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まさかの拠点?!

勤労感謝の日ということで少し長めですっ!

少しでも皆さんの心が休まれば嬉しいです。

 かつて隠しボスと呼ばれる存在と戦った場所。周りは木々で囲まれ、上も生茂る枝葉に覆われている。

 戦っていたときには気づかなかったけど、円上に開けた地に一ヶ所だけ陽の届くこの場所の奥には、まさに大樹と呼べる木があった。


 ………なんか前やってたMMORPGの世界樹みたい………さすがにそこまで大きくはないけど。あ、でも100mはあるんじゃないかなぁ?周りの木々が50m近くあるからよくわかんないけど。


「ここは……?」

「私のホーム…………って言ってもまだセーブポイントだけ仮置してる状態だから何もないんだけどね」

「それでもホームって認識されるんだな。ちなみにここの……もとはなんだったんだ?」

「もと?……えっとー、隠しボスの特別専用フィールド?って言えるのかなぁ……たぶん」

「は?…………もしかしてだが、俺はこの場所を見たことがあるか?」


 何でそんなことを聞くのかの意図がわかんない。ってか見たことがあったらこの場所とられてるはずだし。

 

 話は変わるけど、フィールドには隠しボスっていう存在が割といて、2種類に分けることができる。

 一種類目が徘徊型で、広大なフィールドを動き回っているボス。

 二種類目がそのボス専用のフィールドを持っていて、そこから動かないボス。不動型って言われてたりする。

 んで、隠し要素が無いように思えるけど実はそうでもなかったりするんだよね。それぞれのボスがネームもちのオリジナルで、特殊な能力を持っていたりする………その代わり同じやつは2体といないんだけど。ほとんどの場合、そのネームが自分の能力を表しているっぽい。

 討伐に成功すればその戦いで最も活躍した人に特別なアイテムが与えられるしね。

 例えば、私の場合は魔石と毛皮…………あれ?普通の敵MOBのドロップ品と変わらない?…………しくしく。

 

 話を戻すけど、徘徊型はAGIが高かったり、地中にいたりとなかなか発見することが難しい特徴がある。それに加えて、特殊な能力を持っているから、遭遇すると確実にやられる。

 かといって不動型は楽勝かと言われるとそうでもないんだよね。専用フィールドが見つかりにくいようになってるし、そのボスにとって有利な地形になっているから、対策することが多すぎる!

 まぁ、既に大型クランは不動型を何体か倒してるみたいだけどねー。


 ただ、最近三種類目の隠しボスが存在することが分かったらしい。

 “条件型”と呼ばれるもので、その名の通り何らかの条件を満たすことでその場に現れたりするみたい。

 例としてはたぶん、黒狼妃がそうなのかな?一応あれも条件かかってたし。

 ちなみに、条件型はまだだれも倒せたことがないっぽい。私が一番乗りだっ!……え?あれは倒せたうちに入らないって?………ふん、運も実力のうちさ。商人の特権だね。


 で、この中でセーブポイントを作れるのは不動型だけになる。実際に、セーフポイントを求めるために不動型のSBMを討伐しに行く人もいるようで。

 あっ、SBMっていうのはシークレットボスモンスターの略称で、ダンジョンにいるボスモンスターとを呼び分けるために最近作られたらしいけど……………噂が広まるのがこのゲームでは何故か早いからなー。これも掲示板のせいなのか?

 ってそんなことはおいといて、ここもそんな不動型のエリアだったわけで、トッププレイヤーなんかじゃなくてもボス専用エリアのセーフポイントを欲しがる人は多い。


 こんなにも前置きが長くなっちゃったけど言いたいことはひとつ! この場所を誰かが知っている時点で既にとられていたと言うことだ。

 …………実際にこのセーブポイントをおいたのは、死亡する直前だったりする。

残り数秒で消える→ここがセーフポイントになったことに気づく→ボス専SP(セーフポイント)がとても人気なことを思い出す→仮設置すると同時に死亡。

 だいたいこんな流れだった………そう思うとギリギリだったんだなぁ………はっ!あの闘いを撮られてたっていうことはあのとき誰かいたのか?

 ボス専SPは一ヶ所一人までしか登録できないんだよね。登録者のパーティーやクランに入ってれば問題ないらしいけど………他にも、入れる人を設定することもできちゃったり。それで設定した人ならば別に誰でも入れるみたいだね。

 私はアンドレアをその設定にしてある。街内であればPKされる可能性があるけど、セーブポイントがある範囲(街内であれば宿等)ではPKできない。

 ことボス専エリアにおいてはPKはおろか遠隔から魔法などで潰すことができない。要するに絶対に壊されることのない安全な場所である。だから欲しがる人が多いんだけどね?

 ちなみに、アイテム種類<テント>ならどこでも一時的なセーフポイントにすることができるし人の手で壊したりPKしたりはできない…が、そのフィールドにいるモンスターは破壊可能ってなっている。

 実際にそれで地獄を見た人がいたようだ。


「ところでさ、アンドレアはなにしてんの?」


 私が物思いに耽っているときに拓はなにかやっていた。何回も視界をチラチラしてたので、「あー、なにかやってんなー」程度だったけど……


「さすがに顔あげてこれってのは………心臓止まるかと思ったわ」

「おう、なかなかにいいできだろ?」


 頭をあげるとそこには二階建てのログハウスが建っていた。そこまで大きいわけではないけど、周囲の景色から浮くことなく、自然に馴染んでいる。

 さらに、大樹の根元に建てられているから、正面から見ると迫力がすごい。

 

「根元に建てたから日当たりもいいぞ?」

「拓のジョブって大工さんだっけ?」

「いや?……ってリアルの名前出すな。」

「…………んで、何が目的でこんなことを?」

「はぁ………さっき掲示板確認したけどさ、お前………悪目立ちしすぎだ。」


 えっ?!………私なんかしたっけ?まだ、トッププレイヤーでもなければ、ワールドアナウンスもだしてないし……闘技場にも参加してないから名前も知られていないはずだし………。


「そんな露骨に何で?って顔されてもな………あー、安心しろ。名前は知られていない。―――ただ……ちとその姿がな?派手すぎるていうか。」


 姿が派手?………でも隠蔽の効果は切れないはずだし。


「ほら、初心者装備&マークが表示されず、尚且つ黒いオーラ?を纏っている人が街中を歩いてるんだぜ?」

「……………。」

「そりゃあ、名前は目立たずとも姿は…なぁ?」


 確かに、そう言われてみると、だいぶ変な人だ。マークすらないからチーターにも見られるかもしれない。


「わかった。じゃあこの刀の効果は切って、普通に隠しコートを着るよ」

「って、そんなことできたんかい。」


 さっそく元の設定に戻す……いや、マークだけ出るようにしとこう。ちなみに、マークの色は青だ。


「どう?これでN()P()C()()()()にみえるでしょ?」

「あ?………まぁ、そりゃあそうみえるけど……何でそんな必要が?」

「なんとなく~。ってか、この家もらっていいの?」

「いいよ。ただ、ひとつ条件がある。」

「………そ、それは?」


 いったい条件とはなんだろうか?……こんなにすごいものを短時間で、しかも自前の材料で作ったのだ……これにかかった費用は決して安くないはず。

 も、もしかして……あんなことやこんなことをっ!!


「ばか。なに考えてんだお前は……はぁ……条件は、俺もこの家を拠点として扱わせてもらうだけだよ。」

「えっ?そんなんでいいの?」

「まあな。俺はこのゲームをβ版の時からやっていたから……古参プレイヤーとしていろんなギルドに招待されてるんだ。そのせいか街中を歩くと大変なことになる。身を隠す場所としてはここがもってこいだったからな。―――俺の条件を呑んでくれるか?」

「えっ?うん、いいよ」


 しまった。反射的に返してしまった…真顔で急に近づかれたらさすがに動揺するわっ!あほっ!


 てか、アンドレアは常に隠しコートを着て行動してるから誰にもわからなさそうだけどなぁ。

 だって隠しコートで唯一隠せないのって職業だけじゃん?んな、オンリーワンのジョブなんてないんだから職業で判別なんてできっこしないし。

 結論:問題なし!


「そうそう、内装は自由にしていいぞ?ってか家具とかはまだ買ってないから買うか作るかしねえとな」

「あっ、そういえばこれを建てるのにどれだけの費用が?」

「ん?実質タダだぞ?モンスターのドロップアイテムやダンジョンからゲットしたアイテム、フィールドで採取できる素材しか使ってないからな。」


 なるほど!なら良かった~…………待てよ?例えショップで買ったものがなかったとしても、これだけの素材を集めるのは大変なはず……


「例えばの話だけどさ、これを建築する際に使ったアイテム類を全部売った場合って……どれくらいの金額になる?」

「売るって店売りか?……んー、どれくらいなんだろうな?―――だいたい30Mカラトってところか?」


 えっ?………………3000万?…………


 拓が言った言葉に対して呆けている間に、もうひとつ……そう、もう一つだけ()()を拓が投下した。


「そうそう、この拠点をたてる際に地中に柱を打ったんだが―――天然のダンジョンが見つかったぞ!」


 は?………そう……冥暗狼め、何ていうものを残していったんだよ………

 

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