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ポーションは料理だった!?

『で、今どこにいるんだ?』

「えっとねー、フリームにある、でっかい噴水の前。私が最初にいた場所だね。」

『あー、そこね。初期リスポーン地だな。……その近くに“レイラ印のポーション店”って言う看板のある店のなかに入っててくれ。そっちにつくまで少し時間がかかるからその店内で待つといいさ。』

「おーけー。」

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 散歩から帰ってきて、やること全部済ませた後私と拓海はLVOの世界に入った……んだけど、フレンドの登録方法やチャット機能の使い方がよくわかんなくて一度退出。

 フレンドコードを送りあって直接フレンド登録したのちいろんな機能を教えてもらって今に至る。

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 レイラ印の………レイラ印の―――あった!

 ………木の板に彫っただけのような看板が古めかしいあばら小屋についている。


「本当にここがポーション屋なのかな?……廃屋のように見えるけど。」


 とりあえず入るかぁ……ポーションを買うお金くらいならこの前の戦いで入手できたよね?……ってそういえば、あれ以来ステータスの確認してないや。これが終わったらステ割りしとかないと。


 ―――ギィ―――


「し、失礼しまーす……。ポーションを売っていると聞いて来ました~………。誰かいませんか?」


 中は意外と小綺麗にされていて、アンティーク調の落ち着いた雰囲気の内装になっていた。


「この棚全部に並んでるのがポーションなのかな?……【調査】のスキルってこういうのに使えるのかなぁ。」

〈調査結果〉

対象:粗悪なキュアポーション

効果:10~30回復?

作り方:不明

作者:レイラ


「あら、商人さんが私のポーションに何か用かしら?」

「うわっ!………レイラさんですか?」


 調査に夢中になってたからか後ろにいたことに気づかなかった……ん?もしかして最初からいなかったのか?


「もしかして、今ログインしました?」

「ええ、私の店に来る人はほとんどいませんから。」

「え?……でも、レイラ印のポーションって市場のポーション類の内、7割以上も占めていますよね?」

「まあ、スキルを使って作ってるわけではありませんから。……今回はどのような御用でここを?」

「あっ……ここで待っていてくれと言われまして…」

「なるほど。集合場所のほうでしたか……もしよろしければ、ポーション作りをやってみませんか?待っている間の暇潰しのようなものですが。」


 たしか……ポーションってスキルがないと作れないはず…ならここで練習してスキルを手に入れるのもいいかも!……ん?スキルがないと作れないなら、このスキルは最初の段階でしかとれないってこと?


「ええ……よろしくお願いします。……質問なんですけど、スキルがなくても作ることは可能なんですか?」

「ふふっ―――それは作ってみてのお楽しみですね…」


――――科学実験室みたいな部屋だった。


「わぁ、すごいっ!秘密基地みたいっ!……何故かキッチンがあるけど…。」

「……では早速。ここにあるものはなんでも使っていいので、好きなように作ってみて下さい。素となる材料はそこの薬草ですからね。」

「判りました」


 といってもポーションの作り方なんてわからない。今わかっているのは、素となる材料がそこの葉っぱということだけだしな~。しかもこの薬草、萎れちゃってるし。


「どれだけ使ってもいいと言ってくれたけど、この葉っぱはもう使わないんですか?」

「ええ、その状態ではもう使いませんね。」


 うーん、とりあえずてきとーに揉んで見ようかな。目指すはお茶を作るかのように。

 キッチンにあったボウルに、萎れて柔らかくなった薬草を入れて圧力をかけるようにして揉んでいく。決して潰してはいけない。あくまで揉みほぐすと言う程度なのだ!

 別の薬草と絡まったものをほどき、一枚ずつ並べる。

「レイラさんは風魔法を使えますか?」

「ええ。なにをどうすればいいですか?」

「え~っと、あの薬草に風を送り続けてください。」

「分かりました。……ところであなたは何て言う名前なのですか?」

「あっ、言ってませんでした!すいません。…私はルフスといいます。職業は……はい、商人です。」


 設定でPNと称号、所属クランなどの表示を変えることができる。職業はどうやら固定表示だけど、それ以外なら私は全部offにしている。


「商人……もしこのポーションの出来がよかったら、商人として私との繋がりをプレゼントします。」

「えっ?悪いですよ、そんな。」

「ふふっ……商人とのパスを私は持ってなかったものですから。是非受け取ってくださいな。」


『[錬金術師]レイラからフレンド登録申請が届きました。』


 ポーションをすべて扱うプレイヤー、レイラ。二つ名(自身または第三者が決めた呼び名が公式に認められ、称号として追加されたもの)持ちで錬金術師レイラとよく呼ばれている。

 そんな彼女は極少数にしかフレンド登録を行わず、本人はその事をパスを渡すといっているようだ。


 しかし、このときの桐紅はまだこの情報を知らない。掲示板を見ない人だからである。


「あ、ありがとう?……あっ!魔法を止めてください。そして、乾燥させることってできますか?熱風で……」

「分かりました。ではやりますね。」

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「ふぅ~…なかなか楽しい時間でした!ありがとうございます。」

「いえいえ。結局まだお友だちは来ないんでしょう?それに、まだポーションは完成してませんよ。」

「それもそうですね。――――よし、そろそろかな?」


 ポーション作成には決して似合わないティーポットに、乾燥させた後に少し小さくした薬草を入れ、沸いたお湯を注ぐ。4分程蒸らしてから、ポーション瓶に注いだ。

 作っていた間に調査で分かった、回復効果を少し高める効果を持つ、ハチミツ?のようなものをポーション瓶に2滴垂らす。

 そのハチミツ?のようなものは意外と甘かった~……。


 ポーション瓶の蓋を閉めた瞬間、小さな光を放ってキュアポーションが完成した。


「できたー!」

「おめでとうございます。……(スキル無しでランク4か…… もしかしたら商売敵になったりして?)では、そのポーションを5つ全部を1000カラトで買い取らせてもらっていいですか?」

「ええっ!そんな大金で買ってくれるんですか!?」

「もちろんです。キュアポーションの相場は一個辺り150カラトですからね。それよりも質がいいなら、上乗せするのは当たり前です。」


 今の所持金はこの1000カラトを含めて3589カラトだ。


「ありがとうございます!またここに来てポーション作りをさせてもらってもいいですか?」

「もちろんいいですよ。いつでもウェルカム・エニタイムです。」


 やった~。早いとこポーション作成系のスキルを入手しないとなぁ。

 そうだ、ステ割りをやっとかないと。


「ルフ~!レイラ~!入っていいか?」


 拓海がやっと到着した。


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