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変哲のない日常

買い物の際の金額とお釣りについての表記を変更しました。


「―――! ――――ろっ!  起きろっ!桐紅っ」


「えっ!なにっ?!起きてるよっ?」

「ったく………早速LVOをやったんだな。どうだった?」


 LVO?……あっ、そうだ。確か黒狼妃とかいうやつと戦ってて……


「拓、これはリアルだよね?」

「はぁ~………まーた、極限まで集中してたのか?―――まあ精神的な疲労を察知したら強制的にログアウトされるからな。ちなみに、設定でその機能は切ることができるぞ?」

「あ~、うん。ありがとう。」


 とりあえず、朝御飯の用意をしないと。

「…よいしょっと――っ!」

「あっ!バカ!!立つんじゃないっ!」


  ―――ガンッ!ドッ!ガシャン!!―――


「……いてて…。あっ、拓?大丈夫?!」

「……尻に敷かれるって、この事を言うんだな?」


 やべっ……拓が少しキレ気味だ。


「ごめん、すぐに退くから!」

「だーかーらー!!お前はもう少し自覚症状を持てっ!」

――バシッ!――

「いったぁ……なにも頭叩かなくてもいいのに。」

「罰だ…………すぐに起こすからじっとしてろよ。」


 車椅子に乗せてもらっている間に、昨日の件について纏めようかな。


 まず、あの黒狼妃ノヴィシムルプスが現れたのは十中八九、子分?のデッドウルフを50匹倒したからだと思うんだけど……たしかあの場所は[始まりの平原:適性Lv10]だったはずだ。それなのにLv60が出てくるのはおかしい。


「ねぇ拓。拓って確かこれをβ版からやってるよね?」

「んっ?あぁ、そうだな。どうした?Lv上げでも手伝ってほしいか?中学の時みたいにさぁ?」

「やめてっ!あれはちょっとした厨二心が……ね?――ってか、拓のPNアンドレアじゃん。」

「そういう桐紅もPN変えてないんだろ?」

「あ、ばれた?」

「まあな……ほい、これでもう大丈夫だ。あ、ちなみにだが、今日は学校が土曜日の代わりとして休みになっているからな。」

  ・

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  ・

 村神 拓海(むらかみ たくみ)。私の幼馴染で小中高と同じ学校に登校していた。

 車の前に押し出され、撥ねられた衝撃で脊髄を損傷。道路とぶつかる瞬間に受け身をとったお陰か、頭を怪我することはなかったが、代わりに下半身が自由に動かせなくなった。

 それ以来、毎日のように私の家に通ってくれてる。感謝感激だね。


「お~い、とりあえずLVOの話は散歩しながら聞くから、準備しろよー。」

「はいはーい。」


 よいしょっと。脊髄の損傷事態は治ってるんだけど……人体って不思議だなぁ。


「準備できたよー。」

  ・

  ・

  ・

  ・

 「へぇー、しっかし選択ミスするとはなぁ……ってことは≪神官≫を選ぼうとしたのか?」

「まあね。拓が前衛職にしたって聞いたからね。まぁ、今回はソロプレイで商人として楽しむことになりそうかな?」


 正直、非戦闘職(商人)のステータスで戦うのは無謀だからなぁ。まぁ、勝っちゃったんだけど……。


「まぁ、俺としてはまたアンドレアルフスとして行動できることを願ってるんだけどな?……で、聞きたいことって何なんだ?どーせなんかやらかしたんだろ?」

「そんな、私をトラブルメーカー扱いしないでよね?!」

「大丈夫だ。誰もお前のことをトラブルメーカー何て言ってないからなぁ?」


 あっ!またのせられたっ!……くぅぅ…。


「あぁっ!もうっ!!………黒狼妃ノヴィシムルプスって知ってる?」

「……!…………全体的に赤黒くて、全長が3m位で動きがくっそ速い奴か?」

「えっ!知ってたんだ。……うん、そいつで間違いないと思うよ」


 赤黒かったかはわかんなかったけど、黒に近い色をしていたような気がする。正直、防戦一方だったから、余裕を持って相手をみれなかったんだよね。


「―――わかった。とりあえず、これが終わったら直ぐにシャワーして、その後にLVOで会おうか。いろいろ紹介したい場所もあるからな。……絶対に黒狼妃を倒したことは言うなよ?なぜかは後で説明するから。」

「はーい。いやぁ、あっちの拓はどんなアバターなんだろうか……気になる!」

「帰ったらすぐに見れるさ。とりあえず“藤田ベーカリー”に寄るが…いいよな?」

「いいよ!あっ、もちろん拓の奢りでね?」

「はぁ~……わーったよ。」


 藤田ベーカリーの営業を手伝っている藤田 香(ふじた  かおり)は小学生の時からの友達だ。まぁ、高校は違うから、顔を会わせる機会がここ最近までなかったんだけど。

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  ・

  ・

「いらっ……て、おしどりコンビじゃん!どうしたの?」

「あのなぁ、どうしたのって、ここはパン屋だろ?パンを買う以外に何をしに来るってんだ。」

「うーん、浮気…とか?…ふふふっ。」

「誰とだよ!?」

「あっ、香!今日のおすすめはなに?」

「今日はね~、抹茶クロワッサンかな。生地に直接練り込んであるから、抹茶が濃いってことはないよ。普通のクロワッサンよりもあっさりしているといえば良いのかな?」

「うんうん!香の作るのはなんでも美味しいからね。それを二つお願い。」

「え~、私は店員さんだよ?取ることぐらいできるでしょー。」

「むぅ、香のケチ。」

「ほい、とりあえず、いつものバゲットサンドとてきとーに何個か選んだが。それも取れば良いのか?」

「うん!お願い!」

「はいよ。」


「えーと?…………はい、全部で2376円になります。」

「毎度ありがとな。」

「別に気にしなくてもいいよー。こうして対価も貰っているわけだし…2406円お預かりします……はい、30円のお返しです。」

「またね香!」

「はーい、またねー!」

  ・

  ・

  ・

「だいぶ買ったな。」

「まぁ、昼御飯とおやつ、明日の朝で消えるんじゃない?」

「それもそうかもな。よーし!そうと決まれば、すぐにかえって昼めしだな!」

「えっ!ちょっと、早い早いっ!楽しいけどガタガタするっ!」


 お、おしりがいたーいっ!(泣)



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