転生論① 魔法使いになるには ※
やっと本題に入りました。お待たせしました。
また変わり映えのない日々が始まった。程々に楽しい日々。仕事して、束の間の休暇は1人でご飯を作ってお酒を飲んだり、友達と遊んだり。これからも楽しいことあれば良いな。良いのかな。
夢とか目標探さなきゃな。分別がついたからこのまま独りなのかな。もう面倒なことしたくないな。何か楽に稼げる仕事ないかな。どんな仕事が向いてるのかな。
魔法使いになりたい。
夢も目標も愛もないぼくの人生は完璧じゃない。ボーダーの二極思考は完璧主義に陥りやすく、中途半端なものを消し去りたくなる。
そろそろ魔法使いに転生した方が良いよね。転職じゃなくて転生しよう。
ずっとずっと夢に見てきた世界を、夢じゃなくて現実と感じられるようにしよう。
夢の中では現在の科学では説明できないことが起こる。魔法なんかもお手の物だ。
手掛かりは夢にあった。夢は現実に近しいものを見ることが多い。誰かと付き合っていて幸せでも、その人と別れて辛い思いをしている世界。振られたはずの相手と付き合っている世界。ぼくが死ぬ世界。
祐也が死ななかった世界。湊を助けられた世界。
あとちょっとえっちな夢。
その中に、現実からかけ離れたものも僅かにあった。見たこともない、水晶玉の様な建物がある世界。呪文と共に魔法を放つ世界。人じゃない何かの姿になっている世界。
ずっと考えてた。これって他の世界の記憶なのではないかと。そう仮定すると、同時並行で魂のようなものが憧って色々な世界の依代に移り行くのだろうか。それとも1つの依代が終わると、次の依代に移りゆくのだろうか。
どちらか悩むが、夢を見ながら夢を夢だと知覚できる明晰夢があるのだから、同時並行説を推すか。
そして夢について仮説を立て、検証を繰り返した。夢日記をつけ始めた。全ての夢を覚えられるわけがないので、覚えているものだけ。明晰夢を見る訓練を繰り返し、任意に見られるようになってきた。
夢の続きを見ることはあったが、自分が死んだ夢の続きを見ることはなかった。このことを利用して見る夢の種類を絞れると考えた。手始めに、人外に生まれた世界で死に続けた。初めは恐怖もあったが、目が覚めれば痛くも痒くもない。




