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選ばれたのはケモナーでした  作者: 竹端景
第三章 運命の出会いとケモナー
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二人のため、自分たちのため

 棒神様(ぼうじんさま)の加護があることは内緒にしないといけない。

 でも、二人にあるというのは納得だ。だって棒神様だもの。加護がないと考える方がありえないだろう。

 ただ、ケルン以上にしっかりしている二人があっさり打ち明けたことには驚いた。


「殿下。いくら、我が家の者は口が堅いとはいえ、その件をお話なさるなぞ」

「良いのです、ティストール様。祝福の儀より、私に呪いをかける者が増えていたのは、貴方が一番ご存じのはずです。それに…今日まで生きながらえたのは、加護があってのことだ。薄々だが、側近の者も命を狙う者も、気づいているだろう」


 父様がミケ君に注意しようとしたら、ミケ君は淡々と…まるでどうでもいいように答えていた。いや、メリアちゃんも、何もいわなかっただけで、内心は同じようだ。


 普通、ケルンぐらいの年頃の子供が、こうも自分の命を軽んじているような発言をすることはないはずだ。命を狙われているとわかっていて、どうでもいいなんて態度をとれるはずがないのが、普通だろう。


 それと同時にわかった。


 父様がここまで親身になるなんて、不思議に思っていたのだが、そうか、この二人、子供でいいのに、子供であることをやめようとしてるのか。

 誰かに、甘えたり、救いを求めようとも思っていないのだろう。しかも、二人の世界だけで、完結させようとしているみたいに思うのだ。

 世界がせまいのではなく、世界を共有する気がないように思えた。


 いったい、どんな風な扱いを受けてきたんだろうか。

 ミケ君は特に、そのうち、一人で生きていくんだと決めてるかのようだ。誰の手も借りるつもりはないというほど、強い拒絶を感じる。


「まぁ、私ですめばいい。妹はできれば守ってやりたいが…」

「お兄様!また一人で背負い込まないでください!そのときは、今度こそ私が代わりになります!」

「お前はいいんだ!私が!」

「はいはい、二人とも。落ち着きなさい」


 ミケ君の言葉にとうとうメリアちゃんは怒ったようだ。きっと目をつりあげて、ミケ君を叱りつける様子はどっちが上なのかわからなくなりそうだ。母様が二人を落ち着かせようと声をかけると、#不承不承__ふしょうぶしょう__#といたった態度を隠そうともせず、二人は互いに目を背けた。


「まったく…どこの家庭も長男長女って無理するものね」


 そういって、母様はケルンをみた。

 なんだろう。まるで俺に対しての苦言のような気がする。いや、気のせいだよな?うん。俺は無理なんてしていないしな。

 

 しかし、二人ともなんでこうも子供らしくないんだろうか。王族とかって教育が厳しいのか?それとも王様の教育方針とか?二人をこんな風にさせた王様って、酷い人なんだろうな。きっと、冷酷で子供なんか興味ないのかも。

 キャスが「国なんてどうでもいい」っていうのは、ひょっとして王様の噂とかを耳にいれているからなのか?だったら、キャスがそういうのもうなづける。


 こんな二人をほっとくなんてできない。どうにか二人と本当に仲良くなりたいんだが…そういや、あの話があったな。

 とりあえず、微妙な空気もなんだし、二人に確認するのがいいか。


 ケルン。二人に聞いてくれ。

「んー?ねぁ、ミケ君。メリアちゃん。学園に入るの?本校の方だよね?」


 噂になっていたのだ。王族と有名な貴族の子息が学園に入学すると。その王族っていうのが二人のことなら、少し考えがある。


「ああ。その予定だ。友もなく、慣習とはいえ、この身を晒さなければならないとは…せめて、メリアだけでも、何とかならないだろうか…」

「またそのような…私のことはいいのです、お兄様。この身を笑われようと、構いませんわ。なれっこですもの」


 二人が一番嫌なのは、見た目か。

 ()()()()()()()()()()()()。手がないわけじゃないからな。


 それよりも気になった言葉がある。

 友達がいなくて…ふーん…友達な。


「そっかぁー。友達がいないね…お兄ちゃんも同じ気持ちだよね?」

 おう、俺もも怒っているぞ。


 父様、ケルンが母様に似ているなんて、わかってることをぼそっと小さな声でいわないで、母様と笑顔が似てるのは、ほら、男の子は母親に似るというだろ?


「ねぇ、父様」

「ん?何だ?ケルン」


 母様をちらっとみたの見えてるからね、父様。


「あのね、父様って『フォーム』使えるよね?」

「ああ、父様は、だいたいの魔法が使えるからな…でも、ずっと『フォーム』をかけ続けるのは無理だぞ?」

「うん。わかったー」


 なるほどな、計画の為には、父様は必要だ。俺でもいいが…いざとなったら、()()()に協力を頼んだらいいな!


「まぁ、陛下からも頼まれたこともあるし…そうだな…考えておこう」


 あ、王様も考えてたんだな。なんだ、一応親らしいことはしてくれるのか。自分の息子と娘のことだもんな。そこまで冷酷な人ではないのかも。少し好感度をあげてあげよう。

 現在マイナスだがな。二人を悲しませてるんだ。当然だ。


 しかしこれで色々と決心がついたな。


「よし!」


 棒神様が天使のおねぇさんに託した言葉。

 運命。

 救え。


「ねぇ。ミケ君。メリアちゃん」

「ん?何だ?」

「何です?ケルン様?」


 俺たちの運命は、この世界のみんなを救うこと。

 だけど、目の前の二人も救えなきゃ、話にもならないだろ?


「友達いたら、学園は楽しい?」


 子供でいたらいい。

 自然なままでいい。

 それなのに、目の前で、無理して大人になろうとして、不幸…子供である特権を捨てようとしている二人を変えなきゃ!


「じゃあ、僕とに一緒に通おう!」


 魔物や、魔族の考えを変えてもらえないだろう。

 みんなが笑顔になれるようにできないだろう。


 そして、俺たちの一番やらねばならないこと!


 友達の笑顔を守れずして、世界中をもふれるわけがねぇ!


 とりあえず、屋敷のあちこちで物が壊れる音がするんだが、盗み聞きは良くないだろ。

 あと、父様、放心しないで。そこは、せめて、母様みたく、仕方ないって笑って。


 友達がいないなら、友達と行けば、不安じゃないでしょ?

 さて、ミケ君もメリアちゃんも、驚いて、そして。


 一緒に笑った。

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