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イベント[第一章]:ウルルフの護衛対象

「ふふっ、できる分のポーションは作り終えました。……後は、|こっちが動くのを待つだけですね」


 私がよく図書館に来るのには理由があります。というのも、この()()()()()()()について述べられた情報があまりにも少ないからです。

 例えば、ポーションを作るのにはもちろん始まりがあるわけですが……原初のポーションについて書かれたものが見つかりませんでした。では、どうやってポーション造りが始まったのでしょうか?

 いきなりポーションができるようになるはずがありません。この世界の場合、ポーションをつくる()()()()()()何て存在しないのですから。いい例がルフスさんですね。

 

 そういった、ゲームの裏設定を探しだすのも醍醐味のひとつです。もちろん、これだけの広大なゲームの裏設定を一人で探しだすのは困難ですが。アンドレアはそんな裏設定を見つける仲間の一人ですね。

 他に仲間がいますが……一番最初の仲間が彼なので、それ以外はまだ言わなくても問題はないでしょう。なにせ、β版でいきなり裏設定を調べ始めたのが私たち二人しかいませんでしたからね。


 さて、話を今回のイベントについてにしましょうか。といっても、わからないことだらけですが……。

 …おそらく今回のイベントは陣取り合戦のようなものなのでしょうね。言い換えてしまえば、()()()()()()()()()()()()()()()…でしょうか。

 

「しかし、なぜ権限が不十分な状態でサービスを開始してしまったのでしょう?………わかりませんね」


 今の情報量で考えるのは無駄な時間の使いかたですね。切り替えますか。



 ―――どうやら、勇者がパーティーを募集する予定らしいですね。少し取り付いて、行動を制限してしまいましょうか。その方がかえって行動しやすいでしょうしね。


 …もし……私の予想が正しければ旧運営と現運営の目的は――――

  

------------------------------------------------------


「えっと~?私たちは第二の街の奥にある、山岳地帯に向かえばいいんですよね?」

「カカカ、そうだのう。魔王はそういっておったな『そこに一体目の護衛対象がいる』とな」

「どんな狼なんですかねー?」

「たしか、幽鬼狼……だったかのぉ」

「明らかに光属性以外の攻撃が通らなさそうな名前ですね」

「カカカッ!そんなやつを護衛なんてのぉ。こいつを倒せるようなやつは……ちと骨がおれるぞ?」

  ・

  ・

  ・

『ふむ………では、此度のイベントにあたっての役割分担について決めようか』


 そう魔王さんが言ったとき、私たちは驚いた。その切り替えの早さにだ。

 しかし、遅れてきたメンバーは詳しいことを知らないようだった。だから何事もなかったように振る舞ってるのかなぁ?


 そんなことはさておき、魔王は今回のイベントで大狼を2体きっておくつもりらしい。

 なぜかというと、魔王軍のPLが少ないため、7人を2(アンドレアとレン):2(アックスと段蔵):2(私とウルガ):1(ミナ)の四グループに分けて一グループ一体を必ず守護することになっている。けど、NPCである、魔族で守りきれる範囲が四体なので、8体までしか護りきれないらしい。


 ただ、守らない大狼は一番と二番目に遠いところにいるらしく、見つけることも、倒すことも難しいらしい。

 それでも、生き残る可能性があるだけで十分な善策だろうと思う。


 ちなみに、私たちが去ったあと拓だけ魔王さんに呼び止められていた。……むー、なんかずるい。

  ・

  ・

  ・

  ・

「カカカ、まだ一日もたっておらんのじゃぞ?動いてくるとしても早くて明日からだろうて……それまでにわしらは幽鬼狼のとこに着かんとなぁ!カカカッ」

「んー、あとどのくらいの距離なんでしょうかね?……第二の街を抜けて既に二時間近くたってると思うんだけど……」

「最近の若者は先を生き急ぎじゃて……とはいえ、わしの方向感覚が間違ってなければ既にここを通らなかったかの?……ついにわしの頭もボケてきたか!カカカ!」


 既に山岳地帯に入ってるのだ。いやぁ……ここまで来る方法がまさか山を上るだけとは……確かにすぐに護衛に入らないと簡単に見つかりそう……って思ってたんだけどねー。

 まさか、ずっとループしているとは……どうすればいいんだろう?


「んー……ウルガさんってここら一帯を吹き飛ばすような魔法って使えますか?」

「カカカッ!面白いことを聞くのぉ、ルフスは……できなくはないぞ?壊すだけならいくつかの属性の魔法を組み合わせるだけでいいからなぁ。それと、わしにさん付けはいいぞ?気軽に大魔導師さんとでも呼んでくれ!カカカッ」

「わかりました!大魔導師さん!(あれ?結局さん付けになってない?)ではお願いします」

「任されたぞぉ!【魔力指定:重力・火・水】集束せし水の力よ、反する火の力を結束し、今ここにその結果を示せ【魔法変換】――魔術[フィアティック]!」


 まさか、水蒸気爆発ぅ?!えっ!これって物理攻撃なの?!魔法攻撃なの?!

 わっ!余波がすごい!……あ、でもダメージは受けてないや。


「カカカッ!魔法を放つたんびに術者がボロボロになっておったらたまらんじゃろうて?」

「な、なるほどー……けど、なにも変化なしかぁ……」

「カカカ、万事休すじゃのぉ?」


 いや、ほんとにすごいよ……これだけの攻撃を受けても()()()()()()()もん。


「すごいのぉ……ここまでやって土のひとつも削れんとは…カカカッ!魔王軍に来て良かったわ!」


 そう、土煙ひとつ上がらない………いや、爆発の現象は見えてたはずだから、土煙は舞うはず。爆発する前の、水も火も見えていた。

 あれ?余波は来てたよね?……風…(空気の流れ)はあるのか……んー?


 試しに刀を地面に突き刺してみる。

―――サクッ―――

 見事、刀とまったく同じ大きさの刺し口ができる……ように見えた。


「おっ?なにかわかったことでもあったかの?」

「はい……()()()()()()()()()()()()()()


 忘れるところだったよー。ここの隠しボス、幽鬼狼がレイス型の狼であると言うことをねっ!


「【冥属魔法】――魔術[魂の墜ちる場所]……」



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