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お茶会狂想曲  作者: 鹿島きいろ
6/30

6. 75日前_衣装を決めよう!

「ジョアンナ。

例のお茶会の殿下の衣装は決まったか?」


「はい。王妃殿下の衣装課とうちの衣装課がデザインを持ちより、本日13時よりサンプルを持ってくる予定です。水仙の事は伝えておりますので、おそらく白と黄色を基調したもので、差し色に緑が入るようなお召し物になるかと。」


「ふむ。」


「これだけ、水仙被せてくれば、参加するご令嬢も王族が何色か想像しやすく、ドレスの色が王族と被ぶるのでは、という悩みは解消されるかと。」


「あ~なるほどな。

あれは、いつも大変そうだよなぁ。」


「ええ。個人的には、被って何が問題なのか。と思うのですが。

むしろ、被らせたくないのであれば、王族は予め色指定しておけば良いのに。まあ、その辺は、口を慎むことにします。」


「おう、そうしてくれ。」


「あ、時間ですので、衣装の立ち合いに行ってまいります。」





殿下の執務室の警備兵に取次を頼む。


「第三王子部ジョアンナ・カールストンです。殿下にお目通り願いたい。」


「確認してまいります。少々お待ちを。」



「どうぞ、お入りください。」



「ジョアンナ、ごきげんよう。」


「やあ、ジョアンナ。元気かい?」


「はい、王妃殿下もオージアス殿下も、本日もご機嫌麗しく。

早速ですが、本日は、衣装のサンプルをお持ちいたしましたので、ご確認をお願いいたします。」


「まあ!どれも素敵ねぇ」


「そうですね。」


「ジョアンナは、どれが良いと思う?」


「私ですか?そうですね。これなんかいかがでしょうか?

このデコルテのデザインが王妃殿下にピッタリかと。」


「あ、本当ね。」


「僕には、どれが良いと思う?」


「そうですね。王妃様と揃えた方が見栄えが良いかと思いますが...これ何ていかがでしょう?殿下の気品がより一層引き立つかと。」


「そう。」


なぜ、王妃殿下も、オージアス殿下も

私に聞いてくるのだろう。


ど素人の私なんかよりも、後ろに控えているお抱えの衣装課の専門家に聞いた方が、もっと的確な物を選べると思うのだが。


ほら。

殿下だって、私のコメントに残念そうにしているではないか。


「なあ、ジョアンナ。今回のお茶会で、まだ予算に余裕はあるだろうか?

 もし、余裕があるのであれば、君たちも含め、今回のお茶会に出席する職員達に揃いの服を仕立てたいのだが。」


「は?」


「君だって、さっき言っただろう?そろえた方が見栄えが良いって!」


「はあ。確かに申しましたが。」


「という事で、早速、ジョアンナから採寸してきて!」


「は?」



え~!!


◇◇◇


「という事で、追加が増えましたので、予算の組み直しをすることになりました。」


「...。それは、ご苦労だった。」


「部長、どれが削れると思います?

もう、結構予算ギリギリだったんですよ!」


「いや、お前がちゃんと言わないのが、いけないんだろ。」


「王妃殿下も、殿下も、衣装課も外部の衣装屋も、女官長も勢ぞろいしている中、予算がないなんて、言えますか!部長!!」


「す、すまん。言えねーな...。」


「確かに揃えた方が綺麗ですよ!でも、何で、今回新調するんでしょう?経費節約って、殿下自らおっしゃってたのにぃ。


しかも、よりによって完全オーダーメード...。」


「は?」


「いつもなら、作ったとしても、いくつかサイズパターン作って終わりなのに...

 私、さっきの場で、採寸までされたんですよ!」


「それは、また、えらい積極的な...。」


「ここを削って、いや、ここは駄目か。ん~じゃあ、こっちの会場設営を...いや、やっぱり、削るなら人件費か?」


「ジョアンナ。とりあえず、オーダーを止めて、いつものサイズパターンで、もう一度お願いしたら、どうだろう。」


「そうですね。やはり、そこからですね。

もう一度行ってきます!」


「おう!多分、大丈夫だと思うぞ!がんばれ!」


「はい!」



そして、私は、徒歩十分先の殿下の執務室へと向かったのだった。


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