商人の活動開始?!
今話から新章です。本格的に、商人としての活動が始まります。
「あっ!…躱しきれな…っ!」
――ザシュッ――
『HPが尽きました。最期に寄った街にリスポーンされます。デスペナルティは一時間のステータス半減です。Lvが30以上になった場合、デスペナルティの内容が変わります。』
「………また死んだああぁっ!」
このゲームを続けること一週間。何だかんだでソロプレイを楽しみつつ、第3の街の周辺フィールド、山岳地帯にてレベリングを行っているわけだけど……
「これで3回目……そろそろ19時になるかな?」
三度目のデスペナになるから、このデスペナが終わる頃には退出するのがいいかもしれない…と思う。
「とりあえず、さっきの要領でポーション作りかなぁ」
宿に入ったところで再びレイラさんに連絡をかける。あと、拓からの頼み事を達成しとかないと。
『あら、またやられちゃった?』
「あ、あはは……一対一なら勝てるんですけどね。5分かかりますけど…」
『圧倒的な火力不足ね。…それじゃあ次はマナポーションを作りましょうか』
「あれ?体力回復系のポーションはもう作らないんですか?」
『いま必要なポーションは全部作れるようになりましたからね。それに、もう全ての材料の効果を覚えたんですよね?』
「はい!それはもうばっちりと」
これでも、私は記憶能力はいい方なのだ!え?テスト結果はどうなんだって?
ふふっ……現代文には痛い目に遭わされたよ……。
『製法と材料だけ言うからメモの用意を。これが今あるポーションの全てになるから、効果を良くするのも変えたりするのも工夫しだいってところですね。』
「ありがとうございます!……ここからは、とある商談になるんですけど……いいですか?」
せっかくなので、商人らしい行動をとらないと……本当にいらないこになっちゃう!! というのは建前で、レイラさんに少しぐらい恩を返さないとね?
『商談…ですか?商人のRPと言うことでしょうか。』
「半分そうで、半分は打算かなぁ。」
『……面白そうですし、乗りましょう。』
「よーし、まずはこっちの目的から話しますね。………私と専属契約を結んでくださいっ!!」
『えっ?……ずいぶんと大きく出ましたね…ですが…拒否します。』
やっぱりそう言うと思った。まだ内容を一切聞いてないのにこれなのだ。
「まだ……知らない人が怖いですか?」
『え………』
嘘をついた……というわけではないけど、推測からなりたったことを言っただけなので、真実というわけでもない。
拓からの頼み事、それは、レイラさんをこのゲームに引き留めておくこと。
「このゲームの開始時に薬師を選んだプレイヤーはごく少数で、尚且つ、ポーションを作るときの配分量・必要材量・作成方法は1から調べなければならなかった。それに成功したのがレイラさん一人で、そのポーションの競争率は大変なことに……」
この辺は拓から聞いたことだ。初盤の頃は、NPC販売の初級ポーションしかなく、プレイヤーの作成したポーションが売れに売れたそうだ。供給よりも需要が大きく上回ったせいで生産プレイヤーを脅してでも買い取る輩が出てきたみたい。
「私が望むのは、レイラさんを守ること。いままでの恩を返したいって言うのもありますし、何より拓がお世話になっていますからねー……それに、ガチでログインする勢でもないのに、攻略ギルドに誘われて、断るのに苦労していそうですもん。」
わざわざ、自分の店に粗悪なポーションを置いて、客を間引きしている時点でその苦労は伺えた。
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『……わかりました。その契約を受けましょう。』
「やったーー!」
『ですが、私の商品をルフスさんに渡すのは市場に出す分の内4割です。対価は市場の値段の6割で買い取ること。』
「えっ?そんなに安くていいんですか?」
『商人ならもう少し値切りしてみてはいかがでしょう?』
といっても、まだホームを持たない身としては、この交渉をしても意味がないんだけどね……。
「ん~…私の店ができたら、納品の度にお茶会しませんか?それによって、お互いの情報を得られるという特典がつきますよ!」
『それではお互いに得してませんか?』
「いいんですよ。拓のお願い事が達成できれば。」
『ん?……そういうことでしたか。アンドレアさんの計画通りってこと…。』
あっ、やばっ……実名まで出しちゃった。
「ま、まぁ……お互いに得できるならいいんじゃないですかー。私はレイラさんのポーションを独占する権利が、そっちには専属契約って言う盾が……ね?」
『ルフスさんにレシピを教えているぶん私は損していますが…。ルフスさんも早く店を構えてくださいね?』
そういい残して、レイラさんとの通話は切れた。
マナポーションもできていて、後は、一番効果の高い配分量とどの素材がどの効果に作用しているかをメモするだけだから……
早く店を構えるために、カラトを溜めないと。
「おっ、もうデスペナが無くなった。」
う~ん……後一時間くらいならいいよね?
―――17分後、デスペナを受けて第3の街の中央にまた戻されたルフスの姿が―――
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