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久々の再開?

少し長めにしました!不定期な投稿で申し訳ない!


 あれから一週間が経ち、冬休みも中盤を越えようとしている頃……拓からLVOでのヘルプが来た。


「ということでー……私は今フリームの広場に来ていますっ!」


 うんうん、周囲のプレイヤーが私に注目してるね………うん…いくら宣伝のため目立とうと思ってもこの方法はなかったかな。さすがに恥ずか死ぬ。



 あまりの醜態に身悶えしていたところに呆れた顔をした拓がこちらにやってきた。


「はぁ……いったい何をしてたんだお前は?周りの奴らから注目の的になってんぞ」

「はわわっ……と、とりあえず私を人目の無い場所に~!」

「ったく……んじゃあ―――ほい、パーティー申請届いてるから早く入れ。大方、店の宣伝でもしようとして失敗したんだろ?お前バカだし」

『“アンドレア”からパーティー申請が届いています。入りますか?』

「んなっ?!……そそそうだけど、最後の一言は余計だよっ!怒るよ?!」

「もう怒ってんじゃん。ってか、そのコートつけたままじゃ意味ねぇよ。つかはよしろ」

「はぁい……パーティー申請を受諾。」

「ん?音声認識の設定にしたのか?」

「まぁねー。バトル中に文字がチラチラ見えるのは意外と鬱陶しくてね。結構便利だよ?」

「そうか?俺はあんまり便利に感じなかったが……まぁ、お前がいいんならそんでいいんじゃね――――そんじゃあ、転移石使うが……ま、一回行ったことある場所だし問題ないな」

「え?どこに行くの?」

「着いてからのお楽しみだ」


 その言葉を残して二人のパーティーは光に包まれて消えた。

 


  ・

  ・

  ・

  ・

  ・



 一瞬で到着した場所はどこかの建物の内部で、黒を基調としつつもどこか温かな雰囲気を感じさせる部屋のなかにいた。雑音はは一つもなく静謐な空間が漂っている。

 そんな雰囲気を壊すことのない声が響き渡る。


「ふむ、久しぶりだのう?ルフスよ」

「……?――あーっ!?あのときの魔王さん?!」

「あのとき以外の魔王さんがいるのか気になるところではあるが、まあいい。また会えたこと、余は嬉しく思うぞ」

「え?拓?どういうことなの?まだイベントが終わってなかったの?」

「あー――――魔王がいた専用ワールドの“魔王城”はもともとあのイベント限定の特殊ステージでな、イベント用のサーバーにしか存在しないんだが……この前の事件で運営が総代わりしただろ?」

「うん、けっこう変わったって噂だね」

「それで、あきらかに魔王軍側が冷遇されてたからな。お詫びとしてこの特殊エリア及び存在したNPCをメインサーバーに移動させて、魔王が認めた相手はここに来れるようになったんだ。」

「ふーん……えーっと、それってお詫び……になるの?」

「ああ……相当なお詫び……いや、御褒美だな。俺たちゲーマーにとっては特に。もはやチートと行っても良いくらいだぞ?」


 獰猛に笑いながら本気で喜んでそう言う拓からは尋常ならざる気配が感じられる。

 よく見れば魔王も“どうだ余はすごいのだぞ?”とでも言わんばかりに大きく頷いている。


「そ、そっかー……」

「ふん、なんとここのエリアはな――――獲得経験値量1.3倍、MP自動回復:1秒につき10、技術習熟度1.3倍!」

「お、おぉっ!」

「極めつけは……リアルタイムよりも1.5時間早くなっている」

「おぉ?……つまりどう言うこと?」

「簡単に言えばうぬらがこのエリアで1時間過ごしてももとのエリアでは45分しか経っておらんというとだの」

「えーっと………なんかすごいようですごくないような……」

「ついでにここでしか手に入らない素材もいっぱいあったぞ?」

「え!ほんと?!うん、さすがは魔王さんのエリアだねっ!」

「その分敵も強いけどな」

「え?ほんと?………残念無念―――結局は裏ステージのボーナスステージって解釈でおけ?」

「そうだな。しかも今のところは俺たち独占状態だ。他にもメンバーはいるが全員最前線の顔見知りだし問題はないだろう………そして、お前にはその最前線で力を貸してもらいたくてな」


 うん?今なんて言った?……“最前線で力を貸してほしい”?……レベル的にも装備的にも全然攻略勢に勝てないのに?


「んー、詳しく!」

「詳しくか……まぁ、その説明は皆が来てから言う。それを踏まえて答えを出してくれ。それまでは適当に雑談しよう。お前の進行状況も聞きたいからな」



 ってなわけで魔王を含めた唐突な座談会が始まった。


 


 話を聞いていく限り拓の実力はトップクラスで、すでに4次職まで行ってるっぽい。

 というか、あのイベント時にはすでになってたみたいなんだけどね。その4次職になるにはいくつかの条件があって、一つが3次職のレベルが上限(150)にあること、一つが特定のスキルのレベルを条件レベルまであげること。最後に“正式な二つ名”をつけられていることが必要とのこと。

 あ、正式なって言うのは二つ名には“自称”と“認証”と運営がつけたものの計3つが存在するんだよね。

 自称ってのはそのまんまでプロフィール設定画面から自分で考えた二つ名をつけられる。まぁ、【自称】~~~ みたいな感じになるっぽいから恥ずかしくてできないけどね……。

 んで、認証は一定数以上のPCやNPCから認識された二つ名があると自動的につけられるって感じのやつ。いつまにか二つ名がついてる!ってことも何件か起こってるっぽい。

 ちなみにこの二つの方法はこの前の大型アップデートで追加されたらしいね。



 私はこの一週間ずっと作業ゲーというかルーチンワークというか………拓が驚いていた内容と言えば、苔龍亀についてのクエストくらいかなぁ。どっちかって言うとその存在よりも採掘でとれた材料の方が気になってたみたいだけどさ?

 ちなみにルーチンワークの内容は朝方に店周辺の森で狩り&採取、昼頃から亀のいた場所まで向かい、鉱石の採取。最近気づいたんだけど、亀の背中?を掘るだけで何故か経験値が貰えるんだよね……それに最近少しずつだけど採取できる回数も増えてるし……まっ!考えても仕方ないや。今のところはデメリットはないんだし。むしろメリットしかないよ!



「こんな感じかな?……あっ、店の地下の例の場所で薬草とかの類いを育ててるんだけど、けっこう順調なんだよ!肥料は特にやってないから心配ではあるんだけども」

「そ、そうか………しかし苔龍亀か……魔王は何か知ってるか?」

「ふむ……どこかで聞いたことはあるのだがな………セバス?」

「はっ!」

「苔龍亀について調べてくれぬか?それと、報酬の用意も頼むぞ?」

「かしこまりました。」


 んー?報酬ってなんだろう?

 ってかあのときの案内してくれた執事の魔族の名前セバスっていうのかいっ!執事系の人にはセバスって名前つけるのが流行ってるのかな?―――案外魔王さんと同じくらい強かったりして………っないない。………ないよね?


「お持ちいたしました。」

「うむ、ご苦労であったな。引き続き説明を任せるぞ」

「はっ!

……この度は我が主様の大切な存在を守ってくださったことを心より御礼申し上げます。何体かは死に絶えてしまったのですが、それでも幽鬼狼が生きているのはあなたのおかげでございます」


 うーん、あれって生きてるって言って大丈夫なのかなぁ……ってか、途中から護衛の目的が変わってたし……あのスライムのようなものって倒せたのかな~?……倒せてないだろうなぁー。

 正直な話ほとんどなにもしてないに等しいから、罪悪感で胸が……本当に報酬をもらってもいいのだろうか?心苦しいよー!


「僭越ながら、お礼の品としてこれを受け取ってください。中身は魔導技術書―――所謂、そちらの言葉で“スキルの書”と呼ばれるものです」


「 ・ ・ ・ 」



 んー?なんなんだろうそれは?いや、何となく名前から想像はつくけどね?………相当なレア物だよね?

 あ、でもランダムにスキルが付くならそこまですごいものじゃないのかも……いや、是非ともそうであってほしい!


「おお、そうだったそうだった!本来のスキルの書はの、すべてのスキルからランダムに一つだけ選ばれるからそこまですごいものではないのだがな………この前のアップデートのお陰での?余も遂にこの世界の運営の一人になれたのだ!

うぬらがあやつらを守ってくれたお陰で運営になれたのだぞ?ということでな、このスキルの書は少しだけ従来のものとは違うのだ。」

「いやいやいやっ!ということでってどう言うことなのさっ?!ってか私なにもしてないから、罪悪感がすごいんだけど!ねぇ?!」

「いやいや、うぬ――ルフスがあの二体を解放してくれたお陰で今の余があるのだぞ?これぐらいせぬと余の顔が立たんの」

「お前……ありがたく受け取っとけ。俺も似たような報酬はもらってるから安心しろ…………たぶんぶっ壊れ性能でないはずだ」

「う…うぅ……あ、ありがたくちょうだいいたします……一生の家宝にします……」


 こうなったら店のストレージに永久封印だっ!!こんな他のプレイヤーから反感を買うような代物を受け取れるかっ?!普通無理だからねっ?


「うむ、やはり若者は素直なのが一番だの。さて、それではその本を開いて手を置くのだ」

「………えっ?」

「何をしておるのだ?はようせんと他のメンバーが来るのだろう?」


 そ、そうだった!今はプレイヤーが拓と私しかいないからいいけど、もしほかにもメンバーが集まってきたらどうなる?しかも皆がみんな最前線にいるトッププレイヤーだし…………これはマズい!

 ぐぬぬ……こうなったら毒を食らわば皿までというやつなのか……


「おいおい、そんなに迷うことかよ?たかがスキル一つで俺達とタメはれるなんてことはねぇぞ?これでも最前線にいるんだ。レベルもスキルの数もテクニックも差があるからな?それにお前商人だしな―――だから軽い気持ちで早く手に取れ。時間もそろそろだからな」

「うぅ……わ、わかったよ。」


 本を手にとって適当に開いてみる。なんとすべてのページが白紙だった!

 え?これどこのページに手をおけばいいんだろ?

 んー、適当なところでいっか。


「えーっと、手を置いたけど……ここからどうすればいいの?」

「何、簡単なことだ。うぬのほしいスキルを思い浮かべるだけでいいからな。」

「わ、わかった……」


 とはいったものの、ほしいスキルを想像しろっていわれてもなぁ……筋力増加とか身体能力向上とかの肉体強化系のスキルってどう想像すればいいのかわからないし……魔法は無属性と冥属性があるから問題はないし…。生産系のスキルはあくまで補正が掛かるってだけだから、そこまで必要なものでもないし……ん~~、想像すれば何でもいいのかな?





―――なら、私は―――


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