大学生⑤ 言語学と新しい人
2年生になった。まだ思い出して泣くことはあったが、毎日のように泣くことはなくなった。精神科を卒業した。持ち前の拒食症を発揮し、体重を50kg台まで落とした。新しい男を探そう。
2年生は4年間の内、1番時間的な余裕がある。実験も週1日で、今後のために取らるべき単位数も比較的少ない。日曜を除いてバイトを入れ、お金を稼いだ。専門書はかなり高価で、稼いだお金は一瞬で消えた。まあ最初だけだ、また貯めれば良い。
授業が少ないのもつまらないので、まずは外国語の授業を増やすことにした。フランス語専門コースの人達に混ざって授業を受けようとして、体育終わりのジャージ姿で教室に向かうと、キラキラした人達がフランス語を話していた。それを見て教室の前を素通りし、授業の登録を消去した。フランス語は語学専門ではない人達の授業を取ることにした。
加えてスペイン語を取り、言語学の授業も取った。言語学専門の人達に混ざって、化学が1人だけ居るという異様な光景だった。予てから興味のあったイタリア語を独学で始めた。
言語学の授業は考え方が未知のパターンで面白かった。そしてぼくが好きな言語群はラテン語の直系のロマンス諸語と呼ばれるものだと知った。現在でも広く使用されているならラテン語がやりたかったが、母語話者が居ないので除外した。外国人は苦手なので元々使用は考えていなかったが、使用中の言語の方が面白そうだったからだ。言語学では音韻論や語用論、意味論という分野が特に好きだった。音韻が面白すぎて、発音記号を調べまくった。まずは辞書的な発音を心掛け、普通の会話の流れの中で変化する発音を自然にできるように努力した。この過程で、普段話している日本語において、同じ平仮名を読むときでも、前後の音によって違う発音をしていることに気付いた。
化学は難しすぎて酷い目に遭った。こっちはギリギリ単位を貰えるレベル程度で良いやと思ってしまった。専門なのに。
星野湊と言う子に知り会った。昔は可愛い歳上が好きだったが、この頃になると歳下も増えて歳下もいけるようになった。電話で話をするようになった。何が原因かは知らないが、親に勘当されてバーでバイトをしながら一人暮らしをしていた。バーテンダーになって自分のお店を持ちたいらしい。
祐也の話をした。理由は自分でもよく分からなかったが、同情を誘いたかったのだろう。
「じゃあ俺が着いてくから一緒にお墓参り行こうよ。」
辛い感情に直面する勇気がなくて、葬式にも出ず、墓参りもしてないと伝えるとそう言われた。そろそろ落ち着いてきたし、会いに行くことにした。
1年振りに祐也のお母さんに連絡し、お墓の場所を教えてもらった。祐也の地元は遠く、車で7,8時間の距離だった。湊の旅行も兼ねて行くことにした。




