大学生⑥ 現実の受容
『落日』/『 東京事変』様
https://youtu.be/W_Vs0Mm0wEQ
ある部分を読んでいるときに聴いていただきたい曲名とURLを貼っています。
調べた結果、問題はなさそうです。詳しくは活動報告まで。
初めての出会いが昔の人の墓参りか。湊は小動物のような顔で好みだった。
数時間運転すると、祐也の住んでいた県に入った。この光景を見て育ったのか。全身が強ばった。
折角だから観光をした。湊は幼少期に両親と来たことがあるらしい、有名な時計屋に行きたがったので行ってみた。近くにあったお城に行った。城下町にある天然石のお店に入って色んなものを眺めて居た。
「石好きなの?そう言えば石のネックレスしてるね。」
「うん。昔付き合ってた人に貰った。」
そう言えばぼくも小さいときに石集めてたな。
教えられたお墓に行くことにした。地図アプリで調べて行ったが、近くまで来れたはずなのに、中々場所が見つからない。辺りは暗くなり始めていた。
「ちょっと分かり難いところにあるの。車で来たなら、山通で大変だったでしょう。今日は遅いから明日にしたら?」
祐也のお母さんに電話をしてもう一度詳細を確認した。そうだな、もう暗いから明日にしよう。
宿に着いた。ご飯を食べてお風呂に入って、地酒があったので飲んでみた。
「もし会えたら何を伝えたい?」
「何でちゃんと相談してくれなかったの?って言って、ぶん殴って……やりたい……っ。」
ここに来てそんなこと聞くなんて狡いだろう。ぼくは泣くことしかできなかった。寂しくて腕枕をしてもらって寝た。
朝、宿屋の女将さんにお墓の場所を尋ねた。とりあえず教えてもらった方向に移動した。
近くのお店で仏花と線香と、好きだった煙草と、よく食べていた月餅を買った。ぼくは餡子が苦手だったから食べたことなかったお菓子。
近くまで来たが中々見つからない。
「ここら辺にお墓ありますか?」
湊が近くに居たおじさんに訊いてくれた。
「あっちにあるよ。お墓参りか?」
「はい。ありがとうございます。」
漸く見つけた。長かった。お母さんの話では、同じ苗字のお墓がいっぱいあるらしい。探すのが大変だ。
「あっ……た……。」
『齋藤家長男 祐也 享年28』
無言で見つめていた。どれくらい時間が経ったのだろうか、気を利かせた湊は先に車に戻ったようだ。花とお菓子と煙草を供え、線香に火を点け、煙草にも火を点けた。
煙草を吸いながら憮然としていた。骨が埋まっている辺りを撫でた。
「ありがとう。ゆっくり休んでね。」
掛けたい言葉は沢山あったはずなのに。それ以上の言葉が出なかった。
「もう良いの?」
車に戻ると湊が声を掛けてきた。
「うん。あんまり長く居てもあれだしさ。」
車を走らせた。2人とも無言だった。数十分くらい車を走らせた後、ぼくは唐突に車を停めた。
涙が溢れてきた。憤る子供顔負けで泣いた。泣きすぎて嘔吐き始めた。湊は無言でぼくの手を握っていた。
「ごめん。」
それだけ言うとぼくはまた車を走らせた。
暫くすると気持ちが落ち着いて、普通に話すようになってきた。湊は泣いていたことについて触れてこなかった。
帰り際に、避暑地として有名な観光地によった。大きなショッピングモールに寄った。ちょっと高めのアイスクリームが売っていたので、それを買って食べた。
「食べる?」
金欠だから我慢していたのだろうか。半分あげた。
あとはそのまま帰路に着いた。
車の中で曲を流した。ぼくと祐也には共通の好きなアーティストが居た。その曲を聴きながら懐古していた。湊もそのアーティストが少し好きだったようだ。
「おちび?」
「普通、知らない熟語は音読みするだろ。」
表示された曲名を読み間違えた湊にぼくは突っ込みを入れた。この曲は祐也がいなくなってから何度も聴いて慰められた曲だ。通学中に号泣熱唱していた曲。
「じゃあね。昨日今日、ありがとう楽しかった。」
「俺も。またね。」
湊が帰り易い駅まで送り、家に帰った。
「お墓参り行ってきたの?」
「うん。」
余って持ち帰ってきた線香を見た母が尋ねてきた。




