フリーター期② 鬨(とき)の声
そんなこんなで、受験シーズンが始まった。その前に成人式。人生で初めてスーツを誂えた。ちょっと格好良くなったかな。旧友達と再開した。5年振りくらいかな。楽しかった酒を飲んで騒いだ。受験勉強なんて二の次。
一次試験で大コケした。でも他に行きたいところはなかったため、元々の志望校を受けた。二次試験のが得意だし、なんて考えながら。滑り止めに絶対受かるレベルのところだけをいくつか受けた。田舎育ちなので、慣れない東京には住みたくなかったが、行きたいレベルの大学が近くには東京にしかなかったため、東京に何度か行った。
滑り止めの大学は難なくクリアした。一安心。
二次試験を受けた。英語、数学、思ったよりスラスラ解ける。化学、物理が何故か難しく感じた。あれー、ぼく化学志望なのに。
正直受かってるか自信がなかった。二次試験でかなり取り返さなきゃいけないからだ。更に悪いことに、問題を解くための勉強と言うのに納得ができず、過去問をやらなかったからだ。本音は9割面倒だったから。
全ての試験が終わると祐也の家に入り浸った。そして合格発表の日を迎えた。
「うわ、やばい!びしょびしょにしちゃった!」
緊張のあまりトイレで狙いが定まらず、撒き散らした。着替えて祐也のパソコンで結果を見た。
「あった!番号あったよ!」
快哉を叫び、欣喜雀躍した。これで魔法使いへの道の第一歩が進んだのだ。
「ほんとに受かったのか!おめでとう!」
祐也も喜んでくれた。
「受かったよ。」
親にも連絡した。
「信じられないからもう1回確認して。」
もう一度確認しても、ぼくの受験番号はあった。サクラサク。
入学まで何しようかな。忙しくなるだろうし、遊べるだけ遊ぼうか。どんな授業があるのか確りと調べることにした。化学結合についての基礎の必修の授業があった。高校までは化学結合については曖昧で、ある意味事実と離れたことを教えている。細かく考えると難しすぎるからだ。それを量子力学を基礎として考えられるようになるのが嬉しかった。
興味のあったイタリア語の授業がとってみたいなって思っていたけれど、調べてみるとイタリア語の授業がなかった。じゃあフランス語にしよっと。遊び呆けつつ、フランス語を独学でやり始めた。英語以外の外国語が新鮮で面白かった。
SNSで化学の同期と繋がることにした。やっぱり最初はこう言う繋がりから責めるのが良いよね。友人皆無の暗黒の高校時代も楽で良かったが、同じものを学びたくて集まった同レベルの友人はいた方が良いと考えた。
すると、入学前に大学に集まるイベントを見つけた。同期らしき人を見つけてはそれに誘い、結果、化学の人は多くそのイベントに参加した。例年よりかなり多く集まったらしい。これからの同期に期待に胸を踊らせた。




