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ハンドハンマー

「よし、降下地点決定」


電脳世界の空を飛ぶヘリコプターの中で私はつぶやきました。


「さあ、降下です」


そう言うと私はヘリコプターから飛び降り、眼下に広がる岩山にパラシュートを展開しながら着地しました。


「「ハンドハンマー」さん、お願いしますね」


今回、私が使うのは「ハンドハンマー」という消費型の投擲武器です。


このハンマーは、早い話がごく普通の工具用のカナヅチです。


ハンド、つまり片手で握りしめられる程の大きさしかありません。


身の丈程のハンマーが主流のこのゲーム内では、かなりの小型の武器です。


こんなもので、巨大なゴーレムを解体できるのか、と思われるでしょうが、そこは心配ご無用です。


「まずは、マップを確認しつつ接敵ですね」


先程も言いましたが、このハンマーは消費型の投擲武器です。


まず消費型というのは、使用者の一定範囲から離れると、数秒後に自動消滅する特性をもつ武器を指します。


そして投擲武器、つまり所持して使うのではなく、放り投げることによってその真価をはっきする武器です。


以上のことからこのハンマーは一度投げると二度と手元には戻って来ません。


「この崖を登った先に……」


そのようなデメリットをどうカバーするか?


答えは簡単、「数」です。


このハンドハンマー、かなりの安価で購入できる上、戦場に持ち込める数にも制限がありません。


すなわち、このハンマーは質より量で立ち回る武器なのです。


「よしよし、いましたね」


私の眼前に、ネズミの姿をしたゴーレムが現れました。


この「ラット」という名のゴーレムは、自身の前方に岩の壁を展開して防御を行ってきます。


ここでポイントなのが、前方にしか壁を展開できない点です。


つまり、壁の側面から回り込んでしまえば、簡単に対処でしてしまいます。


しかし今回は別の方法で対処してみたいと思います。


「ちょっと緊張しますが、チャレンジですね」


私はラットに急接近を仕掛けました。


すると、ラットはすかさず両前足で大地を叩き、私の進行方向に対して岩の壁を展開して来ました。


「それです、それを待っていました!」


私はその壁の側面からラットに回り込み……ません。


先程も言いましたが、今回試したいのは別の方法です。


私は手にしたハンドハンマーを壁の向こうのラットに向けて、山なりの軌道で放り投げました。


投げられたハンドハンマーは岩の壁の上側面を通過し、壁の向こうのラットに直撃しました。


「おっ、上手く行きましたね」


そう、これが私が試したかった岩の壁の対処方法です。


しかし、やはり一撃では大したダメージは当てられませんね。


ですが、私は奮発して50個のハンドハンマーを購入しています。


残り49個、ここからが本番で……。


「あっ」


次の瞬間、壁の側面から回り込んだメンバーの一人の一撃が、ラットに炸裂しました。


『ラット 解体』


「……まあ、そっちの方が正攻法ですよね」


私はチームメンバーとハイタッチを交わしました。

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