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純文学

昔、しりの穴ありけり

作者: 幸田遥

 今は昔、兵頭佐助という、たいそう好奇心旺盛な男がいた。



 佐助が道を歩いていると、道のまん中に、なにやら奇妙な『そうめん』が落ちていた。



「はて、これは、そうめんか、細いなぁ。どれ、ちょいとばかし、しりの穴にでも差してみようか。ほれ」



 ぷすり。



 佐助は、自分のしりの穴に、そうめんを差した。



「なるほど、これはいい」

 少し上機嫌になった佐助は、歩を進めた。





 佐助が道を歩いていると、露店では『らーめん』を売っている。


「はてはて、それは、らーめんか。どれどれ、あっしにも少しらーめんを分けてはくれないか。この『そうめん』の横に、3本ばかし、『らーめん』を差してはくれぬか」

 佐助は、露店の店主に、しりを見せる。



「ばか言っちゃあいけねぇ。いくら細いらーめんと言えども、3本は過ぎるぞなもし」

 店主は言ふ。


「なぁに、心配はいらねぇ。いつもそのらーめんよりぶっといもんを出しているからのぉ」

 と、佐助は、得意げだ。



「ならば」と、店主は、佐助のしりの穴に、らーめんを3本差してやった。



 ぶすり。



「おぉ、いい感じだ。すまんのぉ。恩にきる」

 佐助は、そう言い残し、露店を去った。





 佐助は、そうめん1本とらーめん3本をしりの穴に差しながら、歩く。




 佐助が道を歩いていると、『うどん』屋を見つけた。


「はてはて、これは、うまそうなうどんだ。どれどれ、あっしにも少しうどんを分けてはくれないか。この『そうめん』と『らーめん』の横に、『うどん』を、5本ばかし、差してはくれぬか」


 佐助は、うどん屋の店主に、しりを見せた。



「おいおい、あんた。ばか言っちゃあいけねぇ。うちのうどんは手打ちでさぁ、ぶっとさが売りなんだ。5本は過ぎるぞなもし」

 店主は言ふ。



「ならば3本で!」と佐助。



 食い下がる佐助の根に負け、「それならば」と、店主は、佐助のしりの穴に、うどんを3本差してやった。



 ぶすり。



「おぉぉ、素晴らしい。すまんのぉ。恩にきる」

 佐助は、そう言い残し、うどん屋を去った。





「あら、たいそう賑やかなおしりをして遊ばせるのね」

 と、すれ違う人々は、皆、佐助のしりに興味津々である。


 佐助は、気分良く、しりに差してあるそうめん1本とらーめん3本とうどん3本を、ぺちり、ぺちりとしながら、闊歩する。




 佐助が、学校の前を通ると、学校が終わったのか、多くの童どもが『校門』に群がっていた。



「やれ見ろ、何か面白い奴がいるぞ」


 童どもは、佐助のしりの穴に差さっている麺類に興味津々で佐助に向かう。

 童どもは、佐助のもとに一斉に集まり、麺類に手を伸ばす。



「えぇい、やめろ。やめてくれぇぇい」

 童どもは、佐助の声には目もくれず、麺類を引っ張ったり、つついたり。



「頼むから、やめてくれぇぇい。ひっぱらないでくれぇぇ」

 佐助は必死に抵抗する。



ついに。




「ああぁ」



 佐助のしり、つかふことあたはざるになりにけり。





 この事件は学校中に広がり、語り継がれました。

 今でも、その教訓は語り継がれております。


『こうもんで遊ぶべからず』


 と。


前作は無念の発禁になりましたが。これくらいなら大丈夫でしょう。抑えると、微妙ですね。

『過ぎるぞなもし』が使いたかっただけです。

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― 新着の感想 ―
[一言]  読ませていただきました。 拾った物は口に入れてはいけませんといいますが、尻の穴なら別ですよね~(笑)。 でも、落ちたそうめんを入れる勇気、素晴らしい過ぎる(笑)。 店の主人たちも、ツッ…
[一言]  混沌という面白さが、よく引き立っていますね……。これが、コメディーではないというのですか……。  笑わせていただきました。ありがとうございました。
[良い点] 『こうもんで遊ぶべからず』 なんという秀逸でストン落ちるオチ! 素晴らしいです! それまでのカオスが嘘のようです!
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