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プロローグ
文字通り夢に見た世界に、遂に転生を果たすところまできた。
この世界でも楽しいことは沢山あった。失う寸前になって愛惜が湧く。何て身勝手な感情なんだろうと思うが、それでこそぼくだ。
全身がベットに沈み込んで行くようだ。自由落下しているのではないかと思うほど、際限なく沈降する感覚。満腔が沈降する……!?あっ、面白いこと思いついちゃった!これだけは誰かに伝えたい!
「ん〜〜っ!」
スマホに手を伸ばそうと思ったが、力が入り難い。残念だが諦めるか……。
徐に意識が混濁して行く。閉ざされ切る前に、惜別を込めて振り返ろう。
そして断片的に記憶を想い起こした。
「うわぁぁぁ〜ん!ヒック……ヒック……」