2人で門の外へ①
【注意】下品なことを言います。
座学はやっぱり退屈だった。今日はノニャンを誘って門の外に出てみよう。なんでノニャンに白羽の矢を立てたかは言うまでもない。
「ねえナック、6年生のインジェーニってどこか分かる?」
「3号棟の2階の……」
「連れてってぇ〜!」
体をくねくねさせておねだりする。
「分かったよ。あと、それ気持ち悪いからやめた方が良いよ。」
苦笑いしながらノナックにそう告げられる。ショックを受けた顔で固まってしまった。
「ほら、行かないの?」
「ショックで動けないかも。頭撫でてもらわないと動けない!」
恍惚としているとツィヌィーと目が合った。なんだか時折視線を感じることがあるな。ぼくに気があるのか?
そしてノニャンの教室へと着いた。
「ナックありがとー。」
「頑張ってね。また明日。」
授業が終わった後なのであまり残っている人は居なかった。
「ノニャン君ってどこに行ったか分かりますか?」
「うーん、多分図書館じゃないかな?」
「ありがとうございます。」
先に約束しておけば良かった。見つからなかったら部室に行って他の人を探してみよう。多分相手を探して待っている人が居るはずだ。
右往左往死ながら図書館に着いた。方向音痴には同じ道を辿る以外は難しい。6年生の教室から図書館に行くのは初めてなので少し迷ってしまった。
「ねえねえノニー、本読んでるとこ悪いんだけどさ。」
……あれ?無視?
「ノニー?」
返事がない。ただの屍のようだ。肩を叩いてみる。
「ひゃっ!……あ、シア君?」
驚いて振り向く。本当に女の子みたいだな。可愛すぎる。
「ノニーって本当に〇〇〇付いてるの?」
「え、な、そんなこと聞きに来たんです……?」
「あ、言い間違えた。今日一緒に討伐行ってくれないかなーって誘いに来たんだ。」
「言い間違ってレベルじゃ……。うーん、良いですよ。本はまた明日読むです。」
何でこんないかれた口調で話すのだろう。可愛いから良いけれど。
門で受付を済ませて通信魔法を使える証明をする。
「シア君も通信魔法使えるですか?」
「この前覚えたところなんだ。『も』ってことはノニーも?」
「僕も使えるですよ。」
か弱そうだけれど、やっぱり6年生で討伐部に入るだけはあるな。
「どこの国出身なの?」
「前はアニャプセに住んでたです。」
アニャプセは人種的にはぼくたちとそこまで変わらないが言語が少し違う。だから語尾が少し変わっているのか。
「ノニーはどんな魔法が得意?」
「水の魔法が得意です。」
「じゃあ見せて。」
" エトロク オラガ レエック (水よ、彼の者を切断せよ) "
"アガレダホアル (水刃) "
集まった水が高圧で吹き出し、蛙のような魔術の首を落とした。詠唱は母語でするのだな。
「こんな魔法もあるんだね。結構凄い威力。」
「僕は攻撃の威力は平均より高いんですけど、その代わり防御が少し苦手です。」
だからあのときぼくの魔法で吹っ飛んだのか。
「大丈夫さ。何かあったら俺が守ってやるよ。」
そう言ってノニャンを抱き締める。
「きゃぁっ!」 「うっ……!」
「あ、ごめんなさいです……。ちょっといきなりでびっくりしちゃって。」
感電させられた。興奮す……酷い!何てことをするんだ!もっとやれ!
「だ、大丈夫だよ。ぼくもいきなりごめんね。」
そう言ってぼくたちはまた散歩をする。時々弱い魔獣を斃しながら。やはりここら辺のは弱いのばかりだな。骨がない。
「今日は遅いしもう帰ろっか。」
ノニャンの家は学校の近くのようだ。次の約束を取り付けてら学校の近くで解散した。




