大型アップデート、終了
すいません、更新が遅くなりました。
「はい!えーみなさん応援のお陰でなんと! 15連OVもできちゃいましたっ!?……いぇーい!」
わー、すっげ………20万人近くがこのライブに訪れてるや…。あー、コメントなんも拾えねー…。
「そっしてー?……こんなにも連ヴィーに導いてくれたのはー…そう!ルフがいたからでーすっ!いやぁ…わざわざ来てくれてありがとね?」
「来てくれてって、あんたが呼んだんでしょがいっ!」
「おーおーおー、一切斬れ味が落ちないとは…今度24時間配信とかやってみる?」
「だれがやるかっ?!」
「ってか、私は誘っただけだよー?来たのはそっちの意思じゃない?(笑)」
「うっ……(そうだったー……)」
「まっ、そんなことはおいといて!いやぁールフと一緒にゲームできるのってほんとに数少ないことだからね~。ルフも自分のchを作ればいいのに……あ、でもいまはちょっとゴタゴタしてるから駄目かー」
(んー、自分のchかー。まだいいかな~。)
「さてさて、なんだかんだ言って5時間半も配信してたんだね?!……って、ルフめっちゃ疲れてない?(笑)」
「そりゃあね?私は配信者でもなければ実況者でもないんだよ?………まさか、あん時みたいに私をこの道に引きずり込もうとしてないだろうね?」
「………ハッハッハー、ソンナコトガアルハズガナイジャナイカー……はい!それじゃあ今日はここまで!LVOは…明日配信かな?……えー、ここまで見てくれてありがとねー!また次回っ、まったね~♪」
「おつー」
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「………なぜにまだ通話を切らない?」
「えー、いいじゃんたまには水入らずの話でもしようよー。最近どたばたしてて話せなかったじゃん?」
「はぁ…」
何か話すことあったかなーと、最近の出来事を掘り返してみる。別に大した内容じゃなくても漣なら盛り上げてくれるからいいんだけどね?
「あっ、そうだ。たぶん今回の私のプレイで気づいたかもしれないけど…遂にVRギア買ってもらったんだよ」
「あっ!やっぱり!だって前一緒にプレイした時よりも精度がダンチだったもん!」
「でさ、LVOを始めたんだよね」
「えっ!マジでマジで?!じゃあさ、今日久々にライブ見てくれたのって!」
「ん。漣と同じアップデート待ちだよ」
「ならさっ!前みたいにゲームにのめり込もうよ!……いまならどれだけでも時間とれる…し、ね?」
「あ、拓もやってるよー」
「うっそぉっ?!あの拓がゲームしてんの?!……ほんときりーには甘いよね…あいつは」
「?………あっ、拓ってLVOをβ版の頃からやってたみたいでさ、スッゴク強いんだよね」
「β版!……………そうか……もう一緒に行動をしてるのか?」
「ただいまー」
あ、だいぶ遅くなったけど拓が帰ってきた。
「うん。いまは一緒に行動してるね。ちょうど拓が帰ってきたんだけど話す?」
「あ、おねがーい」
「はーい」
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いま、私はLVO内にいる。現時刻は18時25分。アップデートが終わり、イベント開始は18時30分からとなっているため各々待機中だ。
ちなみに、今このゲームに1万1000人がログインしているらしい。拓が言うにはこのゲームを持っている人の2/3がログインしている状況らしい。……関係ないけど、ラグもロードもないのがこのゲームのすごいところだと思う。
「後、5分で開始だね」
「そうだな……とりあえず今日は11時までログインするわ」
「おーけー」
「そう言えば、漣とは何を話してたの?」
「ん?……あぁ。なに、お前が長期配信で何をやらかしてたかを聞いてただけだよ……ハハッ…黒歴史がまた一つ増えたか?」
!……私の顔が紅潮していくのがわかる。ってか、そこまで再現しなくていいから~!もう!
「ふ、ふんっ!黒歴史なら拓もいっぱいあるよねぇ?」
「ぐっ………よし、この話はなかったことにしよう。お互いにな」
「もちろん!………てか、10分でそれだけしか話さなかったの?」
「いや?LVOについてもいろいろと言われたよ……あの時みたいに三人でやろう!……ってな」
「えー、配信しろってこと?」
「……………ハッ、確かにそれは嫌だな」
別にゲームは数が多ければ多いほど楽しいから、漣とやるのはエニタイウェルカムなんだけど……配信は精神がごりごり削れるからなぁ。
『まもなくワールドアナウンスを開始します。現在いる位置からあまり移動しないでしてください。』
「おっ!……そろそろ始まるね」
「だな……イベント事なのに静かだとは…中々無い体験だな」
「だねー。今頃各街では人で溢れ返ってるんだろうなぁ」
「……ここを見つけてくれたルフスには感謝だな」
「えっへん!もっと我を褒め称えよー」
―――コツンッ―――
「調子乗りすぎだ、バ~カ」
「いったぁ……何も拳骨しなくても………って、ダメージ入ってないし……」
「俺のSTRはそこそこ高いはずなんだがな?」
そんなことをしている間に時間は止まることなく進んでいく。
そして、遂に公式大型イベントの幕が切って落とされた。
―――あのときの拓の言葉の意味をまだ桐紅は理解していない。




