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お茶会狂想曲  作者: 鹿島きいろ
7/30

7. 70日前_お茶菓子を決めよう!

「ジョアンナ。

例の殿下のお茶会のお茶菓子とお茶の選定は、終わったか?」


「はい、大方は。王宮の調理部と相談は出来ておりますが、あと何か一品コレッ!という物が思う中々見つからず...。」


「うむ。」


「時期的なものと、お茶会の目的、コンセプト等、総合すると、パターンはある程度決まってくるので、それに当てはめているのですが、一品何かコレっ!という目玉になるような物を入れるだけで雰囲気がだいぶ変わるので、調理部と合わせて考えているのですが、これがなかなか...。」


「なるほど。」


「あっ、そういえば、この前殿下から貰ったお菓子、部長食べました?

アレ、私食べそこなったので、味わからないんですよね。見た目とても可愛らしかったので、令嬢達をご招待するお茶会なら、もってこいだと思うのですが。」


「あ~アレか。少しだが食べたぞ。

アレは、美味だった。

やはり、殿下が手に入れたものだけあるな。」


「なるほど。」


「ちなみに、半分以上は、アーノルドの腹の中だ。」


「はは。相変わらず良く食べますね。

あれ、今回のお茶菓子にどうですかね。」


「良いんじゃないか?」


「よし。では入手先の情報、手に入れてきます!」



そうして、私は、10分程度廊下を歩き

殿下の執務室の警備兵に取次を頼む。


「第三王子部ジョアンナ・カールストンです。」


「申し訳ございません。

ただいま殿下は会議の為、外出しておりまして。」


「いえ、今回は、殿下でなくて、文官か侍従の方の誰かで構わないのですが。」


「承知いたしました。少々お待ちください。」




少し、廊下で待っていると、侍従の一人が、殿下の執務室から出てきた。


「こんにちは、ジョアンナさん」


「こんにちは、ケネスさん。この度、お伺い事が1つございまして。」


「はい、なんでしょう?」


「この前、殿下からお菓子なのですが、今度のお茶会でご提供するのは、可能でしょうか?」


「おや、ジョアンナさんのお口に合いましたか?

それは、殿下もさぞかしお悦びになられることでしょう!」


「あ、あの、いや...。」


「ジョアンナ?」

声をする方を見ると、殿下がこちらに向かってきていた。

どうやら会議が終わって戻ってきたらしい。


「殿下。本日も、ご機嫌麗しく。」


「ああ。今日は、どういった御用かな。

君ならいつでも歓迎するよ。」


「ありがとうございます。」


「ジョアンナ嬢は、先日、殿下がお渡しになられたお菓子を、お茶会にご提供できないかと。」


「気に入ってもらえたの?うれしいな。」


うっ。そんなキラキラした笑顔で言われると、良心が痛い...。


「はい、大変好評でした。」


「? 君は、食べなかったの?」


「あ...はい。申し訳ございません。せっかくの殿下からの贈り物でしたので、部の者達と共有しようとしましたら、運悪く、私が食べる間もなく、大変好評でして。」


「......。そう。

ジョアンナ、ちょっとここで待ってて。

ケネス、ちょっと良いかな。」


と侍従のケネスさんを呼び、二人して執務室の中へと入ってしまった為、私は、執務室前の廊下で、そのまま、彼らを待つこととなった。


怒らせてしまったのだろうか。


最初に呼びかけてもらった声と比べると、先ほどの声はどこか固くなっていたような気がする。そうすると、入手先を教えてもらえないかも。何か、他の品を考えなくては。いや、その前に殿下が怒っているのであれば、そちらをなんとかせねば...。



暫く待っていると、ケネスさんのみ戻ってきて、お店の詳細を記載した紙を手渡してくれた。


「お忙しい中、ありがとうございました。」


「いえいえ。」


「あ、あの殿下は、お怒りになられているのでしょうか?」


「ああ。あれですか?

ジョアンナさんは、お気になさらず。

ただ拗ねているだけですので。」


「はあ。」



◇◇◇


「という事で、殿下からお店の詳細をいただけたので、明日にでも直接お店に行ってまいります。」


「近くのお店だったか?」


「はい。大陸の有名店の修行から戻ってきたパティシエが、最近王都にオープンしたお店のようで。なんでも、あのお菓子は最近大陸で人気のお菓子だとか。」


「へえ~。いいんじゃないか。

ご令嬢方も喜ぶだろう。」


「そうですね。」



「ジョアンナさん、何か荷物が届いたっすよ。」


「え?私宛?けっこう大きな箱ね。何か、装飾関係のサンプル品かしら?」


「それにしては、箱、綺麗すぎないか?」


「確かに。」


「ほれっ、とりあえず開けてみろ。検査通ってきてるんだから、危険物でもあるまい。」


「あ、送り主もオージアス殿下の執務室ですね。」



「「「おおお~!」」」


「これって、あれじゃないっすか!

この前、殿下が我々に差し入れてくれたお菓子!」


「確かに。同じものだな。」


「しかも、他にも色んな種類があるっすね。」


「本当ね!

包装もどれも、凝っていて、しかも可愛いわ!」


「これ、アレだな。ジョアンナが確認しに行ってから、直ぐに手配したんだな。」


「やっぱりエリート揃いの執務室組は、仕事早いっすね~。」


「そうね。こんなに沢山。しかも、即日サンプル品を送ってくださるなんて!あの室は、皆さん優秀ね。私も頑張らなければ。」





「部長、オレ思ったんすけど、

あれって、本当にサンプル品っすかね...。」


「言うな、アーノルド。

俺たちが、憶測で物事を考えてはいけない...。」


「...そ、そおっすね。」




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