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お茶会狂想曲  作者: 鹿島きいろ
18/30

18. 10日前_スキャンダルはやめよう!

「ジョアンナ。

すまんが、キャンセルが1件でた。」


「承知しました。 シェパード伯爵令嬢ですね。」


「お!わかってるじゃないか!」


「そりゃあ、そうっすよ!今一番の社交界のスキャンダルっすもんね!」


「護衛兵士と駆け落ちですもんね。」


「アーノルド、エルマ!本当の事を口にしない!」


「「はーい!」」


「表向き、病気に伏している為、ご欠席。という事ですね。」


「ああ、そういうこった。」


「承知いたしました。」




という事は、少し調整が必要かな...。あとお茶会までちょっとだし頑張らなくては。


「ねえ、ちょっと!そこのあなた!ねえってば!」


「ん?おや、これはビビアーナ様」


くそ!またエリオットの奴、妹を中に入れやがって。

部長から注意を促してもらったのに...。


「この前のお菓子どうだったか、殿下から聞いてないかしら?」


「どうでしょう?お渡しはいたしましたが、感想までは。私も、殿下の執務室付けではございませんので。」


「そうなの?」


「ええ。」


「ねえ!今日こそは、オージアス殿下にお会いできるのよね?」


「申し訳ございません。本日も終日会議が入っておりまして。」


「そうな訳ないわ!お兄様が今日は、殿下は一日執務室っておっしゃってたもの!」


チッ!アイツ(エリオット)よけいな事を!


「ねえ、あなた!私を殿下に会わせない為に、適当な事言ってるでしょ?」


「いえ、そのようなことは。」


「いいから、会わせなさいよ!」


「申し訳ございません。今、確認を...」


「んん?あら、あなた、結構綺麗な顔してるじゃない!」


「はぁ?」


「ねえ、あなた私の所で雇ってあげるわ!どうせ、ここで下級文官しているってことは、爵位もどうせないんでしょ!」


「申し訳ございません。確かに、私には、爵位はございませんが、ここで働き続けたく...。」


「も~!!あれも駄目、これも駄目って!私を誰だと思っているのよ!」


え~!宰相の所の駄目令嬢?


「もう!いいわ!私にも考えがあるんだから!」

と言ったと思ったら突然


「きゃーーーー!誰か!誰か来て~!」

とビビアーナ嬢は叫び出し、あっと間に王宮内を警備している騎士達がこちらに向かってきた。


「どうされました、ご令嬢!」


「こ、この方が、わたくしに、ふふふ不埒な真似を!」


は?

はぁ~?



あれよあれよ言う間に、騎士だけでなく、叫び声を聞きつけた文官たちも集まり始め、大きな騒ぎとなってしまった。即座に私と彼女は、それぞれ別室へと入れられ、事情を聴かれ、数日間、処分の結果がでるまで自宅謹慎となった。




そして、数日後、部長に呼ばれ、職場である第三部に向かう。


「すまん、ジョアンナ。お前をかばいきれなかった。二週間の謹慎だ。」


「何でですか!絶対あの女の虚言だって、わかるじゃないですか!部長!」


「いいのよ。エルマ。」


「てか、ジョアンナさん。いつから百合の世界へ?」


「アーノルドは、黙ってろ!」


「俺は、お前がそんなことをするような人間ではない事は、充分わかっている!お前が女だとも申し上げたんだがな。宰相の所のご令嬢という事もあり、無罪放免にはならなかった。」


「いえ。謹んで受けいたします。免職処分にならなかっただけでも、御の字です。私の為に、ありがとうございました。」


「えっ、ちょっと待ってください!二週間の謹慎ってことは、お茶会はどうするんですか?」


「あの後、こうなる事も考えてたから、謹慎中だったけど、引き継ぎ書作っておいたわ。部長とも相談したんだけど、当日のオペレーションは、アーノルド。あなたにお願いしたいの。」


「...さすが、先輩。」



「そもそも、関係者以外立ち入り禁止のエリアに、呑気なご令嬢が入り込んでいるのが問題じゃないですか!」


「まあ、それも問題にはなったんだがな。マクベイン次男が目を離した隙に、“気づかずに”入り込んだ。という事で彼には、口頭注意が下だった。」


「口頭注意って...。」


「ていうか、あの令嬢、こんな騒動起こして、どうしたかったんでしょうね。こんな騒動起こしたら、殿下には良い印象残さないし、他のご令嬢達だって避けるし、それこそ噂になったら社交界に居られなくなるだろうに。」


「ん~そこで、箝口令の意味も含め二週間の謹慎で手を打ったんだろ。」


「いや、それ全然、箝口令の意味なさないですよ!むしろ現実味があるというか。」


「ジョアンナさん。何も悪くないのに...。すみません。あの時、私がちゃんと対処できなかったせいで。」


「エルマのせいじゃないわ。気にしないで。

まあ、しょうがない!少しのんびりしてくるわ!アーノルド、あとは頼んだわ!」


「へい。」


「部長、私は、これから二週間の謹慎に入りますので。アーノルドと共に殿下への担当者変更の挨拶をお願いできますか。」


「ああ、まかせとけ。」





本当に。彼女どうしたかったんだろ。

多分、自分のわがまま通したかっただけで、後の事考えてなかったんだろうな。

噂は回るだろう。


てことは、貴族に明るいあの商家だから、私の縁談も立ち切れだな、きっと。


それよりも、上手く立ち回れなかった自分が情けないし、

せっかくお茶会の統括に抜擢してくれた部長にも申し訳ない。

とりあえず私は、トボトボと自分の官舎に戻る為、出口に向かって廊下を歩く。



「ジョー!」


「殿下。」


「ジョー。大丈夫?」


「殿下。大変申し訳ございません!せっかくの殿下のお茶会にケチがついた形になってしまいまして。最後まで、殿下のお茶会バックアップしようと思ったんですが...。このようなことになってしまい、すみません。

私の代わりはアーノルドになります。ちょっとお調子者ですが、仕事はしっかりしてますので!」


あ~駄目だ。

あ、やだ、目がかすんできた。

駄目、ここで泣いちゃ。駄目よ。駄目だったら。

涙を見られたくなくて、思わず俯いてします。


と、気がつくと殿下の胸に抱き寄せられていた。


どの位の間、彼の胸に抱き寄せられていたのだろう。

長かったような気もするし、一瞬だった気もする...。



「ジョー...ごめん。」

と言った殿下の声で、我に返る。


「で、殿下。何謝ってるんですか!殿下、駄目ですよ!ほらっ、離してください!

また別の変な噂がたっちゃうじゃないですか!」


「あ、ああ。すまない。」


「殿下。ちょっと、私、謹慎してきます。謹慎明けたら、またビシバシこき使ってくださいね!

では!」



そして、私は謹慎の為、自分の部屋のある官舎へと戻った。


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