魔法における詠唱とイメージと距離の影響④
この章での考察ターンはここで終わりです。あと少しで第3章に入ります。
本日は快晴なり。本日は快晴なり。今日は魔法の発動源と距離の影響を調べる。一連の解析は一先ずこれで終わりにする。
そこら辺にある木の枝を拾ってくきて、長さの基準にする。ぼくの身長より少し長いくらいだ。
今までと同じ条件で距離を変えて魔法を使っていく。
途中でぼくが阿呆なことをしていることに気付いた。マイクロ波を発生させているのだから、これは魔法の距離による減衰を調べているのではなくて、電磁波について調べているだけだ。
もー、ぼくのお茶目さん。きゃぴるんるん。
無駄ってことはないや。物理法則の確認はできるのだ。
そのまま何回か続けてみると、普通の逆2乗則が成り立った。なんだ前と同じか。
純粋な魔力の距離による減衰を知りたい……魔粒子ぶち当て方式でいくか。
検証方法を考えていると、新たな疑問が生じた。どうやって魔力を動かしているのかだ。これについてもう少し詳しく分からなければ、次の段階に進めない。
今は魔力を魔粒子という物質性のあるエネルギーで出来ていると仮定してしている。当たり前のようにそれを動かせるし、それを使って間接的に物を動かせる。しかし、魔粒子はぼくと物理的に繋がっていない。
な、なんだこ……な、な、なん……な、な、な、なんだこれは!なんだこれは!!動揺しすぎて動動が揺揺しちゃう!!
サイコキネシス?なにこれ。何で今まで疑問に思わなかったんだろう。魔粒子を操るこの力も魔力?
ここで一旦この2つを分けて考えよう。魔力は魔粒子と……魔粒子推進魔力に分けられるとしよう。安直な命名。ドライビングフォースとか言った方がしっくりくるのだけれども、如何せんぼくはカタカナ英語を余り好まない。
魔粒子を操っているときはずっと押しているような感覚だ。まずはそれを止めてみよう。
拳大の魔粒子の塊をゆっくり水平に投げて、推進魔力を止める。力を抜くような感覚だ。
魔粒子は段々と減速し、やがて空中に留まった。
やっぱりか。そしてここで新たに分かったことは、魔粒子に重量は働かない、つまり質量がないということだ。なのに空気を押せるの?ふっしぎ〜!
次に魔粒子で真空の円柱を作り、同じように魔粒子の塊を投げてみる。先程止まったところを優に超えても減速しない。
次は同じくらいの魔粒子を流線型、つまり落ちる雨粒のような形にして空中を投げる。最初に投げた球よりも進んたところで止まる。
ここから分かることは、魔粒子は空気抵抗を受けるということ。流線型では空気抵抗が小さくなっている。
地球での物理量と変換できれば、空気抵抗の式に当て嵌めて整合性をとれたのに、それができないのが残念だ。
魔力を飛ばす際は、空気抵抗を受けないように流線型でゆっくりと飛ばすのが効率が良いと分かった。もし連続して飛ばすなら、棒状にして出し続けるのが良いだろうな。塊を飛ばすときと違って、物体後方での剥離を気にしなくて良い。
そろそろ本題に入ろう。推進魔力の距離による消費量を見たい。残存している魔力量を定量できないので、古典的な方法を取る。
大きな魔粒子の板を用意する。頭上高く上げて、扇ぐように動かす。10往復位したが、特に変化はない。
次にこの板を目視できるギリギリの遥か彼方へと持っていく。同様にこの板を動かす……やばっ!目眩に地面へ這い蹲る。沈降が満腔……、いや満腔が沈降しそうだ。
「わん!わん!あうーー!」
「シア、大丈夫?魔力使いすぎよ。」
ポックの声にお母さんがぼくに駆け寄る。
「う……うん。大丈夫。」
「変なところで倒れられても困るから、庭以外で使いすぎちゃダメよ。」
「分かった。」
今日はこのくらいにしといてやるか。晴れた日を選んだ意味がなかったな。
翊。
同じように大きな魔粒子の板を用意する。今度は最初から遠くで扇いでみる。……くらっときた。
このまま頑張って、頭上を扇ぐ。フラフラはしているけれど、10往復はできた。
これで、昨日遠くで扇いだときに、偶然魔力が切れそうになった訳でわないということが分かった。つまり、魔粒子を操作するために必要な推進魔力は距離が大きいほど大きくなることが分かった。
そしてさらに、魔粒子が受ける抵抗が大きいほど、魔粒子の数が多いほど、操作するための魔力を消費するということも分かった。
魔力が少ない今のうちに実験しておいて良かった。すぐ魔力切れを起こすから、消費魔力が分かりやすい。
今日中には魔力は回復するだろうけれど、次の実験は明日にしよう。
翊。
今日は実験の精度を知ろう。これは最初にやっておくべきだと分かってはいたけど、好奇心を優先してしまった。
またコップの水を使った実験だ。これまで通りの条件で、解像度を上げて検証をする。
"加熱" "加熱" "加熱" "加熱" "加熱" ……
同じことを繰り返し、温度を測っていく。100回やって結果を纏める。
横軸は0.1度刻みの温度の範囲、縦軸をその頻度のヒストグラムを描く。例えば、4.1〜4.2度の温度上昇が出た回数を縦軸にするような棒グラフのようなものだ。
標準偏差は0.3の正規分布になった。つまり中央値から±0.3度以内にデータの約68%が入る。データの数が有限なので、正規分布と断定はできないが、こう考えて問題はないだろう。
この誤差はぼくの魔力の込め具合や、実験環境に由来するのだろう。
次の実験で解析は一旦終わりにしよう。今ある疑問で、実験で解析できそうなものはやり尽くした。これからは、一般的な魔法の習得に勤しもう。どんなものがよく使われるのかな。
魔粒子をありったけ出す。そしてまたぼくはフラフラとする。魔石を充電したときに何となく分かってはいたが、やはり魔粒子の生成にも魔力は必要だ。
大きく分けて魔粒子の生成、魔粒子の操縦に魔力が使われるということが分かった。
たこ焼き生成魔法とかないかな。




