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懸命の戦闘練習①

今日買った剣を持っていこう。こういう物の扱いは苦手だけれど、慣れなくては。


「エネ先輩、今日はよろしくお願いするっス!頼りにしてまっス!」


「あ、え、よろしく。普通に(しゃべ)ってくれないかな?」


「先輩カッコイイっス!自分憧れるっス!」


「……シア君っていつもこうなの?」


「いや、ふざけてるだけです。結構な頻度でふざけてますけど。」


「まあ良いわ。部長からこの前のことは聞いたわ。」


「……反省してます。だから今日は先輩に助けてもらいながら学びます。」


「いきなり正気に戻るのね。2人の魔法はどんな感じ?得手不得手とか。」


「水の魔法が得意です。防御はちょっと苦手です。」


「じゃあノニャン君は先ず水の魔法を伸ばそうか。」


「ぼくはこれといって得手不得手はないです。魔力で直接物を動かせます。」


「それは稀有(けう)な才能を持ってるね。」


そんなこんなで歩き進めると魔獣に見えた。前にレッシュが捕まえたウサギのような動物の大きい版。ぼくより少し大きい。


「エグラル ニパールよ。魔法で加速するから、体の大きさにしてはものすごい距離を跳躍するわ。」


「あれこの前(たお)したです。」


「そんなに強くなかったねー。気付かれる前にノニーの水刃(みなは)で一撃。」


「それはそれは。でも見つかると少し面倒よ。」


そう言ってエネ先輩は指笛を鳴らした。


「なんでそういう意地悪するの!?こんな幼気(いたいけ)な子供たちに!」


「……意地悪じゃないわよ。特訓するんじゃないの?」


そう言ってぼくに(すご)んできた。ふわふわした見た目なのに、似合わないな。


「あ、よろしくお願いします。」


「じゃあ私は何もしないから、2人でやってみて。」


確かにこの安心感はぼくに冷静を与える。何があっても死ぬ蓋然(がいぜん)性が小さいことは判断力の向上に繋がる。


「あうっ!」


ノニャンが体当たりされて転ぶ。


「ほら、ぼーっとしてると怪我するよ。」


"エネゴルディア エブモ (水素爆発) "


なんで避けられたの?爆発するまでは何も見えないはずなのに。


「どこ狙ってるのよ。ある程度の魔力の位置なんかは感知されるんだから、そんなんじゃ(かす)りもしないわ。」


確かに。ぼくだって他の魔力を何となく感じるのだ。


「じゃあどうしたら……」


「取り敢えずは自分たちで考えてみて。」


そうか。普通は相手の魔力を感じて戦うものなのか。薄く魔力を張って、相手や魔法との干渉を感じ取らなければいけないのか。


不意打ちで仕留められたということは、少なくとも前に(たお)したやつは臨戦態勢以外は他の魔力を感知しようとはいていなかったのか。感知するのにも微量ながら魔力を使うからなのかな。


「ノニーは連絡の魔法使えるんだよね?じゃああいつの魔力も感知できるよね?」


「やろうと思えばできるです。」


「それで先ずは魔法の発動の瞬間を見極めよう。ちゃんと防御もしてね!」


「はいです!」


"アレグロ(快速に)"


エグラル ニパールの魔力を感知した瞬間にぼくも魔法で加速して横移動する。なるほど、こんな感じか。


「魔法発動の瞬間が何となく分かるかも!」


「ぼくもです!でも、分かっても避けられないです……あっ!」


またノニャンが突進を食らって吹っ飛ぶ。


ぼくとエネ先輩は防御と回避で対処できるが、ノニャンはそうではない。致命傷とまではいかないものの、少し擦り傷を作っている。


ん?次は頭の方に魔力を感じるぞ。


「こいつこんな魔法使えるの!?」


ぼくに対して火球を放つ。防御があるので直接は当たらないが輻射(ふくしゃ)熱が熱い。視界を犠牲にしてでも火傷を防ごう。


"六方最密充填"


"ノワトセトール (防御)"


中にいると真っ暗だな。可視光すら遮っているのだから当たり前か。どうにか可視光だけでも通すようにはできないものか。


「面白い防御をするのね。」


ふっ、面白れー女。


攻撃が止むと同時に防御を解除する。


「ちょっと手火傷したかも。ヒリヒリする。ノニー、冷たい水出してくれないかな?」


「はいです!」


"アイルファガ (冷水) "


「いやーーーっ!!」


手だけって言ったろうが!なぜ全身に浴びせる!


「焦って間違えちゃったです。」


「可愛いから許す!」


中々有効打が打てない。……そうだ、これを利用しよう。


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