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お茶会狂想曲  作者: 鹿島きいろ
1/30

1. 100日前_お茶会を開こう!

新連載です。

よろしくお願いいたします。

「ジョアンナ。ちょっといいかな。」


そろそろ昼食の休みに入ろうとしていた所、

大きな会議から帰ってきた部長のエドモンド・ドレイパーに、私は呼ばれた。


「はい。なんでしょうか。」


「水仙の月にお茶会を開く事になった。

 ついては、その統括を君に任せたい。」


「承知しました。

 うちの部が受け持つという事は、

 オージアス殿下主催でよろしいでしょうか?」


「いや、王妃様主催で頼む。この意味解るな?」


「はい。オージアス殿下のお妃候補選定の一端

 という事ですね。」


「うむ。」



私の名は、ジョアンナ・カールストン。

約450年歴史ある島国、グランチェス王国の王宮で、

文官をしている下級貴族の娘である。


約100年前、隣のフォンシェイン帝国で革命が起こり、帝国が倒され、それを皮切りに、民主化運動が各地に広がっていった。この民主化の流れの一端として、女性の社会進出も徐々にではあるが、広がりつつある。


今まで女性は、成人すると直ぐに結婚し、社会に出る事なく、家に入るものとされてきた。


が、その風潮の中に、女性であっても、自分の未来を自分の手で切り開く事が出来る権利があるという考え方が混ざりつつあった。そして、それは革命が起こらなかった我がグランチェス王国にも広がりつつある。とはいえ、簡単に今までの風潮や人々の意識が劇的に変わるのは難しく、女性文官は、今でも数がとても少ない。


そもそも採用人数の少ない女性文官なのだが、一人、また一人と結婚を決め、王宮から同僚達が去る中、私はまだ王宮に残っている。気がつけば、あと数年で30の大台に乗ろうとしていた。嫁に行くには、既に遅すぎで、きっと定年まで勤めあげる事になるだろう。それに関して言うと、自分が望んだ人生なので、悔いはない。


各王族それぞれに担当部署があり、私は、4年前よりこの国の第三王子であるオージアス殿下の担当部署で働いている。担当部署とは一体何かと言うと、担当王族-私でいうオージアス殿下―に関わる一切の事を取り仕切る部署であり、殿下の身に着ける物の手配から、社交に関わる準備やそれに伴う警備等、ありとあらゆる殿下に関する事を一手に取り仕切る部署である。ちなみに、私ではないが、同僚は他の男性王族の為に、娼館の手配もした事があるらしい。


さて、前出のお茶会だが、現在オージアス殿下には、婚約者がいない。


とっくにご成人されているが、大分昔に婚約者を流行病で亡くされて以降、その席は空席のままであった。ずっと殿下本人が望まれていなかったらしく、このままずるずると独身王族を貫いていたのだが、いつまでも独身ではいられないと発破をかける為なのか、王妃殿下が発起人となり、今回のお茶会に至ったらしい。


私は、そのお茶会の統括を任された。

初めての大きな仕事の責任者である。


ずっと、男の同期達がどんどん大きな仕事を任せられるのを横目で見ていたが、ここにきて、ようやく自分に巡ってきた大きな仕事。敬愛するオージアス殿下の為にも、頑張ろうじゃないか!


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