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ミストラ

 


 …アンデット作成にも色々あって、無垢なものであればそのままサモンすればいいのだが、知性あるものにしたければ自分で()()()()ならない。その為、殺す→集める→変質させる、の連続詠唱をしてから作るまでの過程が必要になるのだ…ところで、この状況はどうしたら…

『何を困惑しているのですマスター、作成者なのですから主になるのは当たり前でしょう。その覚悟もなく作ったので?』

「『だって…早く作ってみたかったんだもん。』」

『だって、じゃないですよ。これからは国をも作らねばならないのですから、慣れてください。』

「『それほんとにスケール大きすぎるって…』」

 てか、親かよ…

「…主様、どうかされたのですか?」

「あ、あぁいや、大丈夫だよ。…取り敢えず、ここで話すのもなんだから俺の家に行こうか。」

「仰せのままに。」

 堅いよ…しかもいきなり自分の家に連れて行くなんて…でも、取り敢えず歩きながら整理しておかないと…

 俺は種族選択で「ヴァンパイア」を選んだ。それ以外はランダムだが、多少は想像通りのものが来ると思っていたのに…

「『全然思ってたのと違うの来たよ?!』」

『とても顔の整ったヴァンパイアですね、マスターの好みですか?』

「『違うって!筋肉質な男の人を作っていっぱい働いてもらおうと思ってたのに…』」

『それにしては豊満な体型をしていますね。』

「『…怒ってる?』」

『いえいえ、怒るなんてとんでもない、マスターの初めての家来ですものね、自分好みにしても誰も責めたりしませんよ。ましてや、王になるような方に…』

「『ほんとに違うんだけどなぁ…』」

 でも、心のどこかでこんな人がいたらなぁ、なんて思っていた自分がいたのかもしれない…弁解の余地がないほど整っているから、尚更何も言えない…

「入っていいよ、って言っても生前に利用してただけだからぼろいけど、外より落ち着くからさ。」

「了解しました。」

「うーん、何からしようか…取り敢えず服だね。布一枚じゃさすがに目のやり場に困るからね。」

「それでしたら主よ、主が先にお召し物を着用することを優先していただきたく…」

「ん?あぁ、そっか何も着てないとただのでかい骨だもんね俺…ってかこれ全裸じゃね?」

 恥ずかしい!って思うもの何もないからいいけど…実際今目のやり場に困って恥ずかしそうに下を向くヴァンパイアの子を見ると、俺の方を優先させた方がいいようだ。

 …ということでさっそく服を探しに露店街に来たはいいけど、やってることが店荒らしと大差ない…だって誰もいないし、潰れてるし、しょうがないよね…

 結局俺は大男用のでかいシャツみたいなのを着ただけになった。下はウエストが細すぎてなにも穿けなかった…ヴァンパイアの子の方はフリルの付いたワンピースを着ている。体のラインが強調されてますます目のやり場に困ってしまった…可愛い…おっと、いけない。

『マスター、何か脱線していませんか?』

「『してないしてない!これからだよ!』」

『ならいいんですけどねぇ…』

 勘違いしてもらっては困るが、今の俺には性欲といった概念は存在しない。なので、普通に可愛いと思う程度で欲情したりはしない…というよりできないしね!

 その後、再び家に戻ってきた俺らは今後について話すことにした。

「…っとその前に君に名前を付けないとね。」

「名前、ですか…私などに名前など…」

「だめだめ、俺の最初の仲間なんだからね?ここら辺はしっかりしないとっ!」

「仲間…分かりました。如何様な名でも有難く頂戴いたします。」

「うーん、どうしよっかなぁ……あっ、じゃあ『ミストラ』ってのはどう?ミストラ石から取ったけど、結構似合ってるよ?」

 ミストラ石とは、無色透明の宝石でアクセサリーによく使われるものだ。

「ミストラ…ミストラですか…」

「え、なんかダメだった?」

「とんでもございません!とても良い名だと思います。一生忘れぬよう心に刻んでいただけにございます。感謝致します、主様。」

「あ、あぁ、そう?ならよかった。」

「ところで主様、私は主様のことを何とお呼びすればよいのでしょうか?これまで通り主様と…?」

「あー、それもそうだね。正直主様は少しこそばゆいから好きじゃなかったんだよね、俺の名前ね、考えてたんだよね…じゃあ、『イルム』って呼んで?」

「…心得ました、イルム様。」

『イルムですか…一文字増えただけですね。安直ですが好きですよ、マスター元いイルム様。』

「『チノは今まで通りでもいいよ、その呼ばれ方に慣れちゃったしね。でも安直は余計…これでも結構悩んだんだからね?』」

『…そうですか。ではマスターと今まで通り呼ばせていただきますね。そして、先の失言申し訳ございませんでした。』

「『全然いいよ、気にしてないから。…それとこれからも宜しくね、チノ。』」

『もちろんです、マスター。』

 お互いの名前を決めた後、今度こそこれからの事について話し合う事になった。


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