イベント[第一章]:ユニークな香り③
少し短いです……ご容赦を!
□ 現時刻 20:20 討伐隊御一行
「イベント期間中だと言うのに関係のないUBMの討伐に参加してくれてまずは、ありがとう!と言わせてくれ。」
「べつにいいんすよっ、勇者軍の為すことすることに興味があるわけでねぇしよ」
「便乗するわけではないが、勇者軍と魔王軍のどちらにも属したくはなかったからな。中立軍とかあれば良かったのだが」
仲良さげに話しているのは、UBMを討伐するために集まった三パーティーのメンバー達である。
パーティー名“完全特化”を筆頭にして“大豆の力”・“芋りたい者共”が討伐に名乗りを挙げた。現在、現場である村の手前まで来ている。
「まず、出現条件の確認だ……村の中で、闇属性の魔法を使用すること…これでやつが出てくるだろう。他にも条件があるかもしれんが……少なくとも調べるほど待ってられる時間もない。もしかするとこの村に被害が及ぶかもしれんからな」
「戦う場所はどうする?さすがに村の中ではやりたくはないぞ?」
「やつはおそらくこの山ならどこまででも追ってくる。これについては俺自身が体験してるからな…だから、この山のえぐれてできた平面に近い場所があるから、そこまで誘導して戦うことにしよう。
そして攻撃方法から、光を反射する能力と、アンデット系を支配する、レイス型がよく使う魔法のようなものを使うことがわかっている。対策としてはもう光は出ていないため、魔法防御力を上げれば問題はないはずだ」
「お?腐蝕液を吐き出すんじゃなかったか?」
「そうなんだがな…これについては対処の使用がなく、躱すしか方法がないんだよ…腐りにくい素材とかがあれば話は変わるんだがな」
前回負けたのには初見で挑んだからである、と言う理由もあったが、単純に役割が足りなかったのと、陽光を利用した攻撃の威力が高かったためである。武器や防具の耐久値が腐蝕液で一瞬でなくなったのもそうなのだろう。
「覚悟はいいな?……では、いくぞ!」
「「「「「おぉっ!!」」」」」
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「目標地点に到達したっ!状況は!?」
「大豆!醤油が死亡!」
「芋!死亡なし!」
くそっ、醤油がヘイトを稼ぐために囮をやってたらやられた。ここまで誘導できたのはいいが……火力不足に陥らないことを願うか。
……予備の大剣じゃあ最火力は出せねぇぜ?――っと、あれはレイスの魔法か!
「魔法障壁を作れ!支援は盾に物魔防御力のバフ!回復はまだポーションを使えっ……後方3体アンデット!大豆の力に対処任せる」
さすが完全特化、指示と連携は一流だな。……よっと!
「おから、光印を」
「も、もうやってます!――[光印の授与]」
「ナイスだっ!味噌!レイスを切れ!速度が早いがなんとかなるだろう?」
「無茶を言いなさんな!……まぁ…やれるこたぁ、やってみりゃあ!」
光を放たない分、昼よりもアンデット系のMOBを召喚する速度が早い。感覚的には6秒で一体ってところか?
なんとか三人で押さえてはいるが……こんなん、一時間と持たんぞ?……召喚するたんびにアンデットが少しづつだが強くなっていってるから…こりゃじり貧だな。
ちらっとボスの様子を確認する。
盾で物理攻撃の触手を交代に受けている…か。その隙を狙ってどの攻撃が効くのか検証中……。見つかるまで盾が持てばいいが…このゲームのMOBって戦いながら進化していくんだよな……
………あいつまだ!腐蝕液を使ってねぇ!……もしの話だが…体内に腐蝕液を溜めておけるなら……触手にも含めることができるんじゃないか?…ってことは!
「盾っ!その触手攻撃を受けるな!壊れるぞっ!?」
「どういうことだ?大豆」
―――バキッ―――
「こういうことだよっ!おそらくあいつは体内に腐蝕液を溜めている。ここ!って言う特別な場所じゃあない。おそらく体の何処ででも溜めることができるんだ。だから、あいつは触手に溜めていた…なら?」
「攻撃に腐植効果をつけられる…」
「俺が前線にはいるぞっ!」
くそっ、やっぱり火力がたんねぇ!
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崩壊した前線に緊急手段として大豆が入る。が、後方が持たなくなり、崩壊。
メンバーのほとんどが死亡し、前と後ろに挟み撃ちされていた。やられるのは時間の問題だろう。
そんななか、大豆は答えに近い推測を出していた。