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イベント[第一章]:ユニークな香り

「うがあー………ずっと同じことやるのも疲れるもんだよ~…結局大豆パーティーは来なかったかぁ……お客さんからも伝えてもらうように頼んだから来ても良さそうなんだけど……そううまくは行かないよね」


 ルフスはまだ気付いていないのだが、ここに来たPLはどれもトッププレイヤーの層にいる者であり、こと第二の街の先のエリアにおいては最前線に立つプレイヤーである。


「んー……なんだかんだ言って12時間以上もやってたんだよね…寝ながらと言ってもさすがに疲れたよー。」


 最後のお客さんが来てから既に2時間近く経過していた。来たのはたったの6組しかいなかったけど、売れ行きはなかなかに上々なのでよし!

 一番売れたのはポーション類なんだけど、在庫が尽きたのはMOBとかの素材系なんだよ!値段設定とかは取引掲示板や市場にある同じ素材の値段を見て決めたから、たぶん適正価格だと思う……

 けど、武器・防具は売れなかったんだよね……大分いい性能なのに…。


「おろ?あれは………片寄りすぎパーティー?」


 たしか、全員が両手に同じ武器を持つ二刀流という変わったパーティーで、一番最初のお客さんだったはず。あの地図を渡したから、遅くても4時間あれば山の間の盆地にある大きな村に着く予定なんだけど…もしかして行かなかったのかな?


「…あれ?……二盾流(仮称)の人がいない?」


 うおぅっ!よく見たら装備品がだいぶボロボロになっている。傷やひしゃげたりするものは少なく、錆び付いたり風化していたりするものが多い。

 たぶん、剣やハンマーで攻撃することよりも、魔法で傷つけられた者が多かったんだろうね。

 ん、あのパーティーがこちらに向かって売る!接客は笑顔笑顔っと!


「いらっゃいませ!……あなた方はたしか、今朝の方達ですよね?ここに戻られたということは何かあったんですか?」

「おう……仲間を一人犠牲にしてなんとかここに戻ってこれたって感じだな。……他のパーティーも6組ほど一緒にいたんだが…俺たち以外全滅だ」


 ぜ…全滅っ?!………まさかあの地図に何らかの不具合が!


「あぁ、いや。お前さんの地図に何か不備があったわけじゃあねぇ。逆に驚くほど順調に山道を進むことができたんだよ。ありがとさん」

「いえいえ、これが私のjobの役割ですからね。」


 うん、商人にとって一番危険なことは、後ろだてがないことと同等の関係がいないことだからね。

 ん~、今度てきとーに貴族NPCからのクエストを受けて権力者からの盾を入手しとくべきかなぁ。

 って、あれ?なんの話をしてたんだっけ?


「では、どうしてここに?」

「UBMが出たんだ。……いや、棲んでたんだ。大きな村に」


 ユニークボスぅ?!……ウルガさんに報告しておかないと……


「ちなみに、どのタイプのユニークボスだったのですか?」

「ああ……アンデット系のやつだ。それもレイス型のな」


 うっわぁ……絶対に面倒な相手じゃん!たぶん、聖属性か光属性しか効かないでしょ?んで、レイス型なら物理はほとんど効かないだろうし……

 ん?…アンデット系のレイス型のユニークボスって、幽鬼狼のことじゃあないよね?


「固有能力や見た目などって既に割れてますか?」

「固有能力は微妙なとこだが、見た目はわかってるぞ。……直径2mの黒い球のなかにあるものが蠢いていた、見るからにおぞましい姿だったな」


 微妙なとこってことは何かの能力は既に発動していたということだね。

 こんなやついったいどこから沸いてきた……そっか、村に出たんだっけ?……いや、棲んでたのか。ってことは……


「支配系の能力ですか…」

「お!よくわかったな……と言ってもそれで全部とは思えないんだがな?…たぶんだが、近々大型のレイドが組まれると思うぞ。もしかしたらそんなかにそのパーティーが来るかもしれんな!」

「わかりました。情報の提供ありがとうございます。」


 うん、見た目からして幽鬼狼じゃなさそうだ。良かった良かった。

 問題は、近々ここに大量のプレイヤーが来てしまうことでしょ?今はイベント期間中だから、そこまで数が集まることはないとは思うけど……やっぱり怖いよね。

 とりあえず、この事を報告しないとねっ!報連相が大切なのだ!

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「―――ということがあったらしいんですよ!どうする?」

「むっ、近くにユニークボスの存在か……何か対策をたてねばな」

「カカカ、また面倒なことになったのぉ。せめてもの救いは、ここに大狼がいることがまだ周知されてないということかの!」


 いやぁ、存在を隠していたのが功とでたのは、うれしい誤算だよ!……けど、アンデット系かぁ……集まるプレイヤーも必然的に幽鬼狼の弱点をついた人たちばかりになるんだろうなぁ。

 幽鬼狼が()()()()アンデット系も数少なくなっちゃったし……。新しく従えてもらった無機物系の守りに出しておくか。


「あ、そういえばさ、幽鬼狼はどうやってここら一帯のMOBを従えてるの?」

「単純に力があるからだな。これでもわたしはレイス型のMOBの中ではトップらへんに立つものだからな」

「成る程のぉ、強いやつに従ってくというかんじか!カカカッ」


 へぇ~!幽鬼狼ってアンデット系の中ではトップに位置するぐらいの実力を持ってたんだね!

 ん?それじゃあ、そのユニークボスも従えることができるんじゃ?


「あぁ、たぶん行けるぞ?」


 あ、できるんですね……………えぇぇ…。





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