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2人で門の外へ②

『四季 夏 第3楽章 / ヴィヴァルディ』

https://youtu.be/tn4VFCMkQEk


ある部分を読んでいるときに聴いていただきたい曲名とURLを貼っています。


調べた結果、問題はなさそうです。詳しくは活動報告まで。


別の日、またぼくはノニャンと討伐に来ていた。向かってくる魔獣を往なしつつ散策をする。


「シア君、あれは危ないです。逃げるです。」


大きな角の生えた水牛のようなエルフュだ。図鑑で見たことはあるけれど、そんなに強い気はしない。


「警報も鳴ってないし大丈夫じゃない?」


「きっと僕たちじゃまだ難しいです。」


「そうかなー?」


「早くしないと……あうっ!」


瞬間移動でもしたかのようにエルフュはノニャンの二の腕辺りに角を突き刺した。


「えっ……。」


痛みに(うずくま)り上手く体を動かせないようだ。考え事をする前に避難しなくては。


「シア君は逃げるです。」


ぼくは服を脱いでノニャンを……


「うわっ!」


今度はぼくが突き飛ばされた。強めの防御を張っていたが、触れられたことで穴が開いて背中に軽傷を負った。ぼくの魔力に干渉した反動でエルフュが蹌踉(よろめ)めく。(すき)を見てノニャンを服に乗せて空中へ飛ばす。


自分を浮かせるよりもかなりの魔力を消費している感覚があるので、魔力を節約するためにノニャンをなるべくぼくの近くに浮かせておきたい。此奴の意識をぼくに集中させるためにぼくは地上で戦おう。


"リタルダンド(だんだん遅く)"


消費魔力を抑えるために、ぼくとの距離の2乗に反比例するよう濃度で魔粒子を展開する。宛らs軌道の電子の確率分布だ。エルフュはぼくに近付くほど抵抗を受けて遅くなる。


"アレグロ(快速に)"


遅くなるとは言ってもまだまだ速い。突進を避けるために自分を加速させる。


どうしよう。混乱が思考を阻害する。取り敢えず何個か魔法を打ってみよう。


"エマルフェ ドナルグ (火炎)"


魔杖(まじょう)を向けて火を放つが、毛が少し焦げた程度のようだ。


「シア君!落ち着くです!ちゃんと考えてやるです!」


"リタルダンド" "アレグロ"


攻撃を避けるので精一杯だ……そうだ。


「ポック!」 「あう!」


本当は外の手を借りたくはなかったけれど、そんなことを言っている場合ではない。


「ぼくを乗せてあいつの攻撃を避けて!」 「あう!」


どうしよう。どうしたら良いの。このまま振り切ったら逃げ切れる?魔法で加速する分、ポックよりもエルフュの方が速そう。高く飛んで逃げようとしても、他の魔物が来たら目も当てられない。空中戦の経験はないし、落ちたら終わりだ。


どうしよう。どうしよう。何でこんな強い魔獣が居るの。何で警報が鳴らないの。ここら辺は弱いのしか居ないんじゃなかったの。


"アガレダホアル (水刃(みなは)) "


上からノニャンが魔法を放つ。背中が少し裂けたが致命傷ではない。


「大丈夫です。落ち着くです。シア君ならできるです。」


「ごめんね。ぼくのせいで。」


「大丈夫です。何ともないです。」


嘘まで吐かせてしまった。


ポックが寸で(かわ)してゆく。一直線ならスピードで負けるけれど、慣性の大きな巨体よりは身軽だ。


"ノサール (氷柱) "


駄目だ。刺さらない。エルフュも防御魔法をかけているのだろう。


地面に赤い斑点(はんてん)が見える。ノニャンから流れる血液だ。早く何とかしなくては。


次で難しければ、多少のリスクを負ってでも空を飛んで逃げよう。



" 電子よ動け "


"ノワテュコルトセレ(感電)"


目眩がするほどの魔力を込めて静電場をかける。()れていて皮膚が裂けているのだからそこそこ効くだろう。


筋肉が痙攣(けいれん)してその場に倒れた。それでもまだ起き上がって来る可能性はある。


「シア君、下ろすです。」


「でもまだ……」


「大丈夫です。」


ノニャンを下ろしポックから下りる。服を着るとナイフを渡された。



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