賢者と聖女。
『課長……、どうしましょう……』
「笹代さん、君はゲームをする方か?」
『はい。鬼畜ゲーと呼ばれたMMOなら15年ほどプレイしていました。課長は?』
「それはあれか……初期はレベルMAXにするまでに13万年かかると言われた……」
『そうですそれです!まさか、課長もですか!』
まだMMOがPC主体だったころ、そんな鬼畜なシステムのゲームが存在していた。
「ボスタイムになるとな、走り回ったな……」
『そうですね……、ボスが出れば御の字、空で赤字、空振りだと……』
2人はどこか遠い目をした。
そんなゲームも、数年前には時代の流れに合わせるように、システムは大幅に変化していた。
『クラスは何でしたか?』
「ナイトだ」
『ごりごりの脳筋じゃないですか。ちなみに私はウィズでした』
「今は賢者と聖女だな……」
ナイトであればひたすら敵を叩けばレベルは上がり、ウィザードであれば魔法でドーンしながら回復も可能のはずが、いまいち戦闘方法のわからない賢者と聖女というパーティーがここにある。
『これは……模索しないとですね』
お互いのステータスを見れば、ゴリ押しに耐える体力もなければ防御力もなく、瞬コロが目に見えている。
「まずはコツコツと……レベル上だな」
2人は長年あの鬼畜ゲームをプレイした強者だ。
コツコツとレベル上げをすることに一切の抵抗はない。
魔王討伐に向け、1歩踏み出した。
「っぶ!」
美澄はぶかぶかの靴に足を引っ掻けて派手に転んだ。
『課長……、スッ転んだだけで瀕死とかやめてください……』
美澄のHPは残すところ3だった。
美澄ステータス
HP13 MP200
STR1 DEX1 DEF5 AGI3 INT200 RES200
GIFT賢者
伊万里ステータス
HP30 MP100
STR6 DEX5 DEF13 AGI20 INT150 RES150
GIFT聖女