方が良さそうだし失血が良いだろうな。少し苦しいかもしれないけれど、意識がない状態でやれば何も感じないだろう。通報はどうしようか。新3に頼むか。迷惑かけて申し訳ないな。


段取りがとれてきた。後は道具の準備と、やり残したことがないようになるべくやりたいことをしよう。


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