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無実の罪で明日処刑されるそうです

新しく連載始めました。

よろしくお願いしますm(__)m

「なぜこんなことになってしまったのだろう…」


冷たく薄暗い地下牢の中で、鎖に繋がれている。私の名前はシャーロット・ウィルソン。これでも元公爵令嬢だ。なぜ“元”が付くかって?それはお父様から勘当されたから。


そう、あの女が現れてから、私の人生が全て狂ってしまった。大切な婚約者も、大好きなお父様やお兄様も、皆私に憎悪を抱くようになった。



元々私はゾマー帝国の公爵家でもある、ウィルソン公爵の長女としてこの世に誕生した。私のお母様は私を産んですぐに亡くなってしまったが、お父様も3つ上のお兄様も、お母様の忘れ形見だと言って、大切に育ててくれた。


ちなみに銀色の髪と青い瞳を含め、私は亡くなったお母様にそっくりらしい。元々お父様はお母様を溺愛していたので、お母様にそっくりな私をめちゃくちゃ可愛がってくれたのだ。


そんな私は産まれながらに魔力量がかなり多く、魔力大国でもある我がゾマー帝国で一番の魔力の持ち主だ。小さい頃は魔力をうまく使いきれず、暴走してしまうことも多かった。


そのため、7歳まで家から出ることが許されず、ずっと公爵家の中で魔力をコントロールする訓練を受けて来た。その際、様々な魔法も覚えた。魔力をコントロールする為には、色々な魔法を覚えなければいけないからだ。


やっと外に出ることが許された私は、8歳の時初めて王宮に遊びに行った。元々王妃様とお母様は親友だったそうで、私を一目見たいと王妃様たっての希望で、私の王宮訪問が決まったのだ。


そこでこの国の王太子でもある、リアム・モーリス・ゾマー殿下と出会った。この出会いがきっかけで、私はリアム様の婚約者に内定した。自分で言うのも何だが、リアム様には愛されていた。


「シャーロット、君は本当に可愛い!僕のシャーロット、早く結婚したい!」

これがリアム様の口癖だった。


王妃教育は大変だったけれど、家族やリアム様、王妃様に大切にされ、とても幸せな日々を送っていた。そして私は14歳を迎え、貴族学院に入学することになったのだ。


この貴族学院入学が、私の人生を180度変えることになった。


貴族学院に入学した頃は特に何も感じなかった。でも少しずつ、いつも私にべったりだったリアム様が、男爵令嬢のエミリー・コックスと一緒に居るようになった。


「シャーロット様、また殿下がエミリー様と一緒に居るわ。シャーロット様という人がいるのに、殿下は一体何を考えているのかしら?」


日が経つにつれ、2人が常に一緒に居るようになったことを、私の友人たちも心配しだした。確かに最近エミリー様と一緒に居ることが多い。このままだと、良くない噂が流れるかもしれないわ。リアム様に注意しないと。


「リアム様、最近エミリー様と仲がよろしいみたいですが、あまり親しくするのはいかがなものかと!周りの者も誤解しますわ」


私はやんわりリアム様に注意する。


「うるさい!君にとやかく言われる筋合いはない!だいたい、君はエミリーをイジメているそうじゃないか。いつもエミリーが泣いているぞ。今度エミリーをイジメたら承知しないからな」


そう言って、リアム様は去って行った。

それからだった、次々とおかしなことが起き始めたのは…


そんなある日、家に帰るとお父様に呼び出された。


「シャーロット、エミリー嬢をイジメているって本当か?あんなに可愛い子を、お前はイジメているのか!恥を知れ!!」パーン


そう言うと、お父様は私の頬を強く打った。どうして?いつも優しいお父様が…


私は部屋に戻り静かに泣いた。


その後、エミリーが聖女であると発表された。

聖女?確か聖女は神の恩寵を受けた、とても気高い人物だと何かの本で読んだことがある。わが国にはいないけれど、魔族や魔王など、邪の心を持ったものを浄化させられると聞いたことがある。


でも、ゾマー帝国には、元々聖女なんて存在しないわ!

一体どうなっているの?


エミリー様が聖女になってからというもの、家族やリアム様の私への扱いはさらにひどくなっていく。


「シャーロット、お前のせいで母さんは亡くなったんだ!お前が母さんを殺したんだ!母さんを返せ!」


「シャーロット、お前の顔を見ていると、エリザベスを思い出して辛い。そんな辛い思いを抱えながらも必死で育ててやったのに、お前は聖女様をイジメるなど愚かな真似をして!何を考えているんだ。この疫病神が!」


優しかったお父様やお兄様からは、酷い暴言や暴力を振るわれることは日常茶飯事。食事もろくに与えられない日も多くなっていった。ただ、使用人だけは私に優しくて


「お嬢様、こんなに殴られて。お可哀そうに。お嬢様、お食事です。旦那様やお坊ちゃまに見つかる前に、どうぞお食べください!」


きっと見つかればクビになるかもしれないのに、こっそに私に食事を与え、怪我の手当てをしてくれる使用人たち!

本当に感謝しかないわ。


でも、正直言うと私は治癒魔法が得意。別に殴られても蹴られても、すぐに治癒魔法で治すことが出来るのはまだ救いだった。それでも殴られた時の痛みは辛い。いつまでこんな日々が続くのかしら…


そして状況は日に日に悪い方へと進む。唯一私の味方だった王妃様が、病気で倒れられてしまったのだ。意識が朦朧とし、ろくに立つこともできなくなってしまわれた。


もちろん、話すことも出来ない。一体何が起こっているの。王妃様が倒れられてから1週間後、ついに事件は起きた。


私は皆が集まる王宮主催のパーティーに出席していた。本来ならリアム様にエスコートされて入場するのだが、エミリー様をエスコートして入場する為、私は1人みじめに入場する。



でも、もう慣れたわ。顔を見ると、いつも酷いことを言うリアム様、殴られたり蹴られたりすることもあった。そんな人を、どうして愛し続けられることが出来るのでしょう。正直、2人に仲睦まじい姿を見せつけられても、何とも思わなくなっていた。



既に周りに味方がいなくなっていた私は、1人ぽつんと壁にもたれかかる。その時だった。


「シャーロット・ウィルソン、前へ来い!」


リアム様に呼ばれ、渋々前に出ていく私。


「シャーロット、お前は聖女でもあるエミリーに害を加え、傷付けただけでなく殺害計画まで企てたそうだな。そんな恐ろしい女だなんて思わなかったぞ」


待って、私全く身に覚えがないのですが。ふとエミリー様を見ると、勝ち誇った顔をして私を見下ろしている。なるほど、あの女…失礼、エミリー様がきっとリアム様に吹き込んだのか…


「お前との婚約は破棄する。さらに、ウィルソン公爵から、お前を勘当するとの連絡を受けている。もうお前は公爵令嬢でも何でもない!」


そう…何となくそうなる気がしていたわ…


「新しい僕の婚約者には、ここに居るエミリー・コックスだ。お前は王太子の婚約者で聖女でもあるエミリーを殺害しようとした罪で、明日公開処刑されることが決まった。おい、この罪人を連れて行け!後、この女は魔力量が半端ない、魔力無力化リングを付けろ」


もう私には反論する気力もない。騎士はリアム様、いいえ、王太子殿下の指示で私に魔力無効化リングを腕に付けると、引きずるように地下牢へと放り込んだ。


そして、今に至るのだ。私は全く身に覚えのない罪で、明日公開処刑される。


どうせ明日見せしめの様に殺されるのならば、いっそ今自分で命を絶つのもいいかもしれない。


我がゾマー帝国の国民は多かれ少なかれ魔力を持っている。そして、魔力が尽きると死んでしまうのだ。

そうだわ、魔力を全て開放すればいいのよ。そうすれば、みじめったらしく殺されることもない。


腕には魔力無力化リングが付いているが、私より魔力が少ない魔術師が作ったもの。こんなの、簡単に壊せる。


全てを失った私が、どのタイミングで死のうが関係ない!そう言えば今日は私の15歳の誕生日。もちろん、誰も祝ってくれない。自分の誕生日が命日って言うのも良いわね。それに、私の誕生日はお母様の命日でもある。きっとお母様が迎えに来てくれるわ。


そうと決まれば有言実行。


私は全魔力を集中させ、一気に放出させた。その瞬間、ものすごい光が放出する。もちろん、魔力無力化リングも秒殺で粉々に砕け散った。


私の異変を察知した看守が飛んできたがもう遅い。


さよなら、かつての私の家族、さよなら、殿下、さよなら、ゾマー帝国。


次の瞬間、私は意識を手放したのだった。


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