イベント[第一章]:穢れ堕ちし生命の循環者fin
投稿がだいぶ遅れてしまい申し訳ありません!このまま毎日投稿を……といいたいのですが、リアルが忙しくなかなか時間がとれなくなってしまいました。
それでも、一週間に最低一回は投稿できるようにするので、楽しみにしてくれる方は今までのように気長に待っていてください。
あ、日曜なので少し長めです(笑)
「うわっはぁ~……ウルガさん、どうやら私はここまでのようです…」
ばらまいたポーションの上に立ちつつ攻撃を受けた方向を見ると、循環者のちっちゃい版みたいなのがいた。
それだけでは終わらずに体内がちぎれる?ような感じでちっちゃい循環者が新しく生まれている。
「これは分裂?なのかなぁ…。実際に本体からちぎれて出てきてるしね。……あっ!ということは…」
今までやって来たゲームのなかで、分裂して数を増やすモンスターは大概本体の能力値の何割かを減少して生まれるのが普通である。
そりゃあ、なんの能力値の減少無しに無尽蔵に生まれでもしたらそれこそ無理ゲーだしね~(笑)
「ん~……先手必勝かな!」
考えている間にも次々と生まれて合成していく…こうなったらちっちゃいうちに攻撃を仕掛けるのが有効…そう判断して、冥属性を纏った武器で斬り刻んでいく。
私の仮説が正しかったら、小さいときは体力値が低いはずなんだよね。………まぁ、飛び散った残骸にも体力値があって、切れば切るほど数が増える……なんてことはないと信じての仮説だけど…。
実際問題として、ポリゴンサイズまで体力値が設定されてたら死なないどころか、無数の数まで存在することが可能になって……サーバーにも負担がかかるし、必要な画素数も膨大な数になって、VRといえども現実のような再現性はなくなる。そもそもそんな数センチのスライムにまともなAIなんて組み込まれないだろうしね。
「………よし!経験値が入った!………レベルは本体と同じだからかそんなに経験値が貰えないけど………はぁ、適正レベルで戦わないとやっぱりそんなに貰えないなぁ」
仮説通り、小さいものほど簡単に倒せた。…けど経験値はあんましもらえないけど……。
LVOでは、ずっと同じ狩場でレベ上げすることや寄生して高レベル帯で一気にレベルあげることを防ぐために、自分のレベルに応じた相手の固定経験値を割るということをしている。
そのせいなのかな?今まで私は高レベルのモンスターを倒しているはずなのにレベルが全然上がってないんだよね。現状のステータスとしてはこんな感じだし。
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PN:ルフス
JOB:商人
SJOB:武士
Lv47 予定 6up
HP 1020/1020
MP 970/970
STR 26
DEF 24
INT 24
MND 25
AGI 156
DEX 156
LUK 95
残りSP量:0
<SKILL>
【商人の心得Lv5(MAX)】【刀・短剣術Lv8】
【洞観Lv3】【千里眼Lv7】
【直感Lv10(MAX)】【調理Lv12】
【魔法文字Lv15(MAX)】
【魔文附与Lv--】
【魔力操作Lv20(MAX)】
【冥属魔法Lv8】【無属魔法Lv14】
〈TITLE〉
[黒狼妃の単独覇者]
[冥暗狼の単独覇者]
[格上への挑戦者]
[無を知りし者]
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うん、増えたとしたら称号くらいかな?といってもすごく使える称号だからいいんだけどね!
ただ、調べた結果だと効果の発揮できる…というか、装備できる称号は五個までみたいで、一度付けると付け替えるまでにリアルタイムで一日必要らしい。しばらくは私には関係ないんだけどね。
え?ちっちゃい版循環者は倒したのかって?………切り刻みながら移動の繰り返しっていう単純作業になりました!
折角内からも相手の体力を削れるようになったんだから、このまま何もなく終われるといいんだけど………イベント終了まで何だかんだで3時間程度だし……。
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ふぅ………体力的な疲れは無いんだけども…やっぱり長時間のゲームは精神的に疲れるね…たぶん、狼シリーズの称号のせいでもあるんだろうけど…。
≪ウルガさん!……さすがにこれ以上は耐えれないです!………そろそろ精神的疲れから強制終了入るかも…≫
≪カカカッ……後四発で60じゃ!それまでなんとか持ちこたえてくれぃっ≫
そう言われても……だいぶきついんですけどぉー!
既に足場となるポーションは手で数えられるほどになっていて、その大半がちっちゃい版……いや、中くらい版の循環者によって破壊された。
実は壊されたポーションの中身は麻痺や毒、その他諸々のデバフ効果のあるものばかりで、試作品で回復効果のあるものもあるんだけどアンデット系の奴には逆効果となるため、壊されるのはわりかし計算通りだったりする。
「まぁ、そのほとんどが意味のないものだったんだけど―――ねっ……と~、アブナイアブナイ」
やっぱり数の差には勝てなくて、いつのまにかでかくなっていた循環者jr.。そのAIももちろん賢くなっていて、ただ足場を潰すと言う作戦に出るだけでなく、私の着地場所を予測して壊す……なんてこともやるようになった。
≪カカカッ!これで残り2発じゃ!≫
後少しで倒すことができる。確かに、推定60発だけどこっちがわでも体力を削ってるんだし……確実に60でやれるはず!
「よし!……決着まで後数分………かかってこい!」
集中力を最大限まで高めて敵の行動を視る。スキルで狼化することも考えたけど、地形ダメージは結局のとこ喰らっちゃうし、あれはそもそも短期決戦ようだ。あれをした状態で5分なんて持たないよ……MP的にも。
今では同時に5本もの触手が飛んでくる。この中で私に攻撃するためのものは三本。残りの二本のうち一つは足場を、一つは私の行動先を縛るために放っている。
(なんとかッ―――間を……よし!すり抜けてッと)
触手による攻撃よりも、地形ダメージを一瞬くらうだけであれば、後者の方が被害は少ない。
これをこのまま続けてたら確かにじり貧でやられるんだけど……正直言って私は時間稼ぎのためにここにいる。ウルガさんが最後に倒してくれれば問題なし!
(まっ、倒すときに私が死んでなければ一番いいんだけど(笑))
中くらい版循環者に接近して斬り刻む。といってもダメージとして大きく与えられたのは2太刀なんだけども。
そのまま横を通りすぎようとしたとき、不意に後ろから衝撃を感じて吹き飛ばされる。
「えっ?!……何で?」
位置関係からして私のほぼ正面にこいつはいたはず。触手を伸ばすにしても私の死角を縫って攻撃するには長さが足りないはずだし、何より、回りにはこの大きさになったとき以降循環者は発生していないはず。
とりあえず、このまま地面に倒れるとノックバックや攻撃の反動から麻痺判定が入る可能性があるため、受け身をとって近くにあったポーションの上に立つ。
すぐさま武器を構えるとウルガさんから焦った声が聞こえた。
≪ま、まずいぞっ!このままでは時間が足りん!別の魔法攻撃に切り替えるぞっ!?≫
≪時間?……どう言うことですか!≫
≪まもなくイベントが終わる!……いや、こいつさえ守れれば成功なのだから問題はないのだがの……カカカ、これは間に合わぬかもしれぬのぉ≫
≪えええぇぇっ!≫
すぐさまメニューを開いて残りイベント開催期間を確認する。触手を躱しつつ。
残り時間00:00:08
これは……いや、まだあきらめないぞ!
そう思い一気に距離を詰める……と、先ほどの謎の攻撃が襲いかかってきた。その攻撃を視認して一言。
「それは反則じゃないですかああぁっ!!」
反射的に伸びてきた刀身を掴み、無理矢理引きちぎる。すぐさまそれを中くらい版循環者に投げつけて………
――――視界が真っ白で埋め尽くされた。




