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緊迫感を増す
<基本形>
「ミックスフライって、何をミックスしてるんですか?」
<かすかに不穏>
「ミックスフライって、何を混ぜてるんですか?」
<少し不穏>
「ミックスフライに何を混ぜたんですか?」
<なかなか不穏>
「……ミックスフライに、何を、混ぜたんですか?」
<相当に不穏>
「……ミ、ミックスフライに、何を、混ぜたんですか!?」
<でも心配はいらない>
「……ミ、ミックスフライに、何を混ぜた!? 言え!!」
男はにやりと笑みを浮かべ、挑発するような口調で言った。
「片栗粉だ」
「バカヤロウ!」
思いがけぬ罵声に男は顔を引きつらせ、戸惑いを現した。私はこみ上げる悔しさを何とか抑え込み、できる限り抑えた声で言った。
「……片栗粉を入れたら、それはもう、フライじゃない。唐揚げなんだ」
男はハッと息を飲み、そして呆然と地面に膝をついた。その目に涙が滲む。
「俺は、ただ、そのほうがサクッと揚がるんじゃないかって……」
取り返しのつかない事態に気付き、男の目から一粒の涙がこぼれる。私は男に駆け寄り、気が付けばその身体を強く抱きしめていた。
実際は片栗粉で揚げてもフライって言っていいらしいよ。




