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選ばれたのはケモナーでした  作者: 竹端景
第一章 棒人間の神様とケモナー
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すでに問題発生してます。なお自己解決済み

 そんな頃もあったねと、いつかいえるわけもなく。思い出しても、なかなかに奇妙なもので。うん。確実に、正気が疑われるな。


 神公認のケモナー。魂レベル。


 あ、これは痛い。自分のことなのに、痛い。字面が酷すぎる。

 軽く混乱しつつ、屋敷に戻る最中に、自分の状況を確認してみる。現実逃避ともいえるが。


 元々、おやつを食べるために帰宅中だったため、おそらく、二、三分しか、時間は残っていない。行きのほとんどを、エセニアに背負われ、歩いたのは、散歩と、遊んだ時間合わせて二十分ほど。距離でいうなら、幼児の足だと、徒歩で軽く一時間はかかる距離を、それだけの時間で済ませているのは、大人だからではなく、エセニアのスキル『瞬発』を使っているからだろう。


 長くは使えないが、速さなら、速度系(瞬発、速度上昇、韋駄天など、かなりあるらしい)スキルの中でも上位らしい。他にもいくつかのスキルを併用しているからか、まるで揺れを感じさせず、猛スピードで、森を駆け巡る。


 それを、はしゃいで見ている、俺。


 そう、庭という名の森林と、やたらでかい山がみえるここが家の敷地なのである。


 まず、父親は、偉い人で凄い人、母親は、優しくて、凄くて、綺麗な人である。

 うん。四歳児の俺からすれば、知識としてはこれくらいだろう。


 思い出した知識と比較すると、貴族なのだろうな。偉い人というのは貴族だからそう思うのだ。そして、父親は、魔法使いだ。

 魔法使い!念願のケモ耳の次に、すぐ魔法使いがくるとは、思っていなかった。


 しかし、どうしたものか。貴族社会は血統と、スキル、魔力の質を重んじている。また、質が悪くても、スキルの量が多ければ、それだけ、子供に遺伝するといわれる。と今まで小耳にはさんだ知識からも簡単に導き出される。


 俺、スキル、いまのところ二つのみ。魔力?今の時点で、やや多いとしか聞いてない。しかも推定。


 うん。ヤバいな。


 二重人格というほどではないが、ケルンとしての性格と、知識、いうならば、魂の自我の二つにわけられている今の状態でも、充分に、ヤバいっていうのに。この状況はダメだろう。


「んーだめー?」

「坊ちゃま?何かっしゃいましたか?」

「僕にいっただけー!」

「そうですか?ご気分はいかがですか?」

「大丈夫!」


 エセニアと俺の両方に返事するなんて、さすが俺。


「えへへー早いねー」


 先ほどから、エセニアの背中ではしゃぐ幼児の俺と、冷静に判断している俺。今は、並列とでもいえばいいのか。

 会話をしているのだ。別の個体のように。


 上手く統一されていないのか、なぜか、四歳児の俺と、知識をまとめている俺が反発することなく、同居状態なのである。

 エセニアはこの状態を幼児特有の独り言とでも思ってくれたのだろう。


 風景が変わっていく、楽しさなどの感情を幼児の俺…ケルンとしての俺が持ち、風景の変化などの情報から、秋が近くなっているといった知識としての俺が担っている。


 どちらも俺であるが、決定権は、ケルンが持っているようだ。俺もケルンであるのだが、どうにも噛み合っていない。

 まぁ、そのうち、統合されていくだろう。根っこは一緒だし。


 あと、ケモナーに目覚めているかは、今のところわからないが、確実に今後目覚めるだろうな。


 号が重くて業が深い。だって神公認のケモナーだもの。


 さて、とにかくだ。状況整理をせねば。

 貴族社会にいるが、両親は、優しい。一人っ子っていうのもあるが、使用人含め、みな、家族同然だ。


 貴族らしく幼児教育に力を入れているのか、家の使用人が勉強を教えてくれている。そこで学んだことを俺がケルンの記憶から引っ張りだして分析した結果から、問題にどう対処すべきかの答えをだそう。


 人間社会、とはいっても、中には獣人や、ドワーフの国々、それから、人間の国からは、ほとんど消えてしまったらしいエルフがいる国。魔物、魔物よりも人に近い魔族。棒神様がいっていた魔王がいる国などがある。


 ティルモフーナは、大陸が5つある。その中で一番大きな大陸の一番大きな国に所属。

 戦争はない。

 魔族の襲来が、時々ある。獣人や、ドワーフが多くいる。エルフは隠れたか、絶えたのかいないらしい。

 ここ何年か豊作。王様も悪いことをしていない。


 うん、平和なんだな。四歳児でも知っている知識レベルなのだが、平和としかいえない。

 馬車で、二十分ほどの所に、町がある。というか、そこしか知らない。

 王都までは、馬車で三時間。ただし、行ったことはない。

 立地としては、かなり良いところなんだろう。大自然があって、町も近い。


 領地が、この見渡す限りの森林と、やたらでかい山だけなので、収入は父親一人で賄ってる。

 まぁ、家族と使用人だけの生活で、ほぼ自給自足ができる環境にある。


 あ、これだったら、別に貴族社会から、つまはじかれても、平気だ。


 落ちこぼれで、そこまで期待されてないから、戦争があっても呼ばれないし、領地がないから、争いもない。


 家柄もたぶん、そこそこなんだろう。あんまり偉い人っていう認識がないからな。偉い人ならば、もっと偉そうな人で、使用人をこきつかい、子供に命令ばかりする…ような気がする。それに、家庭教師がついてはいるが、おそらく役所?に勤めている使用人の息子が、暇な時に勉強を教えにくるらしいからな。お金はかかっていない。もしかしたら、他の貴族よりも、貧乏なのかもな、うち。


 だが、これらの情報からも、悪くないといえる。つまり、普通な生活ができるな!と思える。


 物作りも、両親が応援してくれているから、続けることができている。まぁ、落ちこぼれといっても、家族には、特に落ちこぼれとは、言われていない。行儀見習いできたメイドの一人がそう言っていたのを聞いたのだ。気にもしていないが。


 よし、状況整理終了。


 結論、今のままでいいか。

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