トラップハンマー
「よし、降下地点決定」
電脳世界の空を飛ぶヘリコプターの中で私はつぶやきました。
「さあ、降下です」
そう言うと私はヘリコプターから飛び降り、眼下に広がる湿地体にパラシュートを展開しながら着地しました。
「「トラップハンマー」さん、お願いしますね」
今回、私が使うのは「トラップハンマー」という援護主体の武器です。
このハンマーには独特な機能が備わっております。
その機能とは、ハンマーで叩いた部分に地雷型のトラップを仕掛けることができるのです。
具体的に説明しますと、ハンマーの円柱状の頭部の物を叩く部分、底面の部分に円形のマークが刻み込まれています。
そして、このハンマーの頭部をハンコに見立てて地面に叩きつけることによって、マークが印の様に地面に転写されます。
この転写されたマークに、接触したゴーレムに反応して起爆する機能があるのです。
要するに爆弾スタンプです。
……恐ろしい。
「取り敢えず、接敵ですね」
しかし、一見強そうなこのハンマーですが、デメリットが二つあります。
一つ目は一定時間経過後にマークが自動消滅してしまうこと。
マークはいくらでも設置することが可能ですが、だいたい五ヶ所設置するころに、一ヶ所目のマークが自動消滅してしまいます。
二つ目は起爆の威力が低いこと。
起爆の爆風はかなり広範囲に渡りますが、いかんせんそこまでの威力がありません。
以上の二点から、このハンマーはあくまでも他メンバーの援護が主体のものとなります。
「縁の下の力持ち! ……になれるといいんですが」
そうつぶやく私は眼前に、巨大なクモの姿をしたゴーレム「スパイダー」をとらえました。
スパイダーは既に他メンバーの一人と交戦中でした。
「あの方は……トンファーハンマー使いですね」
そのメンバーはトンファーハンマー使いの身軽さを活かしながら、スパイダーの八本足相手に立ち回っていました。
「他の二人はまだ到着していないようですね。とにかく援護しましょう」
私はスパイダーに接近すると、構えたハンマーを地面に向けて振り下ろしました。
そして、スパイダーのすぐ近くにトラップのマークが押されました。
「よし、後は上手いことトラップにはまってくれるといいのですが……」
『いいね』
私がそうつぶやいた次の瞬間、トンファーハンマー使いの方からいいねが届きました。
「おや、トラップ設置に気づいてくれましたね。ということは……」
トンファーハンマー使いは器用にスパイダーの注意を惹き付けながら立ち回り、私の仕掛けたトラップの位置にスパイダーを誘導してくれました。
私はその方にいいねを送りました。
そして次の瞬間、クモ足の一本がトラップに重なりました。
刹那、轟音と共にクモの足元で爆発が起こり、スパイダーは体勢を崩しました。
その隙を見逃さなかったトンファーハンマー使いは、スパイダーに急接近し、目にも止まらぬ突きのラッシュをスパイダーに叩き込みました。
『スパイダー 解体』
私はトンファーハンマー使いの方とハイタッチを交わしました。