高校生⑧ 食い物にされてテルミット
【注意】軽微な性的描写があります。
とは言っても通っている高校の教師ではない。飛行機の距離で、歳が10離れた相手だった。勿論ネットで知り合った。電話を重ねる毎に好きになり、会いたくなった。
この人は電話などの約束事をかなりの頻度ですっぽかした。当たり前のように負の基質はまた表に出てきた。こんにちは、また会ったね。
今回はなるべく相手に気持ちをぶつけないようにした。他の男と関わり続けて、衝動を分散させていた。そのお陰か、そこまで嫌われることはなかったと思う。
何かの用事で、ぼくの住んでいる地方に来ることになった。会いたいと言ってきたので、当然受け入れた。
遊んだ後に泊まりに行った。最後までしたことなくて怖かったけど、好きな相手だったので、痛いけど頑張った。時間はかかったが。
相手が地元に帰ってから連絡の頻度が下がった。以前にも増して電話の約束をすっぽかした。好意を示しても受け流された。なるほど、これは所謂やり捨てだな。
また漁り始めた。どうでも良い男と関係を持って、虚無感を解消していた。自分がお金を払う価値のある人間だと言うことに優越感を抱いた。
テルミット反応がやりたくて公園の砂場で砂鉄を集めた。
[イオン化傾向の低い、つまり金属の中で比較的酸化し易いアルミニウムで、酸化した金属を酸化させる化学反応だ。酸化した金属の方がエネルギーが高いので、それが還元されてアルミニウムが酸化される。その分のエネルギーを熱や光などとして放出する。]
花火のような感覚だった。集めた砂鉄と鑢で削って粉末にしたアルミニウムと混合し、バーナーで炙った。何度かやったが上手くいかなかった。うーん、粗粒が多かったからかな。
宿題をやってなくて居残りさせられた。
「生野ならこれくらいできるだろ。」
分かってるならやらせるな。与えられた問題集なんか全く解いていない。疾うに理解したこのレベルの問題を解く意味が分からなかった。教師が席を立ったのを見計らって帰宅した。英語はほぼ毎回学年で1位の成績だったため、評定は最高評価を得た。益々宿題の存在意義に疑問を持った。
そう言えば何で冬の曇ってる日は水に氷が張らないのだろう。湿度が高くて水が蒸発しにくくて、蒸発熱で水の温度が下がることがないからかな。学校に行く朝、そんなことを考えていた。




