天然のダンジョンだ!
まず、このゲームにおいてダンジョンと呼ばれるものは三種類ある。
一つは運営が作った人工のダンジョン。いろんな構造のものがあるけど、基本的には階層型で最下層または最上層にBMがいる。そして、ダンジョンには欠かせない“宝箱”もある。
見つけにくい場所のものほどいいものが入っていて、最下層に近づくにつれ中身のレアリティも増す。
ちなみに、どんなアイテムにも“品質”と“レアリティ”が存在していて、品質は[屑][劣][可][良][最良]それと[神造]がある。なぜ[神造]だけ分けたのかというと、人の手で造り出せるものとそうでないものの境界線がそこだからだ。
あ、でも[神造]だからといってレアリティが最大かって言われるとそうでもない。いい例が初心の刀とかの初期武器シリーズだね。
レアリティは普通にS.A.B.C.D.E.Fの七段階表記だ。
例えばヘファイトスさんが作ってくれた短剣はこんなかんじになっている。
“深血牙の短剣” B+
<品質:最良>
LVO一の鍛冶師の名は伊達じゃないね…………てか、これを私はタダ貰ったんだよね?…………いろんな人から恨まれそう…
んで、もうひとつはプレイヤーが作った人工のダンジョン。このゲームは本当に自由度が高くて、何にでもなれる。まぁ、いってしまえば魔物にだってなれるということだ。
(後から聞いた話ではヘファイトスさんは鬼人という種族のよう。※魔物:オーガとは違う)
ただ、最初のキャラクリエイトの段階で種族を魔物にすると、降り立つ場所が辺り一面敵だらけ………なんてことになるらしい。
実際にそれで心が折れたプレイヤー達がこのゲームを放り投げたとも………
そんなわけで、現在プレイヤーが造ったダンジョンは無いだろうと言われている。
運営が造ったのとプレイヤーが造ったのを見分けるのは難しいが、一つだけ違う点がある。それは―――最下層のボスがそのダンジョンを造ったプレイヤーになるという点だ。
だからこそ、ダンジョンを造れるのは種類が魔族、魔物のプレイヤーのみなんだろうなぁ。
はい、残り一つは我が拠点の地下にあるらしい天然のダンジョンだ。
ってか、拓は勝手になんでもやり過ぎっ!………まぁ、そのお陰で私は一度も立ち止まることなく進められてるんだけど。
今度勝手な行動したらちょっと怒らないとね。
けど、こんなにいい拠点を得られたのは嬉しいな。ちょうどほしいと思ってお金もためていたし。……………まさか………拓って人の心を読めたり………ないない(笑)
で、天然のダンジョンとは言ってみれば洞窟や渓谷、古代遺跡のことなんかを指す。
魔物が地形を変えてできたものや天候などの自然の力によってできたダンジョンだ。
そのため、宝箱もなければ明瞭なボスモンスターというものは存在しない。階層型でもなく、場所によっては人が通れないところもある。一切人の手が加えられてないのだ。
その代わり、天然のダンジョンは資源の宝庫となっている。洞窟のなかで独自に作られた生態系から誕生した、一風変わったMOBや珍しい植物。そんなそこでしかとれない素材が沢山ある。(光るキノコとかあればいいなぁ………バッテリーが回復するかも?!)
「どうする?ここはもう私のセーフポイントになっちゃったから、ここのダンジョンを大多数の人が使うなんてことはできないよ?」
「うん?別にいいんじゃねえのか?……このダンジョンの資源は全部ルフスのものになるんだし」
「そりゃあ、そうだけどさ………何か…ずるくない?」
「べーつに。運のよさが取り柄の商人なんだ。これはその成果だろうよ」
「んー………ならいっか。見てもないのにダンジョンの有用性を考えてもとらぬ狸の皮算用だしね」
もしかしたら、なにもない空間が広がっているだけかもしれないし。………そもそもセーフポイントは外から敵MOBが入ることはできないし、中に湧くこともないエリアだから……あり得るかもしれない。
まぁ、植物系のものがあれば儲けものかな?
「そうだ、今ステータスはどんな感じになった?…ここの大狼を倒したのはルフスだろ?」
「えっ?なんでそれを?!」
「さぁ~、なんでだろうなぁ?(おそらくルフスはこの先いろんなやつから狙われる。とりあえず見た目に関してはなんとかなったけど……掲示板め……)」
「まぁ、いいや。……じゃあ、ステータス開示するよ?」
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PN:ルフス
JOB:商人
SJOB:武士
Lv41 (9up)
HP 900/900 (180up)
MP 850/850 (180up)
STR 24 (3up)
DEF 23 (2up)
INT 24 (2up)
MND 23 (2up)
AGI 147 (27up)
DEX 147 (27up)
LUK 89 (9up)
残りSP量:0
<SKILL>
【商人の心得Lv5(MAX)】【刀・短剣術Lv6】
【洞観Lv3】【千里眼Lv5】
【直感Lv10(MAX)】【調理Lv12】
【魔法文字Lv15(MAX)】
【魔文附与Lv--】
〈TITLE〉
[黒狼妃の単独覇者]
[冥暗狼の単独覇者]
[格上への挑戦者]
〈装備〉
右手:初心の刀
左手:深血牙の短剣
頭:なし
胴:麻の服(上)
腕:なし
腰:麻の服(下)
足:麻の靴
アクセサリー重量:0/10
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「なるほどな……ん?【商人の心得】は進化させないのか?」
「したいんだけど、なぜか進化できないんだよね……たぶん条件があるんだと思う」
たぶん、商売関係のことをすればいいんだろうけど…。
「そうか……てか、何気なくすごい短剣を持ってるんだな(これだけの装備があればある程度は大丈夫か?)………さて、これからどうする?ダンジョンに潜るか、内装を整えるか。まぁ、他にもしたいことがあればそれでもいいかもな。」
んー、別にどっちも後からでもできるものなんだけど……誰も外に出られない状況の中、ダンジョンに潜れるのは少しアドバンテージなんだよね。
でも、ここのセーフポイントはだいたい半径100Mの範囲だから、おそらく下のダンジョンもセーフポイントの範囲までしか探索できないはず。
だから、下に延びていない限りがっつり探索何てできないだろうし………もしかしたら今日でダンジョン探索が終わって、明日の丸一日を内装整備に使えるかも。
「じゃあさ、今日でダンジョ「と言っても、もう今日は遅いからここらでログアウトするぞ」………えー?まだ11時にもなってないよ?」
「あのなぁ………今日は日曜日だぞ?俺は普通に明日学校だ」
「あっ………そうか、じゃあ明日は何時ごろにログインできる?」
危ない危ない、ここ最近曜日感覚が薄れてきちゃってる。拓は部活動をやってないにも関わらず、バイトをしてるから帰りが9時くらいと遅い。
私もバイトする!と拓に言ったら、『そんなことはしなくていい。稼ぐのは男の役割だ』と訳のわかんないことを言って断られた。………これでも手先は器用だから、座り仕事ならできるんだけどね?
「そうだな………明日は10時から12時までの二時間だけしようかな。だから、今日は少し早めに眠りたい」
「I see. じゃあ、た………アンドレアがログインするまで内装をいじってるね」
「わかった。一応、共有BOXに使えそうな素材は入れておいたから自由に使ってくれ。―――そいじゃあおやすみ」
「はーい。おやすみ~」
さて、拓はログアウトしたし………私も今日は早めに寝ようかな?
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