接続
凄い浮遊感とともに俺の意識は幻想に溶け込んでいった。
4年ぶりの父さんの顔と2年ぶりの母さんの優しい顔が近ずいてくる、「よく頑張ったね。」と、言っているような気がした…俺は涙を拭かずに父さんと母さんに手を伸ばして近ずこうとする。
パリンッ!!
ガラスを割るような音と共に意識が幻想から引き剥がされて、覚醒する。
「は?」
俺は混乱する。俺は瓦礫の下にいたし、死の境で両親と会っていた。はずだった…
それが今は道路の真ん中に立っている。
泣いていた感覚がまだ残っており、涙を拭おうとする。
そして気づいた、手に皮膚がないのだ。
「うわぁぁっ!!」
びっくりして手を離すが、何度見ても自分の手であるとこは確かだった。そして、何故自分が泣いていたのかが分からない。俺は更に混乱する。
周りを見ても誰もいない。木材が燃える音以外何も聞こえない。王城は吹き飛んでおり、それだけではなく町もかなり燃え、荒れている。
…全く意味が分からなかった…
何より自分の手が、よく見ると身体全体が骨だ。どうやって今立てているかが理解出来ない、一瞬自分の皮膚が全て燃えて骨になっているのかという考えが頭を過ったが何故か不思議と自分の身体が昔からこうだったと思えてしまうのだ。
ますます意味が分からない…
取り敢えず、訳が分からないので自分の家に帰って整理する事にした。我ながらマイペースな気がする。
帰路の途中も誰にも遭遇せず、俺は家とは言えないボロ屋に入… ガツッ!
「???」
今までは俺の身長は150c位で大人になっても余裕のある玄関だと思っていたのだが、-実際に200c位の玄関だ-骨の額がぶつかった…つまり今の俺の身長は200c以上ある事になる。
そのまま俺はボロ屋(俺の家)の中にかがんで入り、すぐそこのソファだった物の上に座る。ドン!
…そんな気はしていたが壊れた。体重まで元の俺ではないらしい、俺は仕方なく床に座り考察を開始する。
まず初めにこの身体…
「うん、骨だ、俺骸骨だ。」
さて、最初から難問だな…………うーん……。
いやいや、分かる訳がない、分かってたまるか…第一今の状態-胡坐だが-どうして骨が繋がっているのか分からないし、てか、若干骨と骨の間が空いてる気もするしさ…ダメだ、理解不能。
よし、次…何処にも人がいない件について………うーん……。
いや、何でいないんだよ!いつもだったらお願いしてもいないのに絡んでくるチンピラも何でこんな時にいてくれないんだよ!誰か教えてくれよー!…あぁ、誰もいないのか……保留。
取り敢えず、今特に気になることの最後だ。
「なんだよこれ…」
身体と周りの事が理解できなさ過ぎて後回しにしていたが、これも十分おかしい。俺の視界の右下の隅に矢印が途中で三つに別れたようなものにバッテンの付いたマークがあるのだ。
何なのかと思って触ってみようとしても、眼球に直接表示されているかのような感覚だった。第一に俺、眼球あるのかなぁ…
まぁ、帰ってる途中で顔を触ってみたけど硬かったし、ゴツゴツしてるし、穴あったしなぁ…はぁ…これが夢だったらいいのになぁ…っとまあこれが夢なら両親に会っていたあれが現実となってしまうからそれだけはないと断言できる。
でも、夢だったなら良いのに。と、思ってしまうのも仕方がない。何せ意味が分からない事だらけなのだ、というか何も分かっていない…
「くそっ!なんなんだよ!うおおおぉぉ!!」
俺はやけになり、力を入れてマークを凝視した。すると、
《ラグナロクヘ接続シマスカ?》
「へ??」
いきなり脳に直接男とも女とも思えない不思議な声が聞こえた。
「あ、はい。お願いします。」
よく分からないが、ここは素直にお願いしておこう。
というより、他に選択肢がないのだが…
《ラグナロクヘノ接続ヲ開始シマス》
そこで、また俺の意識は途切れた。
どうぞよしなに.