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お茶会狂想曲  作者: 鹿島きいろ
5/30

5. 80日前_会場場所を決めよう!

「ジョアンナ。

例のお茶会の会場場所は抑えたか?」


「はい。水仙の間を考えております。」


「理由を聞いても良いか?」


「はい。まず、開催時期が水仙の時期であること。次に、今回の主催者である王妃様の紋が水仙である事。この時点で、水仙をテーマにしようかと。在り来りですが、オーソドックスと言えば聞こえは良いかと。これにより色々とこちらに利点が」


「ん?」


「まず、水仙という名の会場が、運良くあります。しかも、この会場、会場名にふさわしく、窓から見えるのは、一面の水仙の群生。晴れていればガーデンパーティーにし、雨が降っても、会場内から楽しむ事ができるという両方に対応可能な会場です。」


「確かに、あそこから見える、水仙の群生は見事だ。」


「そして、装飾用切り花も、旬の花であれば、沢山出回っているので、値段がお値打ち価格!ついでに、量もあるので、さらにバリューディスカウントも可能です!庭園の水仙の群生の咲く時期が、例えズレたとしても、この沢山の水仙の切り花を用意しておけば解決できるという利点付きです。」


「うむ。」


「また、王妃殿下の紋だけあって、水仙のモチーフにしたカトラリーもその他のアイテムも豊富!デザインも作成も一から行う必要もありません。いくつかは、アイテム新作を作る必要はあるかと思いますが、一から作る時間、コストを考えれば、その差は雲泥の差です。

これで浮いた、お金も労力も他の殿下が望んでいる事に使える事が可能です。

何より

王妃殿下の紋である水仙なので、

在り来りと思っていても、誰も文句はでません!


まさに我々のコンセプト“心のこもった経費節約お茶会”にピッタリです!」


「おお、おう。」



そうなのだ。あの後、王妃殿下によるオージアス殿下の調書の結果、我々の裏コンセプトであった「心のこもった経費節約お茶会」は、そのまま、正式に表コンセプトにスライドした。部長とアーノルドの三人で、思わず固まってしまったが、王妃殿下が「あの子の希望だから、気にしないで。」と、まとめてしまった。



「しかし、そのハイシーズンの水仙の間、よくこの時期に抑えられたな。あそこは、季節のものだから、半年前からじゃないと押さえられなかった気がしたが。」


「あ~、王太子の妃殿下の担当部が、一週間の日程で抑えられていたんですけどね。同じ日程で、王太子の外遊が組まれて、妃殿下も一緒に行くことにしたらしく、まるっとキャンセルになったので、そこを隣の部屋と共に抑えました。」


「珍しいな。ご夫婦揃っての外遊なんて。

いつもは、どんなに周りが説得しても応じないのに。」


「それは、あれですよ。この前の外遊で、王太子殿下が側妃持って帰ってきちゃったから。」


「あ~なるほどな。」


「という事で、場所を借り押さえは完了しておりますので、これから殿下にご報告し、了承が得られれば、そのまま正式に抑えたいと思います。」


たかだか10分と思うのだが、同じ建物内、しかも同じフロアなのに...(以下略)




殿下の執務室の警備兵に取次を頼む。


「第三王子部ジョアンナ・カールストンです。殿下にお目通り願いたい。」


「確認してまいります。少々お待ちを。」




「どうぞ、お入りください。」




「やあ、ジョアンナ。元気かい?」


机の所で執務をされていた殿下は、相変わらず見目麗しかった。


この殿下、見た目も中々だが、王族にふさわしく、民草の苦労も労わる事ができる方で、色々と福祉関連での法もいくつもご提案されている立派な方なのだ。しかも、それを鼻にかける事も偉ぶるく事もなく、我々使える者にも、とても心配りが出来る方である。



「はい、殿下もご機嫌麗しく。早速ですが、本日は、お茶会の会場の候補をお伝えしたく。」


「うん。」


「水仙の間で行おうと思っております。理由に関しては、以下の通りとなります。」



◇◇


「うん、良いんじゃない。時期的にもぴったりだし。」


「ありがとうございます。それでは、私はこれで失礼いたします。」


「もう少しゆっくりしていっても、良いのに。

珍しいお茶菓子が手に入ったんだけど、一緒にどう?」


「いえ。殿下もお忙しいと存じますので。」


「そういうと思ってね。包んでおいたよ。

 これ持って帰って、食べて。」


「ありがとうございます。」


◇◇◇


そう言って殿下が渡してくれたお菓子は、ピンクやブルー、イエローのパステルカラーの砂糖菓子のようだった。私一人では、とても食べきれない量だった為、部のみんなで食べようと思い、「殿下からの差し入れです」と紙に記載し共有テーブルに置いておいた。


もちろん、自分も食べるつもりだったのだが、その後の他部署との会議から戻ってきた時には、既に完売御礼状態で、私は味見すら出来なかったが、みんなに好評だったのは、良い事だ。殿下から差し入れとは、こうあるべきであろう。残念だが致し方あるまい。


ちなみに、アーノルドに味の確認をしたところ「すっげぇ、上手かったっす!」と、とても上級貴族のご子息とは思えない、とてもラフな回答が返ってきた。その後ろで、部長が頭を抱えていた。


ええ、部長、おっしゃりたいことはわかりますとも!



すみません。

都合により、次の更新は、週明け月曜(予定)となります。

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