魚……レベルupを目指して!
すいません!遅れてしまいました!
「ん~?クエストの概要欄を聞く限りは、たぶんあの亀と龍?がついになっているってことだよね?
ただ、クエストのクリア条件がわからないってことは………どういうことなんだろう?」
普通クエストには最終的なクリア条件と進行状況がナビされたりするため比較的親切な設計になってる。
拓曰く初めてMMORPG系をやる人が迷わないようにするためのもので、一応設定からこういったガイドをなくすこともできるっぽい。まぁ、消す人なんてほとんどいないみたいだけども。
もしかしたらボーナス的な何かがもらえるかもと思ってβ版で試した人はいたみたいなんだけどね……。
でも、今回の場合はその普通のクエストじゃないってことなんだよね。考えられるとしたら隠しクエスト。またはシークレットミッションって呼ばれるものくらいなんだけど。
「んー、どうしようかなぁ。でも…もしボスにあの島のような亀とか概要にある龍?が出てきたら勝てないんだよね。絶対に。
やっぱりいろいろとソロじゃあ限界があるなぁ。」
そのためにもレベル上げはしておきたいんだけど……このクエストって中断できるのかな?
『中断した場合は、再度クエストページから受注を選択し開始する必要があります。また進行中のクエストの場合、進行度はリセットされるため注意してください』
「あ、中断って言うか、戻ることはできるんだ。」
それじゃあ遠慮なく中断させていただきます!いやぁ、もともとレベル上げが目的でここに来たわけだし、好きなタイミングで受けられるならもう少し強くなってからじゃないと。
「おおっ!………ビックリしたぁ」
クエストを中断した途端、目の前に人が湧いた。
いや、たぶん湧いたように見えただけで本当はもともとそこにいたんだろうね。
いま思えば突然出てきたのは私の方だから周りの人たちが普通驚くよね?
うん、誰もこっちを見てないや…………よし!んじゃこのまま街の外に向かいますかね。
はい、現在は始まりの街フリームから東に行ったところにある大草原に来ていまーす。
いままでは始まりの街から北側と東側は作られてなかったんだけど、たしか今回のアップデートでどっちも追加されたんだっけ。
ある人のライブ曰く、この東側は進んでいくと海に繋がってて、大きな港街があった。
海と言えば………魚だよね!まさかゲームでも魚が食べられるとは……うん、食べ尽くさなきゃ!
っとと、魚については街についてから考えるとして……港街はE4と意外と……ううん、けっこう遠い。距離で言うと200kmくらいだね。
移動方法がなぁ……最前線の人たちは馬とか持ってるみたいなんだけど………なにか早い移動方法がないかなぁ。
って!危ない危ない。街に行くことが目的になっちゃってたよ。
E1はレベル20後から経験値が減ってくるから、ここはスルーして、E2はレベル40から、E3はレベル60からだから……結局港街手前まではいかなきゃいけないのか。
「困ったなぁ。だいたい自転車で時速18kmだし走りじゃ到底届く距離じゃないんだよね。ってことは何日もかけてエリアを移動するしかないのかなあ」
むー、そう考えると街に人があんまりいないことになるんだけど……イベントが始まる前とはほど遠いけど、それでもけっこう数はいたよね?
「あっ!そろそろスタミナが切れる……少し休憩かな」
考えながら走ってるといつのまにかスタミナが危ういことになっていた。まぁ、5分ほど休憩してれば完全に回復するからいいんだけどね。
スタミナが回復するまでの間にいろいろと準備をしてしまおう。
「まずはこの満腹度回復ポーション!もちろん自作だぜっ!」
これをゴクゴクッと………うえぇ、美味しくないよ~。
なら、なぜ作ったかって?作り方が簡単で短い時間で満腹度を7割も回復できるからです!
特にこの「短い時間」ってところが素晴らしいんだよね。
このゲームにおける満腹度は時間が経つと自動的に減ってきて、激しい運動でも減ってくって言うもので、これを回復するには『満腹度○%回復』って書かれたものを食べるしか方法がないんだよ。
でも、満腹度が高いもの……つまりガッツリとした料理とかは瞬時に満腹度を回復せずにじわじわと回復してくんだよね。
たぶん食後に急に動いたらダメ的な奴を再現してるんだろうけど……。
そこで一つ思ったんだよね………ポーションの回復する時間と満腹度の回復する時間、どっちの方が早いんだろう?ってね。
試行錯誤の結果、ポーションの方が圧倒的に早くなりました。味と臭いは犠牲になっちゃったけどね(笑)
いずれこのポーションも商品にしようとは思うんだけど………不味いし臭いしで買ってくれる人は果たしているのかな?うん、いないだろうね。
「次に用意するものはこちら! 携帯用砥石!」
これはヘファイトスから幾つか貰った物なんだけど、武器の耐久値を少し回復してくれる優れものなんだ!………でも、私の刀には必要ないし、この短剣も今日はまだ使ってないんだよね………。
「と、言うことで行きますか。えーっと?現在地が………おろ?もうすこしでE2に入る?」
ああっ!そういうことか!………ステータスの数値もバカにできないぜ?
この調子ならあと1時間とちょっと走り続ければE3エリアには着きそうだね。
「よーっし!頑張るぞぉ!」
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「おいおい、なんだありゃあ?!」
「どうしたんだ?」
「あん?どうしたもくそもないだろう?ほらあれだよあれ?高速でこっちに向かってきてる奴だよ!」
「あー?なにいってんだおめぇ。幻覚の状態異常か?」
「んなっ!バカ言うなっ―――」
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「ねーねー?あの真っ黒なもやもやってモンスターかな?」
「真っ黒なもやもやぁ?………うーん、特にそういったものは見えないけどなぁ……何かあったら怖いし、ここから退くか?」
「んー、たぶん大丈夫そう。こっちには来ないみたいだし。一応動画で撮っとくね」
「分かった。そこら辺は任せるよ」
------------------------------------------------------------etc.
この日、一時間の間似たような目撃証言が多数掲示板で書かれることとなる。
動画も幾つか上がったそうだが、写っていたのはぼんやりとした黒い影が夜の闇に消えてなくなる様子だけだった……




