表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/62

影の勇者

アンドレア視点でーす。

◇◆------------------------------------------------------◆◇


――遥か遠い昔、とても大きな王国がありました。

王国は平和で外には魔物一匹といません。

そんな王国に一つの危機が訪れました。


突然魔物達が暴れだし、王国までやって来たのです。

平和だった王国は急いで迎撃の準備をしました。

しかし魔物達の数は一向に減りませんでした。

そんななか、王は一人の勇者を呼びました。


王は言いました

「ついに魔王が誕生し、我らの生活を脅かしに来ている。人類のために魔王を討伐するのだ。」と。

勇者は答えました

「私の力でできるのなら、ぜひ。」と。

そして勇者は3人の供を連れて、魔王探しの旅に出ました。


〈中略〉


こうして、幾度もの戦いを試練を超えて勇者御一行は魔王の潜む場所へとたどり着きました。

勇者は言いました

「ここまでこれたのはみんなのお陰だ。」と。

聖女は答えました

「神はきっと勇者様をご覧になっています。」と。

斥候は答えました

「最後まで気を抜かないでください。」と。

騎士は言いました

「あなたの後ろはお任せください。」と。


魔王は小さくも綺麗な女の人の形でした。

その体に秘めた力は大きく、溢れていました。

そして、魔王は泣いていました。

聖女は言いました

「人の形をなして非力な女性に扮し、涙を誘う悪しき者め。」と。

勇者は言いました

「人類を脅かす存在を倒しに来た。」と。

魔王は答えました

「すまなかった。」と。


魔王との戦いは熾烈を極めました。

勇者も魔王もすでに満身創痍の身でした。

勇者は言いました

「次で決着だ。」と。

魔王は答えました

「わかった。」と。

お互いが全力を身に纏おうとしました。


勇者の体を聖女が斥候が貫きました。

騎士は呟きました

「約束を果たせなかった。」と。

騎士は聖女と斥候に刺されていたのです。

そして勇者も騎士と同じ運命を、またはそれよりも惨い終わりを迎えようとしていました。


聖女は言いました

「魔王がいなくなれば次に恐ろしいのは勇者だ。」と。

斥候は言いました

「これも全て王の御命令です。」と。

斥候は少し悲しそうに職務を全うしました。

聖女は光の魔術を魔王へ放ちました。

魔王は光の奔流に呑まれ、息も絶え絶えです。


聖女と斥候は去っていきました。

魔王と勇者を討伐したことを伝えるために。

純粋なる騎士と影の勇者と魔王だけが残りました。

勇者は問います

「魔王よ。私は人類を守れたのか。」と。

魔王は答えます。

「ええ。きっと守れてるだろう。」と。

騎士は問います

「魔王。なぜこんなことをしたのですか。」と。

魔王は答えます

「私もまた、仲間に騙されたのだ。」と。

勇者は最期に問いました

「これで人を恨むか。」と。

魔王は答えます

「どんなに愚かでも、どんなに莫迦でも、私は心ありし人類を護っていきたい。」と。


魔王は王の言う前より誕生していたのです。

古きから人類を護るために魔物を抑えていたのです。

勇者は想いました。

涙を流しながら言う人類への想いは、どんな聖女よりも聖女らしい。と。


勇者は語ります

「私はもうもたない。だから、純粋なる騎士に最後の仕事を頼もう。この魔王が望むべき世界ができるまで、魔王を守ってくれ。私の力は託されたぞ。」と。

騎士は答えます

「わかりました。今度こそ約束を果たします。」と。

魔王は言います

「すまない。ありがとう。」と。


◇◆------------------------------------------------------◆◇


 読み終わり、顔をこの絵本から少しはずす。ついでに時間も確認し、そろそろルフスが来る時間だと知る。

  ・

  ・

  ・


題名『影の勇者』


 この図書館で何故か目を引かれた一冊。表紙には、何かの境界線に立つ勇者と背中合わせにして、忠義心を示す戌のマークが彫られた重鎧を身に付けた者が描かれている。

 絵本の割には、なかなかに難しい内容が書いてあり、それでいてこの世界独自の言語による本であったため、読み解くのが難しかった。

 この本はきっとだれも手に取らないんだろうな、と思い読んだのだが………

 



 結果、この世界の背景が少し分かった。そして、このイベントの目的もある程度理解できた。

 だからこそ俺には何もすることがないと悟った。

  ・

  ・

  ・

(はぁ………まだあいつは来ねえのか?)


 何気なくMAPを出してみる。

…………あんにゃろうっ!どんな技使ってるんだよっ?!


「ふぅ、ルフス!いつまで隠れているつもりだ!」

「えっ?!!…………ルフスハココニイナイヨー」


 いや、返事したよねぇ!?…はぁ……いつもの事だし別にいいか。

「そうか……」



 さて、この推測を話すべきか否か……。

 まだ………まだ…情報が足りなさすぎる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ