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イベント[第一章]:計画通りっ!

 作戦はいたって単純だ。私が黒狼化して、幽鬼狼の矢面に立つというだけなのでね!

 これを行うにあたってのデメリットと言えばウルガさんに私の手札が1枚見られてしまうことだけど……まぁ、あのレンが信用してもいいって言っていたから大丈夫でしょう!

 

 ………ちなみにこの作戦を伝えたとき、幽鬼狼は口を大きく開けて呆けていた。


「じゃあ、少しこの作戦の中身を詰めていきましょうか」

「そうじゃのう……まず、この作戦において確定していることはなんぞや?」

「一つに幽鬼狼を出さないことです。次に、私が黒狼化することですね。私自身このスキルは一回しか使ったことがないので、詳しいことがわからないんですが、たぶんスキル発動時に咆哮が発生すると思います」

「なるほどのぉ………この事がばれたら十分に対策がとられてしまうの……そのためのこの“夜闇の霧”か?」

「それもあるんですが、黒狼化してる状態でも装備は可能みたいなんですよね……大概の装備は使用不可になってましたが」


 冥暗狼を倒した後、消える寸前にセーブポイントを置こうとしたときにチラッとだけど、装備欄の防具に×が武器は特になにも書かれていなかったんだよね。

 だから、武器は今のところ使えると思う。まぁ、別になくても爪と牙が武器になるんだけどねっ!


「で、私は黒狼化した後、1分以内に4人は確実に倒せます………今回のイベントって魔王軍と勇者軍の間ではPK判定ってないんですよね?」

「そうだの。この事を悪用しないやつがいればいいんだがの!カカカッ!」

「…私はリーダーを残します。おそらく大剣持ちの彼がそうでしょう。先ほど、千里眼で除いた瞬間に洞観を使ったんですが、やはり大剣持ちが一番Lvが高かったです。………まぁ、ほんの一瞬しか使えなかったので詳しい情報は見れませんでしたが…とにかく、彼が一番厄介なので、一番の高火力をぶつけるつもりです」

「カカカッ!わしの魔法じゃな?」

「はい。もしうまくいけばウルガさんの姿も出さないでいいかもしれません……私が黒狼化してる状態で彼の正面に出ます。そして口を開けます…」

「カカカッ!!おもしろいのぉ!要するにあれじゃろ?お主が口からなにか発したように見せかけて、わしの魔法をぶちこむということじゃな?」

「その通りです……できますよね…?」

「まかせておけ!わしを誰と心得る?このゲーム最強の大魔導師じゃぞ?!カカカッ」

「では、それでお願いします。使う魔法は任せますので………そして、あわよくば相手の体勢が崩れればいいなぁということで………一番グロいレイスMOBを一体貸してください。まぁ、あくまでも保険のようなものですが」

「あ、あぁ………分かった……おっ?1.7kmの範囲に入ったようだぞ?」

「では、作戦開始です。実行場所はこの範囲の1.2kmのところから始めます……念のために、私とウルガさん………うわっ……そこのレイスに隠密セットをつけておきますね」

「隠密セット?………あぁ、そうか……ではいってこい(なんで急に敬語になったんだろうか?)」

  ・

  ・

  ・

  ・

〔敵影を捕捉しました。ウルガさんはここで潜んでいてください……では、行ってきます〕


 よしっ!まずはやつの気を引くことが大切なんだよね~。


 今回の私が矢面にたつという作戦をなぜやろうと思ったかって言うと、私と幽鬼狼の存在が似ていたからなんだよね。私の黒狼化の姿が、あの動画のお陰で()()()()()()()()()()()って認識されてるんだよ……うん、この山に来る前にちゃんと掲示板で確認したから間違いない…はずだ!

 だから、いうならば私の黒狼化はアンデット系の大狼としてみられる可能性が高いのだ!

 そのためにレイスも用意してもらったんだよね。


(さて、そろそろやろうかな?【黒狼化(黒狼妃の加護)Lv◼️】『ウオォォン!!』)


 うん、予想通り警戒するよね………よしっ!レイス、一番後ろのやつを驚かしてこい!


「ぎゃあああああ!!で、でたあああっ!?」


 おおっ!まさかの気絶までした!…リーダーは前を警戒中で、左後ろをカバーしてた大盾持ちが介護……なるほどね、守備に力をいれた陣に綻びができちゃったわけだ!


(AGI全開で介護中のやつと対象の位置に存在するやつから!)


 杖持ちの視界から()()()()()場所を駆け抜けて、喉元を搔っ切る。

 向かう途中で気づかれたけど、声をあげる速度よりも私のAGIの方が早かったみたい。

 隣が急に倒れたことに驚いた軽装剣持ちがこちらを向くが、向いた瞬間に首を切る。体力はまだあったようだけど、喉を切られたせいか、声は出せない。数秒後には死ぬので、そのまま次の弓持ち短杖の喉元を噛み砕く。たしか人を倒すときって喉元を噛み潰した方がいいんだったよね?

 介護してたやつはさすがにこの異変に気づいたけど、頭装備の目の部分があいているので、そこめがけて爪で刺す。

 判定的に脳を貫いたようで、少し動いたあとに力尽きた。

 ついでに、気絶している人に止めをさして、ウルガさんの魔法の準備が整うまで近くに隠れておく。すると、リーダーがいきなりこんなことを言った。


「気を付けろっ!!敵は恐らくアンデット系だ!魔王軍側のNPCとも考えられる!倒さずに、ここから逃げるぞっ!」

「えっ?!」


 いま、たしかにこの人は“倒さずに”と言った。……一体どう言うことなのだろうか?

 対角線上にいるウルガさんに、もう少し様子を見ることを合図して待つ………が、ウルガさんは合図が見えてなかったみたいで―――


「待てっ!俺達はお前と話をしたい!」


 そう言ったころには既に、ウルガさんがスキルのキャストを行っていた。

「あっ……やばっ…(ど、どうしよう……この人とはできる限りのことを聞きたい……ってか、もしかして味方の可能性も?…けど、マーカー上の標示じゃあ勇者軍になってるし……)」

 こうなったら、なるようになれだ!


 急いでリーダーの正面に立ち、口を開ける。

 その口の前から炎の珠が徐々に出来上がっていく。


 ある程度大きくなった時、ウルガさんが発動の合図をした。いやいや!そっちの合図見えてるんだからわたしのも見てよっ?!


「ぬわあぁぁっ!」


 生きながら焼けるって、相当な苦行だよね………「ごめんなさい」…うん、少し罪悪感も晴れたかな。

 とりあえず、この人たちがこの事を広めてくれればいいんだけど。


――これで全員が力尽きたね。念のために千里眼&洞観を使って……っと、よし問題なし。あっ、黒狼化が勝手にとけた?……戦闘終了で解除なのか時間制限なのか………んー、よう研究っと。


「ウルガさーん!もう大丈夫ですよー!」

「カカカッ、ルフスの作戦通りじゃったのぉ!」


 とりあえず、撃退はできた!まずはこれを喜ぼう!


「お?……この大剣は…あやつのか?」

「えっ?………PKによるアイテムのドロップ率って5%じゃなかった?………しかもメイン武器だし………」

「カカカ………運のないやつよのぉ…下手したらまたここに来るのか?」


 んー、それは困った………そういえば……マーカーってどこまで改良できるんだっけ?


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