学校
「ノシアール、参上!」
「「「おはよー。」」」
今日からやっと授業。ぼくに気付いた数人が挨拶をくれる。
「シアって頭良い割に子供っぽいとこあるね。」
セミロングの茶髪の女の子が話しかけてきた。
「まだ子供なので。君は何ていうの?」
「私ははオマンツィオーネ。よろしくね。」
「よろしく、ツィヌィー。」
座学は好き嫌いが別れるな。レオール語、算数、理科はもう理解していることばかりで面白くない。因みにこの世界は10進法を採用している。前と同じく指が10本なので。前と違う物理法則は、今のところ魔法以外は見当たらない。社会系は興味が湧かないので面白くない。地理くらいはある程度知っておかなきゃいけないけれど。
外国語としてエレトルグナ語を学ぶ。語学は好きなのでこれは面白い。父さんの出身の国の言葉で、母さんも子供の頃から住んでいたところだ。
魔法の授業は、うーん、微妙。こんな魔法を使うときはこんなイメージをすると良いよ、みたいなものだ。しかも4年生向けだから、そこまで詳細なイメージはない。一般論を知るには役立つけれど、自分で使おうとは思わないな。
あとは金融の授業。新鮮な話だったが、今のところお金が沢山必要な状態ではない。前からずっとぼくはお金を稼ぐことに興味がない。それでも何か調査をしたくなったときにお金は必要になる可能性は大きい。確り聴いておいた。
「シア、一緒に帰ろ。」
「ごめんね。ぼく部活見に行きたいから。ノナックとエリーは部活に入ってないの?」
断腸の思いでお誘いを断る。
「8年生になったら入るつもりだよ。」
「私も。というか、このクラスの殆どは、8年生に討伐部に入ろうとしてる人が多いわ。だから今は部活に入ってる人はあまりいないのよ。」
「じゃあ一足先にぼくは討伐部に入ってきます。」
「いよいよ抜かされちゃったね。」
「みんなと部活できるの楽しみに待ってる!」
討伐部の集合場所、図書棟4階のセミナー室に向かう。……。方向音痴、発動!!ぎゅいーーん!
「シア、部活見に行くの?」
「うん。でも場所がわかんなくてさ。」
「連れてってあげるよ。」
レッシュは学校では無口だ。必要があれば話しかけたりはするみたいだけれど、あまり他の人と関わらないみたい。
「レッシュはみんなと仲良くするの苦手なの?」
歩きながら世間話をする。
「うん……。対等になりたいんだけど、みんな敬語で話してくるからさ。普通の言葉で良いって言ったんだけど。」
「ふーん。部活は?」
「来年討伐部に入る。シアはもう入れるんだな。」
「ったりめーよ。この俺様を誰だと思ってんだ。てか、レッシュは来年入れるんだね。ってことは7歳で試験に受かったの?」
「そうだ。」
「流石ぼく。何でもお見通しさ。」
「そのくらいの計算は1年生でもできるだろ。」
目的地到着。
「じゃあね。ありがと。」
「頑張れよ。」
「期待してるぞ。次期後輩。」
そう言って背中を叩いた。
「見学の子かな?ごめんね、討伐部は危ないことがあるからまだ入れないよ。」
まだ活動前の談笑の時間のようだ。部員らしき人が話しかけてきた。ぼくのように見学に来ている生徒もいる。
「あの、ぼくは4歳で試験に受かって、3年飛び級したので入部資格はありますよ。」
「あ、ノシアール君?受かったときは相当噂になってたよ。こんな可愛い子なんだー。みんなー!ノシアール君が来たわよー!4歳で魔法使用免許とった子!」
「本当にいたんだ。」 「可愛いー。」 「今何歳なんだっけ。」 「こんなちっちゃくて魔獣に勝てるのかな。」
周りが口々に感想を言う。というか、受かったこと噂になってたんだ。
「あたしが討伐部の部長、フェシュよ。」
「ぼくはノシアール。シアって呼んでください。」
少しキツそうな顔つきでかっこいい声のの女の人。話し方は優しいけれど。ぼくの好みの感じの人だ。〇〇〇〇が大きい。
「3年飛び級したってことは4年生かな?」
「そうです。お姉さんは?」
「お姉さんだってー!フェシュで良いよ。あたしは10年生。というか、10年生が部長をやることになってるの。」
ということは、普通に来れば18歳か。




